Actio 5月号に小出裕章氏インタビュー

エコ&ピース月刊誌『Actio(アクティオ)』の2011年5月号(1314号)<特集 原発はもういらない>に、2011年4月5日に行われた小出裕章氏のインタビューが掲載されています。

福島第一原発の水蒸気爆発を回避できるかは半年が勝負
京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さんインタビュー

冒頭部分がウェブサイトに掲載されていますので、転載させていただきます。全文は購入してお読みください。(Actioのサイト

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今は子どもを守って大人は被曝を我慢するしかない

3月11日、巨大地震と津波が東京電力福島第一原発を襲った。1~3号機では非常用ディーゼル発電機がすべてダウン。冷却機能を失った原子炉と使用済燃料の温度は急上昇し、水素爆発により建屋上部が破壊され、大気や海に大量の放射性物質が漏れ続けている。深刻な状況は打開できるのか、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに聞いた。
(聞き手=渡瀬義孝) (インタビューは4月5日)

プロフィール▽こいで・ひろあき
1949年生まれ。京都大学原子炉実験所。被曝や放射能汚染の実証データをもとに日本の原子力行政を鋭く批判。著書に『放射能汚染の現実を超えて』(北斗出版)、『隠される原子力・核の真実』(創史社)、共著に『人形峠ウラン鉱害裁判』(批評社)、『原子力と共存できるか』(かもがわ出版)、『浜岡原発の危険 住民の訴え』(実践社)など。

<原子炉圧力容器に穴が開いている>

◆大量の放水によって小康状態のようですが

 問題なのは原子炉圧力容器内の水位です。東京電力はこのデータを公表していますが、大量の放水が行われているにも関わらず水位はまったく回復しません。燃料棒の上部が露出する状態がずっと続いているのです。つまり圧力容器の底に穴が開いていると言わざるを得ません。東京電力は「下のほうに穴が開いているイメージ」と表現していますが、確実だと思います。

 圧力容器に穴が開き冷却機能が確保できないことで、核燃料を正常に冷やせない状態が続いています。すでに燃料棒の被覆管であるジルコニウム金属が水と反応して大量の水素を発生させました。被覆管はウラン燃料ペレットの形を維持しているわけですから、これが損傷してしまえばウラン燃料は崩れ落ち、さらに冷却しにくくなります。

 燃料ペレットは2800℃にならないと熔けないのですが、既に周辺環境でプルトニウムが検出されたことから一部は熔け出しているでしょう。まだ一部だけに留まっていると思いますが、もし全体が溶け出すようなことになると下に落ちる=メルトダウンです。その時、原子炉圧力容器下部に少しでも水が溜まっていれば、水蒸気爆発が起きます。

 その水蒸気爆発はかなりの規模になると思いますので、鋼鉄製の圧力容器を破壊するでしょう。さらに外側にある原子炉格納容器、これは放射能を閉じ込める最後の防壁ですが比較的ペラペラの建物ですので、これも壊れると思います。こうなれば、大量の放射能が何の制御もできないまま環境中に出てきます。これを私は最も恐れています。

<再臨界の可能性も否定できない>

◆放射性物質も依然として漏れ続けています

 当初私は原子炉は停止している、つまり臨界は止まったと考えていましたが、どうもその見方は甘かったのではないかと考えています。

 その理由の一つは、半減期8日の放射性ヨウ素の濃度が減るどころか増えていることです。3月11日に原子炉がきちんと停止して以降臨界が起きていないなら、1ヶ月近く経過すればヨウ素の濃度は10分の1以下に減っていいはずですが、逆に増加しています。

 もう一つは、タービン建屋の地下水に含まれる放射性核種の分析をしたところ、クロル38、つまり放射性塩素が検出されました。これは再臨界が起きている以外考えられない核種です。ただ、東京電力は頻繁に測定ミスをしていますので、このクロルについても測定ミスの可能性は否定できません。しかしこの核種はγ線を出すので、間違えて計測することはまずあり得ません。

 再臨界が起きるとウランの核分裂反応が始まり熱が出ますが、それが即爆発につながるわけではありません。再臨界を起こすとウラン燃料の形状が熱で変化し、臨界は一端収束します。しかし冷えるとまた形状が変化して再臨界する。ブスブスと臨界を繰り返している可能性が強いと私は思います。

 つまり小さな原子炉が動いていて、放射性物質が生み出され、それが環境中に漏れ出ている。しかも炉心のウラン燃料は、崩壊熱プラス再臨界の熱でさらに熔け続けている。もしその塊が炉心から圧力容器の底に落下したら、先ほど指摘した水蒸気爆発になり最悪の事態となります。
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