5月2日 小佐古氏は喧嘩相手 小出裕章 (MBS)

2011年5月2日(月)、MBS(毎日放送)ラジオのたね蒔きジャーナルに、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)が出演されました。

2011年5月 2日【月】
東日本大震災 福島県南相馬市の現状は…
福島第一原発事故の影響で、南相馬市は「警戒区域」や「計画的避難区域」など、4つの区域に分けられています。今夜の特集では、南相馬市の桜井勝延市長に電話をつなぎ、市内の現状や区域の設定による市民生活への影響などについて、話をうかがいます。
また、きょうも京大原子炉実験所助教の小出裕章さんに、福島第一原発事故について解説してもらいます。

今回も、小出先生の部分を録音して公開してくださっている方がいらっしゃいます。放送を聴ける地域以外の人にとっては非常にありがたいことです。

【福島原発】5/2/月★1.小佐古さんとは喧嘩相手です 2.水棺は困難

要約

・(東大の小佐古教授が内閣官房参与を辞任し、会見をしたが、小出先生は知っている人か?)私の喧嘩相手。浜岡原発についての静岡県のアドバイザーとして、浜岡原発は絶対安全だと言ってきた人。

・(今回小佐古氏が言っていることは?)今回彼が言っていることは大変まともであり評価したいが、いつから何故このように変わったのかは疑問。以前ならこのようなことを言う人ではなかったから、意外。でも今回の発言は正しいと思う。彼を支持したい。

・(原子力安全委員会は学校の件で助言をするにあたって議事録も作らず2時間で持ち回りで済ませたそうが、そういう体質なのか?)昔からそうだった。これまで私がたたかってきた裁判等で明らかになったのは、彼らが自主的な審査をせずに結論を出しているということ。これが初めてではない。

・(1号機で作業を可能にするために空気を浄化するフィルターをつけて放射線濃度を20分の1にする話が出ているが?)やらなければいけない作業。ただ、期待通りになるかどうか。建屋の放射性物質は原子炉由来のものであり、取り除いても期待通りに減るとは思えない。フィルターという発想そのものは全く新しいものではない。被曝環境のせいで設置はなかなか難しい。タービン建屋の汚染水の除去もなかなか進んでいない現状ではロードマップ通りにいかないということもあって、今回フィルター設置案が出たのではないか。

・(水棺に向けて注水量を増やしたがうまくいっていないようだが?)予想通り。本当に水棺ができるのならいいが、それを行うことで格納容器の破損の可能性が増えるし、もともと漏洩しているからそもそも無理ということもあるし、空気層が減ることで水素爆発の可能性も高まる。

・(格納容器を満たすだけの量の水を注いでいるのになぜ水位が上がらないのか理由が分からないと東電は言っているが?)それは簡単で、漏れているということしかありえない。何日か経ったら認めると思う。

・(3月12日に緊急措置としてベントが行われたが、そのときに作業員には知らされていなかったという報道があったが?)意外だ。ベントということはこれまで一度もなかった。途方もない放射能を大気に出す作業であり、必ず知らせるべきで、作業前に周知徹底すべきもの。知らせないまま行ったというのはすごく意外で、それほど混乱していたということだろう。

・(4号機の上空からの写真が出ていて、上から見る限り損傷はしていないと言われているが?)確かにラックは残っているようだが、写真は一部であり、そこだけOKだから全部OKということにはならない。一箇所でも漏れていればそれでダメという話だから、全体が分かる情報を出さないといけない。ただし、写真で見る限りでは燃料や制御棒が入っているラックが水の中にあるように見えたため、少しホッとした。他の場所も見たいが他の場所を撮影するのは難しいのかもしれない。

・(連休中も事態は進んでいるため発表はどんどんしてほしいが、2日に1回にするという話もあるが毎日発表すべき?)そう思う。

書き起こし(転載)

5月2日MBSラジオ小出裕章氏「小佐古参与辞任、フィルター取り付け、水棺等について」

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メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長

※完全なテキスト化ではありません。
 毎度の言い訳、誤字脱字等ご了承下さい。
 ( )は補足等。

MC:小出さん、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC・平野氏:よろしくお願いします。

小出氏:はい、よろしくお願いします。

MC:まず伺いたいのは、先週からの動きです。
  菅総理がわざわざ呼び寄せた内閣首相参与(内閣官房参与)
  という形で仕事をしていた放射線安全学の先生、
  東大の小佐古さん(小佐古敏荘)という教授が、
  自らお辞めになる事になりました。
  これは、とりわけ学校の校庭での子供の被曝の基準について、
  緩すぎる、と涙の会見となったのですが、
  この辞められた小佐古さんという方は、
  原子力の専門家として、小出先生はご存知の方ですか。

小出氏:はい、私のケンカ相手です。

MC:そうですか、じゃあ本当に議論で180度違うような方ですか。

小出氏:そうです。

MC:これまで、どういうお立場で、
  お話をなさっていたような方なのでしょうか。

小出氏:例えば、静岡県には浜岡原子力発電所というのがあるのですけれども、
  その浜岡原子力発電所に対する静岡県の技術アドバイザーになりまして、
  浜岡原子力発電所が絶対安全だというふうに言って来た人です。

