2011年4月6日 たねまきジャーナル 小出裕章

2011年4月6日のMBSラジオたねまきジャーナルにおける小出裕章氏の出演部分です。福島第一原発の事故についてのお話です。録音して公開していただいた方、どうもありがとうございます。

また、こちらではこの日の放送を正確に書き起こしていらっしゃいます。ありがたいかぎりです。
SleepingCats http://nixediary.exblog.jp/12383775/

以下転載です。

MBSラジオ「たね蒔きジャーナル」
メインキャスター(以下「司会」):水野晶子
コメンテーター:近藤勝重・毎日新聞専門編集委員

簡単にテキスト化したので以下に掲載する。
※誤字脱字、ご了承ください。

司会:今日はここで、京都大学原子炉実験所助教、
  小出裕章先生にお話しを伺おうと思います。
  小出先生、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

司会:今夜もよろしくお願い致します。

小出氏:こちらこそ。

司会:昨日(4月5日)、小出先生がおっしゃった事で、
  私もインターネットでいろいろ調べてみたんです。
  どういう事をおっしゃったか、昨日お聞きの方も思いだして頂こうと思うんですけれども、
  まずおっしゃいましたのは、小出先生は、これまでの自分の考えは
  もしかして甘かったかもしれない、と。

小出氏:はい。

司会:確かに今回これは深刻な事故だけれども、
  再臨界、臨界というものをもう一回やるという状況にはならないだろうと、
  考えていらっしゃったんですが、
  もしかすると昨日の時点でデータを見てみると、再臨界に至っているのではないか、と
  非常に危惧していらっしゃる。

小出氏:そうです。

司会:推測の域は出ないけれども、とおっしゃっていた。
  その寄って立つ所は何ですか、と私、伺いました所、
  二つ理由をおっしゃいました。

小出氏:そうです。

司会:ひとつめが、私初めて聞いたんですが、
  放射性物質クロル38、これが検出されているとおっしゃったんですね。

小出氏:東京電力の発表にそうあるんですね。

司会:これが出ているという事は、再臨界に達している以外に説明がつかない、と。

小出氏:そうです。

司会:その後、小出先生は、このクロル38が出ていると言う事のデータが
  間違っているんじゃないか、
  という期待もお持ちだった訳ですよね。

小出氏:はい、そうです。

司会:今日はどのように見てらっしゃいますか。

小出氏:昨日から全く変わっていません。
  新しい情報はありません。

司会:クロル38はその後も出続けているのかどうか、値の変化はないんですか。

小出氏:私が知りうる限りでは、データは改定されていないと思います。

司会:更新されていない模様ですか。

小出氏:はい。

司会:小出先生は、このクロル38の事はインターネットで誰でも見られますよ、
  とおっしゃったので、私も見てみたつもりなんですけれども、
  検索するのがヘタなのか、行きあたらなかったんです。
  これは日本のサイトで見られるのでしょうか。

小出氏:日本のサイトでも常に見られます。
  ただし、もともとは、米国の方が警告の論文を出してくれていて、
  それが日本のサイトにも紹介されるようになったという事で、私は知りました。

司会:では、アメリカがもともと発信源。

小出氏:一番の基礎データはもちろん、東京電力が発表したデータですけれども、
  それを私自身も気がつかないまま過ごしていまして、
  それに気がついた米国の専門家が警告を発して、それが日本のサイトで紹介された事で、
  私も知りました。

司会:この事をリスナーのおひとり(投稿ネーム省略)が、
  東京電力に電話をして訊いてみたんです。

小出氏:なるほど。

司会:というメールを下さったんです。
  このクロル38が出ているという事と
  ヨウ素の濃度が非常に高くなってという事を根拠にして、
  再臨界の恐れがあるのではないですかと言う風に、東京電力に訊いてみたんだそうです。
  そうしましたら、答えをもらいました。
  これ、ちょっと解説して頂きたいんです。
  「中性子線の測定が低い数値なので、再臨界はしていない可能性が高い」という話でした。
  これはどういう事でしょう。

小出氏:これは、中性子線をどこで計っているかという事によると思います。

司会:どこで計るか、場所、どういう事ですか。

小出氏:例えば原子炉の中で再臨界が起こっていたとしても、
  原子炉と言うのは前にも聞いて頂いたと思いますけれども、
  原子炉と普通使われている言葉の中には、原子炉の炉心を指す場合もあるし、
  原子炉圧力容器という容器の事を指す事もあるし、
  原子炉格納容器という外側の容器という事もある、と。
  それで、核反応自身は原子炉圧力容器の中で起きているのですけれども、
  その周辺で計る中性子の機械もあるのです。
  そのデータでもし中性子線が検出されていないという事であれば、
  再臨界はないと思います。

