4月25日 情報一本化のリスク 小出裕章

2011年4月25日(月)、MBS(毎日放送)ラジオのたね蒔きジャーナルに小出裕章氏が出演されました。

2011年4月25日【月】
JR福知山線脱線事故から6年
107人が死亡したJR福知山線の脱線事故は、きょうで発生から6年を迎えました。今夜の特集では、事故で娘を亡くした、ある遺族の思いをお伝えします。
また、きょうも京大原子炉実験所の小出裕章さんに、原発事故について解説してもらいます。

今日も小出先生出演部分を録音、公開してくださっています。

【福島原発】4/25/月★1情報公開について 2水棺はどうか? 1/2

【福島原発】4/25/月★1情報公開について 2水棺はどうか? 2/2

以下、要約です。(全文文字おこし転載はその下にあります)

・(情報公開のあり方に関して細野補佐官が記者会見の一本化を発表したが評価は?)分からない。もともと一本化は私は大嫌い。それぞれの意見を言う方が好ましい。一本化した情報が間違えていたらどうなるのか。

・(東電と、チェックする立場の国が一本化することについてはどうか?)国はチェックするどころか推進してきた張本人。それなのに偉そうにしている。まず自分たちが悪かったということを反省するところから始めるべき。

・(東電が原発敷地の中の汚染地図を公開したが、作られてから一ヶ月以上公開されなかったのは?)私には分からない。他のこともすべて公開が遅れている。

・(敷地の汚染地図で気になる点は?)1と3号機の周辺にスポット状に高い汚染がみられる。建屋で水素爆発が起きたが、それにより汚染物質が飛び散った影響だろう。

・(一ヶ月経っても毎時70ミリシーベルトの地点があることについて)がれきそのものに近づけばその一桁多い数値になってもおかしくない。

・(毎時900ミリシーベルトのコンクリ破片も見つかったが)普通の人の被曝限度は年間1ミリであり、900分の1時間(※4秒)で1年間の被曝をしてしまう放射線量。

・(そういうがれきを撤去したとしてどう処分するのか?)放射能の墓場をどこかに作ることになる。チェルノブイリの場合はヘリや装甲車などを20kmくらい離れたところに作った墓場に廃棄した。福島のポンプ車などの場合もそれをすることになる。現在福島原発から半径3kmは一時帰宅も不可能になっており、そういう地域につくるのだろう。

・(一時帰宅については食品や家畜の持ち出しは禁止されているが?)科学的には家畜持ち出しはできない。が、科学では測れないものがある。

・(ペットを持ち出すことについては検討されているが?)人もペットも汚染されている。スクリーニングをしながら人は逃がしたが、避難地域で亡くなった人については遺体の持ち出しもできず、難しい状態。

・(馬淵補佐官が1〜4号機に連続地中壁の構想について語ったが可能か?)私の専門ではないが、大量の汚染水が現在海に出ており、それをしても水はなくならないため、他のところから出てくるのでは。一箇所を止めたから止まるとは思えない。

・(格納容器を水でいっぱいにすること=水棺化について)格納容器を水で満たすのは意図的にやっているのではなく、圧力容器の穴から漏れてきて、結果的にたまっている。今の状態は意味がない。もっと水が増えて燃料が水没するのであれば意味があるかもしれないが、いまは格納容器の下のほうに水がたまっているだけでメリットは何もない。

・(圧力容器から漏れているのであれば水棺方式は無理?)もともと無理があると思う。格納容器は巨大で、水で満たそうとすると何千トンもの水をいれることになる。が、格納容器は水をいれるような設計をしていないし、現在損傷があると思われる状況で、損傷がひどくなる可能性もある。

・(一時帰宅する人はマイカーを持ち出せるか?洗車すればOKか?)クルマは比較的汚染を落としやすい。が、放射性物質の除去は汚染地帯でする必要があるため、被曝が発生する。それにやっても全部は取り除けない。チェルノブイリの時は多くの車両が放棄された。

ブログSleepingCatsにてこの放送の小出先生出演部分を書き起こしていらっしゃいます。転載させていただきます。

4月25日MBSラジオ小出裕章氏「会見一本化、汚染物質の墓場、水棺等について」

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メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長

※完全なテキスト化ではありません。
 毎度の言い訳、誤字脱字等ご了承下さい。
 今回は時間なく、全く見直しをしていません(汗)

MC:それではここで、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に伺います。
  小出さん、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:今週もよろしくお願いします。

