5月24日 政治に対する絶望のなかで 小出裕章 (MBS)

2011年5月24日(火)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組案内

2011年5月24日【火】
京大・小出さんの国会報告
 今夜は昨日、参議院の委員会で参考人として、原発について意見を話してきた京大の小出裕章さんにその感想を伺います。
 15分ほどの持ち時間の中で、小出さんは、日本の原子力施策の歴史や、これまでの行政の過失などについて、思いを語りました。
 この委員会に出席するにあたり、小出さんが何を思い、何を感じてきたか、率直に話を聞きます。
 また、この委員会の取材にあたっていたMBS・東京支社の松井宏文記者が、その後の議員の反応などについて報告します。

録音

【福島原発】5/24/火★小出先生の国会報告 1/2

【福島原発】5/24/火★小出先生の国会報告 2/2

要約

・(リスナーから行政監視委員会の感想。先生の想いがよく伝わったと。まず今日のニュースから。2号機と3号機でもメルトダウンが起きていたと東電がやっと認めた。東電は、原子炉の冷却は安定的に進められており今後放射性物質が大量に放出されることはないとしているが?)いいところと悪いところがある。私の考える最悪のシナリオは、メルトダウンが起きたときに水蒸気爆発が起こること。それが起こると圧力容器も格納容器も破壊され放射性物質が大量に放出される。まだ水蒸気爆発は起きていないが、東電が言う通りメルトダウンが既に起っていたとしたら、私の最悪のシナリオは回避された。ただし一つ困難がある。既にメルトダウンが起きたということは、炉心に水がないということで、それは圧力容器に水が貯まらないということを意味している。穴が空いていたらそこから漏水する。溶けたウランもそこから流れ出て、格納容器に落ちる。そこには水があって、何らかの冷却は出来ているだろう。だが、格納容器にも穴が空いていると思うようになった。東電がやろうとした水棺も、だから不可能。実際に水棺は出来なかった。最近になって原子炉建屋の地下に大量の水が溜まっていると言い出した。これは格納容器が破損していて、そこから原子炉建屋に流れ込んだということ。外から水を入れてそれが汚染されて溢れてはいけないから循環式冷却回路を作るべきと私は言ってきたが、破損がひどくてそれも不可能と思うようになった。

・(新しい何かが必要?)冷却をあきらめて全体を覆って放出を抑えるということしか手段はないと思うようになった。

・(国会で福島県の土壌汚染について議員から質問があった。今後福島ではどういう生活になるのかという質問。このことについて再度お願いしたい。)伝えにくいことだ。現在の福島の汚染は大変なもの。被曝はあらゆる意味で危険であり汚染地域から逃げてほしいと思う。だがチェルノブイリ事故のときの強制避難の基準を適用すると、800平方キロメートルという広大な面積から避難することになる。日本の現在の法律(年間1ミリ)を適用すると、福島県全域に匹敵するような地域を無人にしないといけない。それを考えると途方にくれる。

・(国会議員から手応えのある反応はあったか?)昨日は特にそうは思わなかったが、30人の委員がいたし、私をその場に招いたという事実もある。なぜ招いたのかということについては、それなりのいきがかりがあったのだろう。行政監視委員会の関係者の努力もあったのだろう。委員長も考えてそれなりの判断をした。ここまで来た以上はそれなりに受け止めてほしい。

・(昨日文科省で子どもに対する20ミリという基準に対する抗議行動があったが、疎開をどう考えるか?)真剣に考えないといけない。汚染地帯からの全員避難が難しければ、こどもだけは守らないといけない。どろんこになって遊べる場所を確保してほしい。こどもたちが苦痛に思わず楽しく過ごせるサマーキャンプのような場所も作らないといけない。

・(国会の委員会のあと院内集会に参加されたと聞いたが?)行った。発言しにいったのではなく、元気をもらいたいと思って行った。半分はこんなことを招いてしまって申し訳ないと思った。沢山の人が集まっているわけで、知恵を集めてこどもを守ることを実現したいと思った。

・(昨日ガンジーの言葉を紹介されたが、どういう思いで?)7つの社会的罪だ。理念なき政治、人間性のない科学、道徳なき商業といった言葉を紹介したのは、原発を進めてきた日本の形を反省してほしいという想い。