司会:なるほど、非常に化学的な話な訳ですね。

小出氏:ただし、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、
  そして原子炉建屋というのを出てしまったずーっと外側の、
  例えば、管理棟の中性子モニターというのもあるんですけれども、
  そういう所で計れている計れていないという事は、
  必ずしも指標にならないと思います。

司会:どこで中性子線の測定をしているかというのが
  常に化学として必要なデータなんですが、
  こうしたものを東京電力なり国なりは公開しているのでしょうか。

小出氏:私は原子炉圧力容器の周辺の
  中性子の(?)というかモニターの値を知りたいのですけれども
  それ自身は私は目にした事がありません。

司会:もしかしたら、計測器が壊れているという・・・

小出氏:その可能性もあると思いますし、
  知っていながらまだ公表されていないという事もあると思います。
  どちらだか、今、私には解りません。

司会:そして昨日小出先生がおっしゃったのは、
  もしも再臨界という恐れがあるのであれば、
  ホウ素という物質をもっと沢山投入するべきだというお考えだったんですが、
  これについてもリスナーの方が東京電力に訊かれたのですが、
  「現在は再臨界の心配はないので、ホウ素は投入していません」
  という答えをもらって来られたそうです。

小出氏:それは、ですから、
  中性子線をどこで計っているかという事にも関連していますし、
  再臨界が本当にないかどうかという事は、
  私が一番初めに疑い始めたクロル38のデータを、
  東京電力はどうやって説明するかという事を、
  きっちりと説明して頂かなければいけないと思います。

司会:このクロル38の数値がどうなったかというのを、
  本当は毎日更新できるような物質なのでしょうか。

小出氏:はい、もちろんです。
  ですから、もともとはタービン建屋の水というのが公表された訳で、
  それが毎日毎日どういう風になっているという事を教えてもらえるのなら、
  即座に解ります。

司会:そういうデータなんですね!

小出氏:はい。

司会:クロル38というもの、そのものはどんな物質なんでしょう。

小出氏:塩素ですけれども、要するに海水をずっと入れていたんですね、
  原子炉を冷やそうとして。
  海水の中には塩が入っていますので、塩素が入っている。
  塩というのはNaClという物質で、ナトリウムと塩素で出来ているんですけれども、
  そういう物質を入れてしまうと、自然界の塩素は放射能を持っていないのですけれども、
  それが原子炉の中に入ってしまいますと、もし仮に中性子を受けると、
  クロル38という物質が出来てしまうのです。

司会:仮に中性子を受けると、クロル38というのが出来る、
  そうした物質。

小出氏:そうなんです。
  ですから、クロル38があるかどうかという事は、
  原子炉の中で中性子が出ているかどうかという事の判断材料になるのです。

司会:そういう事なんですか。
  で、この中性子が出ているかどうかというのは、
  核分裂反応をしているかどうかの指標だ、というのでいいんですね。

小出氏:ただ、細かい事を言うと、いろんな事があってですね

司会:私達、素人なのですみません。

小出氏:原子炉の中には、常にウランが核分裂をして動いてきた訳ですけれども、
  その原子炉の中には、超ウラン元素と私達が呼ぶ非常に特殊な物質が出来ていて、
  そういう特殊な物質は、中性子を自分で発生するという性質を持っているのです。
  ただしそれは、量で言えば、あまり多くありません。
  ですから、東京電力が公表したクロル38を検出した濃度があるのですけれども、
  大変私から見ると高濃度なんです、その濃度が。
  その濃度を説明しようと思うと、超ウラン元素が自分で出す中性子では、
  やはり説明がつかない。
  ウランが核分裂をやはりしていて、中性子を新たに出している方が私は強いと思って、
  昨日その懸念をこの場所で聞いて頂いた訳です。

司会:なるほど。
  近藤さんもお聞きになりたい事おありだと思いますが。

近藤氏:そういう先生が推測するような話が、何で一般化しないのですか。

小出氏:知りません、政府に訊いて下さい。
  東電でもいいですけれども、本当に私は不安です。

近藤氏:いろんな専門家がいて、
  先生がおっしゃる事が突飛な意見でも何でもない訳でしょ。

小出氏:原子炉の専門家としては突飛ではないと思います。

近藤氏:当たり前の疑問として提示されて当たり前ですよね。
  普通に考えてれば。

小出氏:そうです。

近藤氏:そういう話が一般で公な議論にならないから、皆、不安になっている訳で。

小出氏:そうです。
  ですから、データをちゃんと公表して欲しいと私は願います。

近藤氏:その通りですね。

司会:これは、例えば、クロル38のデータがもし出たらですね、
  他の国だったら出すようなものなんですか。

小出氏:もちろんです。
  ですから、再臨界になっているかどうかという事は、勿論重要な事ですから、
  それはやはり皆原子力の専門家は気にしてきている訳です。
  私自身も気にしてきましたし、私はたぶんないだろうと思ってやってきた訳ですけれども、
  こういうデータを見ると、自分自身の甘さというのを振り返ってしまう訳ですね。
  そういう位に皆気にしてきた訳ですから、
  こういうデータが出て来たのであれば、本当にそうなのかどうなのかという事を
  きっちりと調べて、それを公開すべきだと思います。