小出氏:こちらこそ。

MC:まず、この原発事故の様々な情報の公開の在り方について、
  総理補佐官の細野さんが今日発表致しました。
  これまで原発を巡っては、様々な形の記者会見が行われましたよね、小出先生。
  事故の当事者である東京電力、それから経済産業省の原子力安全保安院、
  また内閣府の原子力安全委員会、別々に記者会見を行っていた、
  これを1本化していくという話なのですけれども、
  この1本化については評価なさいますか。

小出氏:(溜息)解りません。
  もともとは、私は1本化というのは大嫌いなのです。
  それぞれの人がそれぞれの意見を言うのが良いと思いますが、
  今は、政府の言う事とか、東電が言う事とかが、
  てんでんばらばらで、何を信じていいのか解らない状況になっていましたので、
  そういう意味では、これまで原子力を進めて来た人達が、
  意思を統一して、ひとつにして頂く事は、良いような気もしますけれども、
  それが間違っていたら、それこそ困った事になるだろうな、と。

MC:そうなんです。
  正しい情報が迅速に公開されるのであれば、小出先生がおっしゃるように、
  良い面もあるかと思うんですが、
  これまでそれぞれの組織の言っている事が、バラバラで食い違っていたので、
  そこで、これはおかしいのではないのか、という、
  正しく疑う事も出来た訳ですよね。

小出氏:そうです。

MC:そこが1本化されてしまうと、間違っていた時に、
  追及しにくくなるのではないか、と。

小出氏:そうです。
  ですから、それは私が初め申し上げたように、
  もともとはバラバラの方が、私は好きなのですね。
  どこかで1本化して、というのは、私の好みではありません。
  (また大きな溜息)

MC:あまりにここまでバラバラだと、混乱するのではないかという
  ご意見ですか。

小出氏:そうですね、それもあったと思いますし。

MC:ただ、これは第1義の当事者である東京電力を、
  国はチェックする立場ですよね。

小出氏:ただ、国がチェックする立場って、
  これまで原子力を進めて来た一番の張本人は国の訳で、
  それが何か今、東京電力が悪いというふうに一切責任を東京電力の方に付けて、
  自分達は何か偉そうな顔をしている訳ですよね。
  まず、自分達が悪かったという事を、
  国が認める事から始めて欲しい、と私は思います。

MC:それから、更にこの情報公開のひとつの話として出てきましたのは、
  昨日になって東京電力がある地図を公開しました。
  これは原発の敷地の中の放射線で、どれ位空気が汚染されているか、
  というのを示しています。
  これを見ると、何号機の辺りにどれだけの、何Svの汚染があるかというのが、
  解る地図になっているのですが、
  これはもともと3月22日に作られて、どんどん情報が更新されていたらしいのですが、
  やっと昨日という事は、1カ月以上公開されなかったのですね。
  何故今頃公開するのですか。

小出氏:私には解りませんが・・・

MC:そうですよね(苦笑)。
  すみません、小出先生に聞いて・・・
  
小出氏:はい、この期間も全部そうでしたよね。
  いつまで経っても情報が出ないで、
  一月位経ってから初めて情報が出てくるという、
  この国は何なのかな、と私は思いました。

MC:この汚染地図をご覧になって、専門家の小出先生から、
  ここの所が特に気になる、と思われる点はどういう所でしょう。

小出氏:よく解りますけれども、
  1号機と3号機の周辺ですね。
  スポット状に物凄い汚染があるのですね。

MC:スポット状に高い汚染地域がある!
  何でですか?

小出氏:1号機と3号機は原子炉建屋の中で水素爆発が起きました。
  それは原子炉建屋の最上階という使用済み燃料プールがある場所で
  起きた訳ですけれども、
  そこは、核分裂性物質というような汚染の高いものが剥き出しである場所で、
  プールの底に燃料が沈んでいる限りはもちろん良いのですが、
  その燃料を取り扱うための交換機であるとか、
  いろいろな汚染をしたものがある場所なのです。
  それが、たぶん水素爆発で粉々に飛び散って、
  そこらじゅうに落っこちているという状況だと思います。