MC:そうなのですか。
  浜岡原発は、地震の予想されている地域の真上にあるのだから、
  という話が今いろいろな所で議論になっている原発ではありますよね。

小出氏:そうです。

MC:この、今回お辞めになった小佐古さんがおっしゃっている事自体は、
  小出先生が先週の前半からおっしゃっていた事と同じなのですよね。

小出氏:はい。
  今回彼が言っている事は、大変まともです。
  私は彼を評価したいと思いますけれども、
  いつからどうしてこのように変わってしまったのかな、
  というのが私の疑問です。

MC:以前だったら、こういう事をおっしゃらないようなお立場の方でしたか。

小出氏:そうでした。

MC:そういう方が、このように、やはり今の政府のやり方は違うのだ、と。
  このままであれば、自分の子供にはこんな体験をさせたくない、
  ともおっしゃり、こんな事を認めたら学者としての生命を亡くしてしまうのだ、
  という強い事もおっしゃっています。
  ここまでおっしゃるというのは、小出先生からご覧になると
  どんなふうに見えますか。

小出氏:小佐古さんがこんな事を言うのは、私は大変意外でした。
  ただ今回の彼の発言は、私は正しいと思いますし。
  彼を支持したいと思います。

平野氏:先生、あの原子力安全委員会の在り方を今問われていると思うのですけれども、
  助言をするに当たって、2時間しか議論せず、
  しかも持ち回りで議事録も作らなかったと聞いているのですが、
  原子力安全委員会とは本来中立でもの申さなければいけないのですが、
  常にこういう体質なのですか。

小出氏:昔からそうでした。

平野氏:そうなのですか。

MC:今度だけではないのですか。

小出氏:はい。

MC:助言を要請されて2時間程で、国の言っている案で妥当です、
  と言ったという話ですが、これは小出先生は驚かれないのですか。

小出氏:はい、私は原子力に反対してこれまで、
  国と裁判とかを通じてやって来ましたけれども、
  そういう中で明らかになって来る専門家の委員会というものは、
  全く実質的な審査をして来ないまま結論を出すという、
  そういうものでした。

MC:今回、議事録がないと・・・

小出氏:いつもそうです。

MC:どなたがどういう事をおっしゃって、
  どういう科学的な根拠でこうなったのか、
  検証する事が出来ないのですが、
  こうした事も、小出先生は初めてではないとご覧になりますか。

小出氏:私が見るのではなくて、事実がそうだったのです。

MC:そうですか。
  それから、先ほどニュース(コーナー)でお伝えしたのですけれども、
  1号機の原子炉建屋の中に作業員の方達が入れるようにするために、
  新たな工事が始まりました。
  これは、フィルターを付けた空気を浄化する装置を付ける、
  という話なのです。
  これをやると20分の1に、放射性物質が漂っているものの濃度が下がるだろう、
  という話。
  小出さんは、この効果についてどれ位のものを期待されますか。

小出氏:解りませんが、もちろんやらなければいけない作業ですので、
  もし私が東電の現場にいたとしても、やると思います。
  やったとしても、本当に期待通りになるかというのは、
  私は不安を持ちながらやります。
  今、原子炉建屋の中という所に汚染している空気はある訳ですけれども、
  それは原子炉の中の方から溢れて出て来ている汚染物があるのです。
  それが、原子炉建屋の中に充満している訳で、
  それを少しずつでも取り除こうとする訳ですけれども、
  また中から溢れて来ると私は思いますので、
  期待通りに減ってくれるとは、私には思えないです。

MC:20分の1に出来るような、そんな良いフィルターがあるのだったら、
  もっと早くしたら良かった、と素人は思うのですけれども、
  そういうフィルターがあるのですか。

小出氏:フィルターというのは、別にそんな難しいものではなくて、
  単に塵を取り分けるというだけのものですから、
  ずっと今までも使って来ましたし、ありました。
  ただ、それを設置しようとする作業自身が
  物凄い被曝を覚悟しなければ出来ませんので、
  なかなか今まで出来ないで来たという事です。

MC:そんなに物凄い新しい素材という訳ではないのですか。

小出氏:はい。

MC:まず設置する事が難しい・・・

小出氏:そうです。

MC:その設置する事を容易にする、何かないのですか。

小出氏:原子炉建屋の外と言うのは、今度はタービン建屋がある訳ですけれども、
  タービン建屋そのものにも汚染水が今溢れかえっているという状態でした。
  だから、それを少しでも減らしながら、何とか作業出来るようにしようとして、
  苦闘を続けて来た訳ですけれども、
  それすらなかなか上手くいかないで、今日まで来ているのです。
  でも、いつまでもこのまま続けていては、
  ロードマップが益々遅れるという事で、東電が決断したのだと思います。