・(原発への警告を早くから続けてきた先生の声はこれまで国に届いていなかったが、長年の思いは伝えられたか?)割り当ての15分では言いたいことは言えなかった。が、周到に準備をしてくださった方たちがいる。こんな機会はもうないかもしれない。これまで政治の場に出ないようにしてきた。絶望してきたからだ。でも政治を動かさないとだめだと皆から言われたこともあり、一度はということで行ってきた。

・(事故調査委員会には先生のような人がふさわしいと思うが、声がかかったら出かける?)行かない。

・(なぜか?)政治は、私が経験した限りでは、すべて予め決まっている。学者の発言では国家の根本は変えられない。国に対する学者の従属、協力が続いてきた。だから私は足を踏みいれるのはやめていた。

・(今回の事故は政治の形も変えつつあると言えるが?)マスコミに期待したい。

・(マスコミの付け焼刃の知識では限界があり、先生のような人が中から声をあげてほしいと思うが?)いままで感じてきた絶望を伝えるにはあまりにも時間が足りない。

・(一日ゆっくりいつか聞きたい)機会があれば。

・(国会議員が原発事故について知らなすぎることに絶望した。どうか?)私が呼ばれたのは行政監視委員会。行政がどういうことをしてきたのかを話した。間違いは行政だけでなく、立法府もおかしてきた。立法機関に属する議員ひとりひとりにも考えてほしい。そういう機会があればそちらでも話したい。

・(法律を変えたいという意欲を昨日議員に感じたか?)感じなかった。

・(リスナーからの意見。国会は先生の声をきいたという事実がほしかっただけでは?)それはこれまでも常にそうだった。声を聞いてやったという形で責任逃れをずっとしてきた。それが絶望の一つの理由でもある。

全体文字おこし(転載)

5月24日MBSラジオ小出裕章氏「参議院行政監視委員会等について」 (SleepingCats)

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メインキャスター(以下「MC」):水野晶子さん
コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長

※完全な文字起こしではありません。
 また、誤字脱字等、ご了承下さい。
 ( )は補足等。

MC:ラジオニュース「たね蒔きジャーナル」、
  昨日は京都大学の小出先生が、
  ま、いつも「たね蒔きジャーナル」で原発事故について
  解説をして下さっているのですが、
  平野さん、小出さんは国会に昨日行かれまして。

平野氏:そうですね、大変大きな反響があったようですね。

MC:そうですね!
  皆さんも小出先生がどんな話を国会でして来られたのか、
  興味、関心、非常に高くていらっしゃると思いますし、
  小出先生はずっと原発に対して警告をして来られた方で、
  そういう方が国会に出て話をする機会を与えられるというのは、
  ちょっと今まで考え難い事だった訳ですから。

平野氏:国も、本当にどうして良いか解らないという事の、
  ある意味表れかも解りませんね。

MC:ここまで追い込まれたという状況で、
  小出さんをお呼びになったのか、と思うのですが、
  今日は昨日の模様なども含めて、お話頂こうと思います。
  京都大学原子炉実験所、小出裕章先生に伺います。
  小出さん、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:どうぞよろしくお願いします。

平野氏:こんばんは、よろしくお願いします。

小出氏:はい、こちらこそお願いします。

MC:早速ですが、リスナーの方から(ラジオネーム略)という方から、
  「昨日の参議院行政監視委員会での参考人招致でのお話御苦労様でした。
  先生の思いが良く伝わって来ました」と、このうようなお便りが来ておりまして、
  皆さんも昨日国会で小出さんがどんなお話をなさったのか、
  聞きたいというふうにおっしゃっているのですが、
  もちろんそうなのですが、
  その前にまず今日の話で聞かせて頂きたい事がございます。

  先ほどニュース(コーナー)でもお伝えしました、
  福島第一原発の2号機と3号機でも、1号機と同じように、
  メルトダウンが起きていた、と東京電力がやっと認めました。
  ただ、いろいろな発表と共に、こういう事も東京電力は言っているのです。
  「原子炉の冷却は、安定的に進められているため、
  今後放射性物質が大量に放出される事態にはならない」と、
  説明しているのですが、
  これは、小出先生、この通り、額面通り受け取ってよろしいのですか。

