4月18日 東電の甘い見通し 小出裕章

毎日放送ラジオ(MBS)のたね蒔きジャーナルにて、今日2011年4月18日(月)も小出裕章氏が福島原発についての話をされました。

2011年4月18日【月】
いま私たちはどう行動すべきか~作家・伊集院静氏
大震災のニュースに心を痛め、被災地のために何か出来ることはないかと思いながらも何をしてよいか、悶々としている方も多いと思います。きょうは仙台在住の作家・伊集院静さんを大阪のスタジオに招いて「私たちのできること」「私たちはいかに被災地の人々を思うべきなのか」うかがいます。京大・小出先生の原発事故解説も。

いつものようにスピーディーに録音を公開してくださっている方がいます。ありがとうございます。

【福島原発】2011/4/18/月★東電の工程表について 1/2

【福島原発】2011/4/18/月★東電の工程表について 2/2

※ 東電が4月17日に配布した工程表そのものは日経新聞ウェブサイトにて入手できます。(こちら

以下、要約です(全体書き起こし転載は下にあります)。

・(東電の工程表の通りに収まると思いますか、という質問に対し)おさめてくれることを願うが、できないと思う。これまでも東電の見通しは甘かったし、これも甘いと思う。それは現場の放射線量が多く、作業環境がとても劣悪だから。

・1年で1ミリシーベルトが一般の人の基準であり、自分のような放射線取扱者でも1年で20ミリシーベルトが上限。今回は緊急時の1年100ミリシーベルトまで被曝を我慢しろという基準を、厚生労働省が250ミリシーベルトにあっという間に変えた。このとてつもない基準でさえ4時間半作業したらおしまいという量の放射線が、福島の現場で今出ている。この上限に達するとその人が二度と作業はできなくなるため、何千人という数が必要となると思う。

・(1号機の建屋の外で作業員の方が事前測定したところ、ロボットが測定したよりも40メートルも離れていた扉の外だったのに1時間あたり270ミリシーベルトだったことについて)ロボットが測定した場所は放射線量最大の場所ではなかったのだと思う。正確な測定ではなかったと思う。

・(正確でない測定に基づく甘い見積もりに基づいて目標を立てるとどうなるか?)作業員に過度な負担を負わせることになるか、あるいはそうした負担を強いることができなければ期間が延びる。そのどちらかになる。

・(漏水が続いているときに水棺方式をするのは現実的にどうか?)それは到底できないと思う。格納容器が壊れている以上、もともと出来ないことを言っている。2号機は格納容器についているサプレッションチェンバーが爆発していて、それは東電も認めている。補修しなければ水は漏れる。そのため水棺方式はできない。

・(水棺方式ができなければ工程表の前提が崩れる?)そうなる。私の提案していた循環方式と同じようなことをしようといている。循環機能を作るのも容易でない。汚染水を排出することすらできない状況を考えると、放射線量は高いままとなり、そのような作業を行うのはとても大変。生身の人たちがそれを出来るような環境を作ることは簡単にはいかない。

・(1号機の窒素注入は一週間の予定だったが10日経っても続いているのはなぜか?)格納容器の内圧が上がっておらず、漏れている状態になっている。本当は1号機だけでなく2も3も入れないといけないと思うが、1号機だけなのは理由が分からない。

・(近隣の住民がいつ戻れるかということと、東電の甘い工程表の関係について)これまでずっと甘い見通しが語られてきた。避難区域は最初の3kmからなし崩し的に拡大されてきた。今回もできるかのように装っているが、必ずしもそうはならないと思う。住民の人には申し訳ないが、現実が厳しいということを正直に言わなければならない。

また、以下のページでもこの放送の内容が詳しく紹介されています。

京大原子炉、小出裕章「工程表、被曝環境、今後数千人の作業員必要」
毎日放送ラジオたねまきジャーナル4月18日
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/525.html

そして、小出先生部分の書き起こしが、今回もブログSleepingCatsにて掲載されています。ご尽力に敬服します。転載させていただきます。

4月18日MBSラジオ小出裕章氏「工程表について」バッサリ切る

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メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長

※毎度の言い訳、誤字脱字等ご了承下さい。

MC:ここで京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に
  解説して頂こうと思います。
  小出先生、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC・平野氏:今週もよろしくお願い致します。