近藤氏:今まで僕らが承知している再臨界の疑問点については、
  温度・水位とも保たれているようだから再臨界の可能性は低いでしょう、と。
  可能性は低いでしょう、という言い方なんですね。

小出氏:はい、私もそう思ってきました。

近藤氏:だから飽くまでもそれは、その日その日の状況によって、
  また出てくる物質によって変わって来る話だという認識は
  皆持ちながらいっている訳ですよね。
  だからその都度その都度発言が変わって当然なんですよね。

司会:その都度新しい情報も出て来て当然なんですよね。

小出氏:そうです。
  ですから私も昨日この懸念を表明した訳なんですけれども、
  この懸念が本当に当っているかどうかも、私自身もよく解りません。
  でも、あるかもしれないと思ったので昨日お伝えした訳です。

司会:その所をどうなのか知るすべが、今これ以上ないという事なんですか。

小出氏:いえいえ、ですから、その・・・

司会:本当はあるんですね。
  ある訳なんですね、データが。

小出氏:圧力容器の近くの中性子線の測定値があるならば、即座に解りますし、
  クロル38のその後の挙動がどうなっているかという分析結果があれば、解る、と。

司会:解るんですね。
  このような情報がございます。
  アメリカのNewYorkTimes、これ電子版なんですけれども、こんな記事が載りました。
  「原子炉が余震によって壊れたり、水素爆発が起きる危険性が高まる等、
  新たな多くの問題が、福島第一原発には起こっているんだ」
  という話が出ているんですね。
  アメリカの原子力規制委員会が、日本政府に、
  水素場発を防ぐために窒素を注入する事をアドバイスした、
  という話も来ています。
  実際、1号機に水素爆発を防ぐために窒素を入れるという話ですけれども、
  結局これはアメリカからのアドバイスもあってするようですが、記事によれば、
  これで十分水素爆発を防ぐ事は出来るのでしょうか。

小出氏:解りません。
  水素はふたつの発生源があります。
  ひとつは燃料棒被覆管というものがあって、ジルコニウムの金属で出来ているのですが、
  その金属の温度が900℃を超えると水と反応して水素が出ます。
  それが、1号機3号機で水素爆発という事を起こして、
  建屋自身が吹きとんだという原因なのです。
  もうひつつ水素が発生するという原因があって、
  水と言う物質が原子炉を冷やしている訳ですけれども、
  その水に放射線が当たると、主に中性子線ですけれども、
  水自身が水素と酸素に分解してしまうという、そういう反応を起こす。
  一度水素と酸素に分解してしまった、気体になっている訳ですね、
  それが溢れてくる訳ですけれども、それは何か着火源があると、
  もう一度反応して水に戻ろうとするのです。
  ですから、原子炉の中で、水素と酸素が出来る訳ですけれども、
  それがまた格納容器の中に充満してきてしまうと、
  爆発する可能性がある、という事で、
  格納容器の中にとにかく水素と酸素ではない、
  窒素を満たそうという事をしようとしているんですね。

司会:なるほど。

小出氏:ただし、それをしようとするとですね、どうなるかというと、
  ひとつの空間に窒素を入れる訳ですから、
  その空間の中に今まであったものを出さなければいけない、外に。

司会:そうでしょうね。
  何が出されるんですか。

小出氏:窒素を注入する訳ですけれども、出されるものは水素と酸素と、そして放射能。
  ですから必ずしもそれは、一方ではやらなければいけないけれども、
  一方ではとても危険な事をやるという事。

近藤氏:注入行為そのもの瞬間的な危険があるという事ですね。

小出氏:瞬間的というか、注入はかなり長い時間をかけてやらなくてはいけない。
  その長い時間をかけてやりながら、注入した分は外に出て行く訳ですから、
  出て行くのは、水素と酸素と放射能、
  放射線を表に出すという事をやろうとしている訳です。

司会:それまでしてでも、守らなければいけないものが・・・

小出:はい、爆発だけは防がなければいけない、という。
  今は全てそうなんです。
  何かをやろうとすると、別の危険を目をつぶってやるしかないという事です。

近藤氏:先生、そうすると注入している間、ずっと危険があるという事ですか。

小出氏:注入をしている間に少しずつ少しずつ注入した分の別のガスが
  出てきているという事です。

司会:作業なさる方がもう本当に益々困難を極めた中でやっていらっしゃるのだろうと。

小出氏:はい、本当にもう気が重いです。

司会:そうですね。いつも作業員の方の安全を
  小出さんが本当に祈っていらっしゃるのですが、
  この作業が功を奏する事を祈っております。

小出氏:はい。

司会:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さん、どうもありがとうございました。

小出氏:ありがとうございました。

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