小出氏:良い所と悪い所とあると思います。
  私は、ずっとこの番組でも最悪のシナリオというのをお伝えして来ました。
  それは、メルトダウンという事が起きた時に、
  原子炉圧力容器の底に水が残っていると、
  水蒸気爆発という爆発が起こるはずだ、と私は言いまして、
  それが起こると圧力容器が破壊されるし、
  格納容器も破壊されて、
  大量の放射性物質が大量に大気中に放出される事になる、と。
  それだけは何とか防ぎたい、と私は言って来た訳です。

  所がまだ、水蒸気爆発は事実として起きていない訳ですが、
  東京電力は既にメルトダウンは起きてしまった、と言っているのであれば、
  私の描いた最悪のシナリオは回避出来たと思います。
  そういう意味で言えば、大量の放射性物質が環境に漏れ出て来る事はない、
  という方向に一歩入ったと思います。

  ただし、逆に言うともうひとつ、困難な事が出てきまして、
  既にもうメルトダウンが起きてしまったという事は、
  要するに炉心に水が全くないという事を東京電力が認めた訳ですが、
  そうすると、水がないという事は、圧力容器の底に、どこかに穴が開いていて、
  水が溜まらないという事を意味している訳ですから、
  もちろんそうなれば、メルトダウンするのは当たり前で、
  炉心が溶けてしまって、圧力容器の底に流れ落ちたはずです。

  圧力容器の底に穴が開いているとすれば、
  もちろん水はそこから漏れる訳ですし、
  溶けたウランも、そこから流れて落ちるだろう、と私は思います。

  落ちた先は、格納容器と言っているもう少し大きな容器の底に落ちる訳ですが、
  そこには何がしかの水があるはずで、
  たぶん何がしかの冷却は出来ていると思いますが、
  でも、もう既に格納容器にも穴が開いてしまっているのだろう、
  と私は思うようになりました。

MC:外側の容器ですよね、格納容器。
  そこも穴が開いているだろう、と。

小出氏:なぜそのように私が思うようになったかと言うと、
  東京電力が水棺というのをやろうとしたのですね、
  圧力容器の中に水を入れると、それがどんどん溢れて来て、
  格納容器に溜まるはずだ、と。
  溜まった水で圧力容器ごと水没をさせてしまおう、と計画した訳です。

  で、私はそれ自体はもう出来ない、と。
  格納容器のどこかに損傷があるはずだから、
  いくら水を入れても、溜まらないはずだ、と主張して来た訳ですが、
  実際にそれは確かに出来なかったのですね。
  いくら水を入れても溜まらないという状況だった訳ですが、
  最近になって、いくら入れても溜まらなかった水はどこに行ったかというと・・・

MC:どこに行ったのですか。

小出氏:原子炉建屋の地下に、深さ何mにもわたって、
  4000トンとか5000トンの水がもうあると言っているのですね。
  つまり、どうもこれは格納容器というものが破損していて、
  どんどんそこから水が漏れて原子炉建屋の方に流れ込んだという事だろう、
  と思います。

  しかし、そうなってしまうと、
  私は、従来から外から水を入れてそれを溢れさせるような形はダメなので、
  循環式の冷却回路を作る以外にない、と言って来た訳ですが、
  ここまで事態が進展してしまうと、
  循環式の冷却回路が出来ないのではないか、と思うようになりました。

MC:そこの所を、昨日国会の行政監視委員会でも発言なさいましたよね。

小出氏:はい、しました。

MC:ここまで事態が悪化していると、外付けの冷却装置を作るべきだ、
  とずっと思って来たけれども、それさえも出来ないかもしれない。
  という事は、新しい何かが必要である、と。

小出氏:はい、もう冷却という事を諦めて、
  全体を覆いを作って放射性物質の環境への漏れというのを抑える以外に、
  もう手段がないか、と思うようになりました。

MC:冷却さえ、難しくなっている。
  これは、具体的にどうしたら良いかという話は、
  また明日以降、教えて頂きたいと思います。

  そして、昨日の国会の委員会の話の中でなさったものは、
  ふだんこの「たね蒔きジャーナル」でお話頂いているお話と
  重なる点も多かったのですが、
  今の冷却装置の難しさと共に、私が「はっ」と衝撃を受けたもうひとつの事柄は、
  福島県の土壌汚染について、議員からの質問を受けられた時なのですね。
  これには、これから福島県の人達がどういう生活になるのかという事で、
  小出先生が質問を受けて答えられた訳ですけれど、
  この辺りを皆さんにもう1回伝えて頂けませんか。