小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。

MC:まず、ラジオのリスナーの方から先生に質問が来ていますので、
  そちらからお答え頂ければと思います。
  今ニュースでもお伝えした通り、
  「昨日東電から福島第一原発事故を6カ月から9カ月で収束させたい、と
  工程表が出されましたが、小出先生、これで収まると思われますか」と
  ずばり訊いていらっしゃいます。
  いかがでしょう。

小出氏:東京電力が言っている通り収めてくれる事を私は願いますが、
  出来ないと思います。

MC:それは、何故でしょう。

小出氏:東京電力の見通しはこれまでもずっと甘かったし、
  これも甘いと思います。

MC:どういう所が具体的に甘いポイントでしょうか。
  いくつか教えて頂けますか。

小出氏:まず、被曝環境が酷過ぎます、今は。

MC:作業員の方の被曝環境が酷過ぎて、
  この工程表の通りには作業が成り行かない、と。

小出氏:たぶん出来ないと思います。

MC:放射線量について伺いますけれども、
  今もお伝えしました通り(ニュースコーナーで)ロボットを入れて、
  放射線の量を測定しました。
  そうしましたら、建屋の内部の放射線量が、
  最大で3号機で1時間当たり57mSvだというのですね。

小出氏:1時間当たりの値ですね。

MC:これは、作業員の方の被曝線量の限度から考えると、
  4時間半、働かれたら限度を超えるという計算だそうですが。

小出氏:計算上はそうですが。

MC:どういう意味でしょう。

小出氏:もともと普通の方々は、1年間で1mSvしか浴びてはいけないのです。

MC:1年間で1mSvというのが基準なんですね。

小出氏:普通の皆さんは。
  私は放射線業務従事者というレッテルを貼られている特殊な人間ですけれども、
  その私にしても1年間に20mSvしか浴びてはいけないのです。

MC:小出先生のような専門に従事してらっしゃる方でも、
  1年間に20mSv・・・

小出氏:そうです、それが上限なのです。
  ただし、今回の場合はとにかく異常事態なので、
  そんなような事は言っていられない、と。
  この事故を収束させるという1回だけの作業に、
  労働者一人当たり100mSvまでは我慢しろというのが、
  これまでの基準だったのです。

MC:これまでは100mSvが基準でしたが・・・

小出氏:要するに、それもどうしてもしょうがないから我慢しろ、
  という基準だったのです。
  本来は一年間で20mSvだったのですけれども、
  たった1回で、100mSvまでは我慢しろという事に、
  とてつもない膨大な被曝を我慢しろというふうになっていたのですね。
  でも、それももう守れないので、100mSvではなく250mSvまで
  我慢しろというふうに厚生労働省があっという間に変えた訳です。

MC:そうですね、この期間に250mSvまで、
  上限を上げた訳ですね。

小出氏:その基準を満たすためにも、もう4時間も作業をしたらお終いという
  それ程酷い訳ですね。

MC:これは、1時間当たりで57mSv、
  4時間半経ったら限度を超えるという事は、
  翌日に同じ作業員の方が、一端寝て休息をして除洗というのですか、
  洗い流したらまた働ける状況になられるのですか。

小出氏:なりません。
  もう二度とその人はこの現場で作業は出来ない事になります。

MC:もし4時間半働かれたら、もう二度とは働く事はして頂けない。

小出氏:そうです。
  この福島の原発の事故の収束のためには、
  その方はもう何も出来なくなります。

MC:では、今いらっしゃる方よりも膨大な数の作業員の方が
  必要となってくるという事ですか。

小出氏:そうです。
  次から次へと被曝をする方々を集めて来なければいけなくなります。

MC:それは例えば、6カ月なり9カ月という範囲で、
  何人位の方の作業が必要という事まで、先生は推測・・・

小出氏:よく解りませんけど、たぶん何千人というような数が
  必要になると思います。

MC:まずおっしゃったように、作業員の方の被曝量が、
  非常にこの工程表では甘くなっているのではないか、と。

小出氏:と、思います。

MC:もうひとつ、今の放射線量の事に関連して伺いますが、
  その前日に1号機の建屋の外で作業員の方が事前調査をなさいました。
  そうしましたら、今回ロボットで測定した場所から40m程離れた扉の外なのに、
  1時間当たりの量は、270mSvだったと言うのですね。
  遠くに離れているのに、どうしてこのような事になるのでしょう。

小出氏:ロボットが計った所が必ずしも最大を計っていないからです。
  要するに、ロボットというのは、全てをいちいち見ながら動けない、
  とたぶん思います。
  決められた所を走って行って、それぞれの所から数値を送って来るというだけであって、
  こっちは高い、こっちは低いというような事をひとつひとつ見ながら、
  人間がやるような測定とは違うようなやり方で計っているはずで・・・