MC:爆発して一ヵ月以上経っても、最大で毎時間70mSvの所がある、
  という話ですけれども、この数値はどういう事を意味しますか。

小出氏:それはある場所の測定値ですし、
  もっと瓦礫そのものに近付いたら、一桁位多い数値もあった、と思いますし・・・

MC:確かに3号機の周辺で、1時間あたり900mSvのコンクリートの破片が
  見つかったという事ですね。

小出氏:そうです。

MC:これは、どれ位の数字なんでしょうか。

小出氏:普通の皆さんは1年間に1mSvしか浴びていけない訳ですから。

MC:1年で1mSvなのですね、限界が。

小出氏:はい。
  それが1時間あたり900mSvな訳ですから、
  900分の1時間というのは何秒になるのですかね、
  たぶん1秒とか2秒だと思いますが、
  そこにいたら、1年分の被曝をしてしまうという、
  物凄い場所がある訳ですね。

MC:「あ」と言ったら終わりますよね。
  そんな瞬時しか、側に居られないような状況が作り出されている。

小出氏:そうですね。

MC:こうした瓦礫は、いろいろ他にももっとあるのでしょうが、
  瓦礫を取り除かない事には、作業員の方達の作業が、
  進まないのですよね。

小出氏:そういう事です。

MC:瓦礫の撤去とよく言っていますが、
  撤去した瓦礫はどこへやるのですか。

小出氏:放射能の墓場というものを、どこかに作る事になるでしょうね。

MC:どこか。
  それはどこなのですか?

小出氏:解りません。
  例えばチェルノブイリの原子力発電所の事故の場合には、
  沢山のヘリコプターとか軍の車両とか、装甲車のようなものも含めて、
  動員された訳ですけれども、
  それはチェルノブイリの原子力発電所から
  確か20km位の所だったと思いますが、
  そこに広大な墓場を作りまして、そこに集めて、廃棄されました。
  そういう事を、たぶん福島でもやらなければいけないと思います。

MC:汚染された瓦礫の墓場を見つけるという作業も
  これから必要になって来るのですね。

小出氏:もちろん瓦礫もそうですし、
  今消防のポンプ車で水を入れて来た訳ですけれども、
  そういうポンプ車なども、2度と使えませんので、
  そういうものをどこか墓場にしなければならないと思います。

MC:でも、その墓場を決めたら、またその墓場の半径何kmかは、
  人が近寄れなくなるのではないのですか。

小出氏:そうです。
  ですから、今福島の第一原発から3kmの所は、
  とにかくもう一時帰宅すら許さないという汚染地帯になっている訳ですね。
  その外側の20kmあるいは風下に当たった所の人達を
  避難指示とか警戒区域に指定して、人を入れないようにしている訳ですから、
  そういう地域の一部に、そういう墓場を作る事になると思います。

MC:そういう作業も必要なんだ(と独語)。
  一時帰宅の事について伺いますけど、
  食品や家畜の持ち出しは認めないというルールなのだそうです。
  ですけど、本当に家畜を家族のように大切にしていらした
  酪農家の方々にとっては、それはいたたまれない事だと思うのですが、
  やはり家畜を連れ出す事はムリだと科学的に思われますか。

小出氏:科学的にはそうです。
  でも、科学では計れない問題だと思います。

MC:例えば、ペットの持ち出しについては、今政府が検討中なのだそうです。
  家畜もペットも生き物であるという事では共通だと思うのですが、
  ペットを持ちだすという事の危うさ、検討課題というのはどこなのでしょう。

小出氏:ペットも人も汚れている訳ですよね。

MC:汚染はされている訳ですね。

小出氏:ですから、人だってむしろ汚染されていた訳で、
  皆さんスクリーニングをしながら、
  髪の毛が汚れているから洗いなさい、
  服が汚れているから、それは袋に入れて縛って捨てなさい、
  とか言って、それでも人は逃がした訳ですね。
  でも例えば、汚染地帯で死んでしまった方に関しては、
  もう遺体が汚れているから持ち出してはいけない、
  というような事でやっている訳ですよね。
  ですから、とても難しいと思うのですよ、これは。

平野氏:すみません、海洋汚染の方もちょっと気になるのですけれども、
  今日馬渕首相補佐官が、1号機から4号機まで連続地中壁のようなものを
  構造物を作って、環境への排出を止める事を検討する、
  というような事を言っているのですけれども、
  これはじわじわと海ににじみ出るように、
  にじみ出るというかもっと大量なのでしょうけれども、
  こういう事は可能なのでしょうか。
  止める事は。

小出氏:それは私の専門と違いますので正確にお答え出来ませんけれども、
  既に大量の汚染水が、いわゆるトレンチ・ピットのコンクリートの割れ目から
  地下に沁み込んで、それが海に流れ出ている、と私は思います。
  それを防ぐために、矢板を打つなりして、海に流れ出るのを防止しようと
  そういう話だと思いますけれども、
  でもそれをやった所で水が無くなる訳ではありませんから、
  水はたぶん別のルートを取って海に出て来るのではないかな、
  と私は想像します。

