2011年4月12日 レベル7への引き上げ 小出裕章

2011年4月12日、東京電力福島第一原発の事故について、原子力安全・保安院が国際評価尺度(INES)でレベル5としていた暫定評価を最も深刻なレベル7に引き上げると発表したことに関して、東京新聞ウェブサイトの記事で小出裕章氏のコメントが紹介されています。

【社会】福島事故 最悪のレベル7
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011041290133656.html

以下、転載です(太字は転載者による)。

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【社会】
福島事故 最悪のレベル7 
2011年4月12日 13時36分

 東京電力福島第一原発の事故で、経済産業省原子力安全・保安院は十二日、1~3号機から大気中に大量の放射性物質が放出されたとして、原発事故の深刻さを示す国際評価尺度(INES)でレベル5としていた暫定評価を、最も深刻なレベル7に引き上げると発表した。
 福島第一原発の事故は、原子炉が溶融後に爆発し大気中に大量の放射性物質が放出された旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(一九八六年)と並び、世界で二例目の最悪の原子力事故となった。
 国内の原子力関係施設の事故ではこれまで、レベル4の東海村臨界事故(九九年)が最悪の評価だった。レベル5は、原子炉圧力容器の底に燃料が溶け落ちた米スリーマイル島原発事故(七九年)と同レベル。
 保安院と国の原子力安全委員会は十二日、記者会見し、引き上げの根拠を「(1~3号機から)大気中に放出された放射性物質の総量」と説明した。
 事故後の環境測定データや原子炉の損傷状況などを基に、放射性ヨウ素131とセシウム137の放出量を推計。ヨウ素131に換算して保安院は三七万テラベクレル(一テラベクレルは一兆ベクレル)、安全委は六三万テラベクレルとし、チェルノブイリ事故の総放出量五二〇万テラベクレルの「一割前後」とした。
 INESでは、外部放出量が数万テラベクレル以上の場合、レベル7とされている。安全委の班目(まだらめ)春樹委員長は十一日に、一時間当たり一万テラベクレルの放射性物質が「数時間」放出されたとの見解を示した。現在は一時間当たり一テラベクレル以下になったとしている。
 保安院は当初、1号機について「外部への大きなリスクを伴わない」レベル4とした。しかし、三月十八日に1~3号機の状況を、数百~数千テラベクレル相当の放射性物質の外部放出があったスリーマイル島事故と同じレベル5と暫定評価し直していた。
 今回のレベル7への引き上げも暫定評価で、最終的な評価は、事故の原因究明と再発防止策がなされた後、専門家によるINES評価小委員会で行う。
■「不確か」と判定に1カ月
 福島第一原発事故の国際評価尺度(INES)が最悪のレベル7とされた。大気中に放出された放射性物質の大半は三月十五日までに出ている。原子力安全委員会は同二十三日に推定値を公表し、ヨウ素131の総量はレベル7級の三万~一一万テラベクレルとしていたが、判定に至るまでに一カ月以上を要した。
 放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「スピーディ(SPEEDI)」は当初から稼働したが、政府は「データが不確か」として三月二十三日に一度公開しただけ。結果はヨウ素の総量が最大一一万テラベクレルという高い値だったが、INESはレベル5にとどめた。
 安全委は「観測ポイントが三カ所しかなかった」と、信頼性が不十分だったと説明。観測ポイントを三十三カ所に増強し「確からしさが増した」として、レベル7に引き上げた。
 チェルノブイリ原発事故に詳しい古川路明名古屋大名誉教授は「放射性物質の測定が十分ではなかった。放射線測定は積み重ねが大切。三月二十日ぐらいまでもっとちゃんと測るべきだったが、そういう努力が全然なかった」とデータ集めの体制が弱かったことが、判断を遅らせた可能性を指摘する。
 十一日には政府から計画的避難地域が新たに公表された。だがスピーディでは、飛散した放射性物質のほとんどが事故後の数日間に出されたと推測。海外の研究所などからは、事故から一週間程度で「レベル7に相当する可能性がある」との指摘が出ていた。
 京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「防災はまず最悪から考え、徐々に解除していくのが原則。政府は安全安心を言いたいがため都合のいいデータだけ出して過小評価しようとした」と政府の姿勢を厳しく批判する。
(東京新聞)

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