MC:遠隔操作ですものね。

小出氏:そうです。
  たぶん、正確な測定をしていないと思います。

MC:という事は、もし正確な測定が出来ない、
  甘い見積もりで作業員の方の労働時間を考えていて、
  それで6カ月なり9カ月という目標を立ててしまった場合、
  作業員の方に過度な負担を余計与えるという事に繋がりませんか。

小出氏:もちろん繋がります。
  それも繋がりますし、結局過度の負担を追わせられないという事になれば、
  後は日数が伸びるという事になります。
  どちらかに行くしかありません。

平野氏:先生、それとですね、いわゆる水棺方式というものを、
  今度工程表に上げているようですが。

MC:この水棺というのは、「水の棺」と書くのですね。

平野氏:これは、チェルノブイリの石棺と対照的な言葉みたいですけれども、
  漏水が今続いている時に、こういう水棺方式をやるという事は、
  現実味が、私なんかはないように思えるのですけれども、
  これはいかがですか。

小出氏:私もそう思います。
  そんな事は到底できません。

MC:水棺というは、何ですか。

平野氏:全部冷却水を埋めてしまうという事ですよね。

小出氏:格納容器の中に水を満たして行くという事ですけれども、
  格納容器がもう壊れている訳ですから、
  もともと出来ない事を言っているのです。

MC:これは、では格納容器が壊れていないという大前提に基づいて、
  この工程表を作っている訳ですか。

小出氏:そうです。
  でも、例えば2号炉というのは、格納容器の中の一番低い位置にある
  サプレッションチェンバーという圧力抑制室という部分があるのですが、
  そこの部分がもう既に爆発して損傷しているという事が解っているのです。

MC:これはもう事実なんですよね。

小出氏:はい、もう東京電力がそう認めていますし、
  2号機の格納容器の内圧が全く上がりませんので、
  私も壊れていると思います。
  ですから、その部分を補修しない限りは、
  いくら水を入れても漏れてしまうだけです。

平野氏:補修するに当っては、放射線量がきついという事で、
  現実的にはなかなか難しいのではないですか。

小出氏:出来ないと思います。

平野氏:という事はもうずっと水だけを掛けて待っておくしかない訳ですか。

小出氏:そうです。
  ですから、今回東京電力が言った水棺方式というのは、
  私は出来ないと思います。

MC:工程表の中で水の棺という水棺方式がムリだという事になったら、
  工程表の大前提が成り立たなくなるのではないのですか。

小出氏:成り立ちません。
  でも、東京電力は水棺方式と言っていますけれども、
  やろうとしている事は、ずっと以前から私が提案している事と一緒です。

MC:そうですね。
  水を入れて冷やす。
  ずっとおっしゃっている、これをずっとやり続けるという事ですね。

小出氏:そうなんですけれど、これはずっとやり続けられないので、
  要するに循環するラインを作りたいという、
  私も言っている訳ですね。
  東京電力が今度の水棺方式で提案しているのも、それなのです。

  私は、格納容器の中を全て水で満たす事は出来ないと思っていますので、
  とにかく水を掛けて、流れ落ちて来たものをまた集めて、
  もう一度圧力容器に戻すという提案をしている訳ですけれども、
  東京電力の方も結局は圧力容器の中に水を入れて、
  格納容器の中に溢れて来る、
  溢れて来たものをなるべく格納容器に、深い所まで溜めて、
  それをポンプで戻したい、と言っているだけなのであって、
  言っている事は、私は基本的には一緒だと思っています。

MC:その循環機能を作るというものに、
  何カ月位かかるとご覧になりますか。

小出氏:私は先ほど言ったように、
  とてつもない放射線量の高い場所で作業をしている訳で、
  今現在作業現場の汚染水を排出する事すら出来ないのです。
  トレンチという所に溜まった水を復水器という所に移したのですね、一度。
  漸くにして移したけれども、そのために縦坑の水位が何cmか下がった、
  と言ってほっとしたと思いますけれども、
  すぐにまたそれは戻ってしまった。

MC:また汚染水は増えたのですよね。

小出氏:それでまた、むしろ逆に増えているのです。
  それはでも当たり前なのです。
  外からどんどん原子炉の中に水を入れている訳で、
  それは、入れている限りはどこかで溢れて来るという事で、
  タービン建屋の地下、あるいはトレンチ、縦坑に溢れて来るのは当たり前で、
  いくらやっても同じ事になります。