MC:堰き止めるというのは、非常に難しいですか。

小出氏:要するに、地下の事な訳ですし、
  地下水はあっちこっちに流れ出ている訳で、
  もともと一カ所を止めたからと言って、それが止まるというふうには、
  私には思えません。

MC:この水で言いますと、水の棺と書いて水棺(すいかん)という、
  原子炉格納容器ごと水で満たそうという話ですよね。
  これは圧力容器の中の水を意図的に外に溢れ出させて、
  その外側を守っている格納容器の中を水で一杯にする
  という策だと聞いていますが、
  意図的にやっている訳ではないのに、水深た高まっている、水が増えている、と。
  これはどう見たらいいのですか。

小出氏:今水野さんがおっしゃった通り、
  意図的にやっているのではありません。
  圧力容器に既に穴が開いてしまっているから、
  圧力容器に水を入れる限りはどんどん漏れて来て、
  格納容器に溜まるという事、それだけの事です。

MC:意図的に溢れ出させるつもりが、
  圧力容器に穴が開いているので、勝手に下から漏れて、
  それで意図していないのに、水が溜まって水棺のようになって来ているのですか。

小出氏:そうです。

MC:そうしたら、それはそれで外から冷やせて良い、
  という事にはならないのですか。

小出氏:今の状態は全く意味がないです。
  どんどんもっと水が増えて、燃料が水没する位まで水が増えてくれる、
  というのであれば、その時点では某かの意味があるかもしれませんが、
  今はただ格納容器の中に水がどんどん溜まって来ているというだけで、
  何のメリットもありません。

MC:という事は、もともと圧力容器に穴が開いているとしたら、
  この計画そのものにムリがあるというお考えになりますか。

小出氏:私はムリがあると思います。
  格納容器というのは、巨大な容器ですので、
  それに水を満たそうとすると、
  何千トンもの水を格納容器の中に入れなければいけませんが、
  格納容器はもともと水を入れるような想定はしていませんし、
  そんな設計もしていませんし、
  今格納容器のどこかに損傷がある事だけは確かな事なので、
  水などを入れて行ったなら、きっとその損傷が拡がって行ってしまうでしょうし、
  水棺というのはむしろやらない方が良い、と私は思います。

MC:そうですか。
  この水棺で、世界のどこかで何か成功した例というのは・・・

小出氏:もちろん、ありません。

MC:ないのですね。
  世界で初めての試みな訳ですものね。

小出氏:そうです。

MC:もうひとつ、伺って良いですか。

小出氏:はい。

MC:話がちょっと前後してしまいますけれども、
  一時帰宅をこれからなさる方々にとって、大きな課題のひとつだと思うのは、
  車、マイカーを持ちだせるかどうかというのは、
  皆さんの生活にとっては大きいのではないかと思うのですよ。
  マイカーについても政府は検討中だと言うのですが、
  車は汚染していても洗車したら大丈夫じゃないですか。

小出氏:比較的容易だと思います。
  車の塗装は、どっちにしても付着はしますが、
  比較的汚染を落とし易いと思いますので、
  可能性はあると思いますけれども、
  でもその汚染を除去するために、また被曝をしなければいけませんし、
  だから・・・

MC:すみません、除染をするために被曝をするとはどういう意味ですか。

小出氏:要するに、汚染地帯でその作業をしなけれはいけない・・・

MC:汚染地帯で、その被曝をしたものを全部落として行かなくてはいけない。

小出氏:そうです。

MC:だから、作業は汚染地帯でしなければいけないのですか。

小出氏:もちろん、そうです。

MC:という事は、被爆地帯に長く(滞在し)、被曝する時間が長くなってしまう・・・

小出氏:そうですね、その汚染を除去するための作業も
  人々がそこで作業をしなければいけなくなります。
  それで全部は、どっちにしても取れません。
  ですから、そんな事をする位なら、もう諦めた方が良い、
  という事になるかもしれませんし、
  チェルノブイリの原子力発電所の事故の時にも、
  沢山の車両が全て放棄されました。

MC:そうだったのですか。
  今日も具体的にいろいろと教えて頂きました。
  明日はちょっとでも何か前進したニュースを届けられたら、
  というふうに思いますが、明日もどうぞ解説をよろしくお願い致します。

小出氏:こちらこそ。

MC:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に伺いました。
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