4月23日 楽観視できる状況ではない 小出裕章

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ニュース・コメンタリー (2011年04月23日)
今週の福島原発
基本情報の公開なき楽観論には注意が必要
解説:小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
 東京電力は20日、福島第一原発1号機タービン建屋の地下にある汚染水から先月25日に発見された放射性塩素38(クロル38)について、再分析の結果検出できなかったとして、当初の発表が間違いであったとする結論を発表した。
 これに対して、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏は、ガンマ線を出す核物質であるクロル38を専門家が間違えて計測するはずがないと反論し、周波数スペクトルなどの基本データを開示せずに結論だけを発表する東電の姿勢に疑問を呈した。
 小出氏はまた、先週日曜に東電から工程表が提示されるなど、福島原発の先行きについて楽観論が広がる中、原子炉の状態はまだ冷却が不十分であり、とても楽観視できるような状態には至っていないと警鐘を鳴らした。
 今週のニュース・コメンタリーは、神保哲生と萱野稔人津田塾大学准教授が今週の福島原発をめぐる動きを小出氏に聞いた。

以下、小出氏部分の要約です。

・(実はクロル38は検出されていなかったと東電が4月20日に発表したことについて)私はもともと日本の軽水炉型の原子炉では再臨界が起こる可能性はないと思ってきた。が、クロル38検出という発表が本当であれば、原子炉の温度の高さも傍証として考えると、再臨界の疑いもあると考えた。今回の東電による訂正が本当であれば、再臨界はおこっていないと考える。

・(クロル38を間違って検出することはあるのか?)ゲルマニウム放射線検出器というもので測定するが、専門家から見れば間違えることはありえない。測定結果のスペクトラムを見れば、一目瞭然。それなのに、訂正まで一ヶ月近くかかったことについては不審に思う。

・(再臨界が起こっていたとしても、小さな臨界であり、いまはその状態が既に解消されているという可能性は?)その可能性もあるが、東電は元々クロル38は出ていなかったと今回言っており、一度出たものが今は消えたという話ではないから分からない。

・(生データを検証する仕組みは?)東電は生データを開示していない。生データを見せてもらえれば一発で分かる話。

・(保安院が初めて炉心溶融を認めたが、三段階ある中の炉心溶融=燃料が下におちている状態だとしていることについて)燃料ペレットが溶融していたことは事故の初期に分かっていたこと。私は燃料は溶けても下には落ちておらず途中で残っていると思っている。その残っている炉心が冷却に失敗したことで下に落ちてしまう可能性があると思うが、そのときは水蒸気爆発が起こる。既に落ちてしまっていて爆発も起きていないというのであればまだいい。

・私は炉心(被覆管等)はまだ下のほうは壊れずに残っていると思っているが、上から落ちてくる燃料ペレットがそこに溜まっていると推測する。それが落ちて圧力容器の下にたまっている水と反応することになれば爆発する。最後の防壁の格納容器が破壊されると放射性物質が大量に放出される。

・(状況は改善していると言えるのか?予断を許さないのか?)水蒸気爆発が起きないでほしいと願っているが、自信をもってそうならないと断言できない状態。それは改善されていない。苦闘を続けないといけないということ。

・(峠を超えていないからこそ被曝をしながら現在の冷却を続けている?)そうだ。

・(東電の工程表の見通しについては?)東電はこれまでも楽観的な見通しを重ねてきたが、このロードマップもその延長上にあり、この通りにはいかないだろう。その理由のひとつは作業員の方々の膨大な被曝。平常時の基準の年間20ミリシーベルトが250ミリシーベルトに引き上げられているが、それでも次々に上限を超えてしまっている状態。また基準を上げるのではないかと不安に思う。(※二つ目言及なし)

・圧力容器の底が抜けて、格納容器にまで燃料が落ちればそこで爆発の可能性もあり、それを抜ければその下での爆発の可能性もあるが、最も恐れているのは圧力容器の中の水蒸気爆発。

・(一連の楽観的なムードについて)こんな事故を招いたのは、そもそも国と東電の楽観的な姿勢。この状況の中で楽観的な見方を続けているというのは信じられない話。

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