  ですから、今のような冷却、外から水を入れて原子炉を冷やしながら
  溢れさせるというやり方を取っている限りは、
  溢れて来てしまって、作業現場がずっと汚れ続けるという事になる訳ですね。
  そうすると、循環するようなループを作る事は出来ない、
  という事になってしまう訳です。

MC:いつものように素人考えで何ですが、
  循環するループというのは、例えば安全な場所で全部組み立てて、
  後はちょっと付けるだけの作業を、原子炉の所でやる、
  というように出来るものなのですか。

小出氏:なるべく、そうしなければいけませんけれども、
  少なくとも最後には、今ある原子炉の所で付ける作業をしなければいけない訳ですね。
  それすら、もう本当に大変な作業だと思います。
  それをやる人達、いわゆる生身の人達がそれを出来るような環境を、
  どこまで作り上げられるかという事な訳ですけれども、
  膨大な汚染水の始末すら出来ないという事で、今立ち止まっている訳です。
  簡単には行かないと思います。

MC:ラジオネーム(省略)さんという方も、
  「高濃度の放射線の中、作業員の方達に一体どのような形で
  作業をせよというのでしょうか」
  というふうに不安を感じていらっしゃいます。
  作業員の方達が誰よりも不安でいらっしゃるかと思いますが。

小出氏:と、思います。

MC:1号機の格納容器に窒素をずっと入れ続けている状態ですよね。

小出氏:らしいですよね。

MC:これが、確か1週間位の予定だったと聞いているのですが、
  10日経ってもまだ窒素注入が続いています。
  これはどうしてですか。

小出氏:漏れているからです。

MC:窒素が漏れているのですか。

小出氏:格納容器というのは、ある一定の体積がある訳で、
  そこに窒素をどんどん入れて行けば、
  格納容器の内圧はどんどん上がるはずなのですけれども、
  上がらないのです。
  格納容器が破損していて、入れた所でどんどん漏れてしまっているという、
  そういう状態になっている訳です。

MC:この窒素も注入し続けなければいけないのですか。

小出氏:私は別にそんな必要はないと実は思っていて、
  もし1号機にそんな必要があるのであれば、
  2号機にも3号機にも入れなければいけないと思います。
  1号機だけ、どうして入れているのかなというのは、
  私は当初からの疑問ですけれども。

平野氏:一部の報道では、アメリカから言われたという事が流れていますね。

小出氏:はい、らしいですね。
  実に馬鹿げた事だと思います。

MC:それから、今回近隣の住民の方達がいつ戻れるかという話に対して、
  政府もいろいろな言葉を言っておりますけれども、
  先ほどのお話ですと、工程表そのものが甘い予測ではないか、
  という小出さんの見方で、
  甘い予測の元に住民の方に説明をするという事になってしまうのでしょうか。
  この辺りってどういうお考えですか。

小出氏:ですから、これまでも政府はずっと一貫して甘い予測で
  ここまで来ているのですね。
  住民の人達を避難させるに当たっても、
  一番初めは3kmと言った訳ですし、
  それも万一を考えて3kmと言ったのです。
  次にそれを10kmにする時も、万一を考えて10kmです、と言いました。
  その次に20kmに拡大した時も、これも万一を考えての処置です、
  とそういうふうに言って来た訳です。
  もう次々と自分達が甘い予測をしたという事を、
  半ば認めながらも、それでも自分達はちゃんとやってきたというような
  装いを作りながら来ているのですね。

  今回もだから東京電力が6カ月から9カ月と言って来て、
  それであたかも出来るかのように装っていますけれでも、
  私は、住民の方には申し訳ないけれども、
  必ずしもそうはならないだろうと思います。

MC:どうやってリスクを出来るだけ回避するかという、
  ここは判断が、
  どのようにするかですね。

平野氏:現実をやはり言わないとダメですよね。

小出氏:私は、現実は物凄い厳しいという事をキッチリと言わなければいけない
  と思います。

MC:それが本当に住民のためだというふうに・・・

小出氏:そうです。やはり現実を正確に伝えるという事が
  唯一の正直な立場だと思います。

MC:この予測が、それこそ良い形で実現されれば、
  と小出先生もおっしゃられる訳で・・・

小出氏:もちろんです。

MC:それは、私達も願いますが、また明日も解説お願い致します。

小出氏:はい。

MC:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生でした。
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