平野氏:その工程表ですけれども、先生が疑問視された水棺に向け、
  水を毎時10トンに増やしていたと・・・

MC:6トンから10トンに増やしていたのですね。

平野氏:それをまた6トンに戻した、と。
  何か上手く行っていないというニュースが流れて来ているのですけれども、
  これは、先生の予想通りですが。

小出氏:私の予想通りです。

MC:これは水素爆発の危険性があるので、
  水棺という策は止めておいた方がいいのではないのかというのが、
  小出先生のご意見、早くからおっしゃっていましたが。

小出氏:そうですね。
  本当に水棺が出来るのなら、ひとつの方法だと私は思いますけれども、
  水棺をやる事によって、格納容器の破損の可能性が
  また別の意味で増えてしまうと思いますし、
  もともと漏洩している所に、水棺はまずムリだろう、という事を思いますし、
  格納容器内の空気層を圧縮して行く、
  水を入れる事によって、どんどん少なくなってしまう訳ですけれども、
  それによって、もし彼らが言っているように水素がそこにあると言うなら、
  水素爆発する可能性も高まると思います。

MC:ただ、原子炉格納容器を水で満たすために、
  もう十分格納容器が満たされる量を超える水は注いだ、
  と言うのですね。

小出氏:もちろん、そうです。
  でもそれは、どんどん今までも漏れて来た訳ですから・・・

MC:でも、水位が上がらない理由が解らない、
  と東電は言っています。

小出氏:はい。
  簡単な事で、解らない所が漏れているという事でしかあり得ないのです。

MC:そこを、認めざるを得ないという事ですかね。

小出氏:たぶん、そうだと思いますし、
  何日か経ったら認めると思います。

MC:ここまで本当に小出さんの指摘の後、
  何日か経って認めるという事がいくつか重なり、
  この水棺の危険性という事も、こういう形になって来てしまっているのですが、
  もうひとつ、これは3月12日、地震の次の日に戻らせて頂きますと、
  緊急措置で格納容器の圧力を低下させるために、
  ベントという作業が行われました。
  これは蒸気を排出する緊急措置ですよね。
  このベントをした時に、働いていた一部の作業員には、
  ベントの事実が知らされないまま始まっていたという事が、解って来ました。
  小出先生、感想を聞かせて下さい。

小出氏:意外です。

MC:ベントというのは、全員に知らせるのが当然というのは、
  こうした業界では普通の事なのですか。

小出氏:ベントなんて事は、まず一度も今までやった事はなかった訳ですから。

MC:日本では。

小出氏:はい。
  ですから、ベントをやる時に、皆に知らせるのが慣例かと言われると、
  もちろんそんな事は一度もなかった事ですから解りませんけれども、
  途方もない放射能を待機中に出すという、そういう作業ですから、
  私であれば必ず知らせると思いますし、
  重要な作業をするという事は、例えば朝のミーティングと言うのですかね、
  作業員達が集まって今日は何をするぞ、という打ち合わせをする時に、
  必ず周知徹底すると、私は思いました。
  ですから、それを知らないままにやったという事は、
  (大きな溜息)物凄い意外ですし、それ程混乱の極にあったのかな、
  というように思うしかありません。

MC:それから、4号機なのですけれども、
  今日4号機の上空から移した写真が出ていまして、
  これを上から見る限り、(燃料やプールの)損傷はないのではないか、
  という話が出て来たのですが、
  小出さん、この4号機の損傷については心配をしてらっしゃいました。

小出氏:そうです。

MC:写真をご覧になってどうですか。

小出氏:少なくとも、写真で見えた部分はラックが残っていますので、
  良いと思いますけれども、写真で見えたのはほんの一部です。
  ですから、そこだけ見せて貰って全然大丈夫というふうに言うのは、
  間違いだと思います。
  もっとずっと広い領域があって、どこか一カ所でも漏れていれば、
  そこからダメという事になる訳ですから、
  もっとキチッと情報というのは、出さなければいけないと思います。
  ただ、どうも写真で見た限りは水の中にあるように見えましたので・・・

MC:燃料が。
  (使用済み燃料)プールの中にあるという事ですね。

小出氏:はい。
  燃料や制御棒が入っていたラックが、
  まだ水の中にあるように写真では見えましたので、
  少し私はほっとしました。

MC:そうですか。

小出氏:まずは、他の場所を見せて欲しい、と思いましたが、
  なかなか他の場所を写す事は難しいのかな、という事も同時に思いました。

MC:そうですね、他の場所も見せて貰って、安心できるのが一番なのですが、
  逆に写す事が難しいのかもしれない訳ですね。
  連休中も一刻一刻いろいろな事態があるでしょうから、
  情報はどんどん出して貰わないといけないのですが、
  発表が2日に1回だなんて話もあったりして・・・

小出氏:そうなのですか?

MC:それはそれで批判を浴びて、
  毎日しようかという話もあるのだそうですが。

小出氏:それは当然ですね。

MC:これは毎日最新情報を貰わなければ、と思いますね。

小出氏:はい、思います。

MC:どうもありがとうございます。

平野氏:どうもありがとうございました。

MC:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに伺いました。
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