小出氏:これはとても私も伝え難い事ですけれども、
  現在福島県は大変な汚染をもう既に受けてしまった訳です。
  被曝というのは、もちろんあらゆる意味で危険ですので、
  何とか汚染を受けた地域から人々が逃げて欲しい、と私は思うのですが、
  チェルノブイリの原子力発電所の事故の時に、
  強制避難をさせられたという汚染の基準があるのですね。
  その基準を適用すると、今現在800㎢だというのが、
  日本政府の発表です。
  それは琵琶湖の面積の1.2倍に相当するという位を、
  無人地帯にしなければいけない、という事になっている訳ですが、
  でも日本の現在ある法律、例えば1年間に普通の方は1mSv以上の
  被曝をしてはならない、という基準を適用しようとすると、
  たぶん福島県全域に匹敵する程度の地域を
  無人地帯にしなければならなくなると思います。

  一体そんな事が出来るのだろうかと考えると、
  私は途方に暮れてしまいまして、
  これからどうしたら良いのかな、という事を考えなければいけないと思います。

MC:そこで政治の力が必要であるし、
  皆が知恵を結集させなければいけない、
  という思いを昨日語られた訳なのですが、
  それに対して国会議員から、何か小出先生が手応えのある言葉というものを
  受け取られましたですか。

小出氏:昨日の場所では、特別には私は思いませんでした。
  ただし、30人の委員がいた訳ですし、
  私をその場に招いたという事実がある訳ですね。
  何故私をその場に招いたのかという事には、
  それなりの、たぶんいろいろな行きがかりがあったはずですし、
  おそらく、行政監視委員会の事務局というか、
  それをアレンジして来た人達の努力もあったと思いますし、
  委員長他がそれを受けて、これをやるしかない、と考えてくれたというか、
  それなりの判断をされた訳ですから、
  ここまで来た以上は、やはりそれなりに受け止めて欲しい、
  と私は願います。

平野氏:先生、昨日文部科学省に、
  福島県の小さいお子さんを持つお母さん方が押し掛けて、
  この20mSvという基準はおかしい、と声を上げて、
  デモもされたのですけれども、
  具体的に、今全員はムリにしろ、例えば子供たちを一定期間疎開させるとか、
  そういう手段は出来るのではないでしょうか。

小出氏:私はもうそれを真剣に考えなければいけない、
  と思うようになっていまして、
  福島県の汚染地帯から人々全員を避難させるという事がもし難しいのであれば、
  子供だけは何とか守らなければいけないと思いますので、
  例えば子供がどろんこになって遊ぶような場所、
  学校の校庭とか、幼稚園・保育所の庭とか、
  そういう場所は、全ての表面の土を厚さ5cmまで剥ぎ取れば良い訳ですから、
  それを剥ぎ取る事をやって欲しいと思いますし、
  疎開というのは戦争中の言葉ですけれども、
  子供達が苦痛に思わないで、楽しく別の所で過ごせる、というような、
  何と言うのでしょうね、良く言えばサマーキャンプとかいうような言葉を
  聞きますけれども・・・

平野氏:集団避難ですかね。

小出氏:本当に遊んで過ごせるという場所を、
  本当に真剣に作らなければいけないと思います。

MC:昨日、小出先生は、国会でのお話の後、
  そうした福島県の親御さん達にも参加されたのだと聞きましたが。

小出氏:終わってからまだ時間が間に合いそうだったので、行きました。
  別に私はその場に何も発言をしたくて行ったのではなくて、
  ちょっと皆さんの様子を見て、私自身が元気をもらいたい
  と思って行ったのですが。

MC:どうでした?
  お話をなさってどのような事を感じられました?

小出氏:半分は半ばこんな事を招いてしまって申し訳ないなと思いましたし、
  沢山の方が問題意識を持って集まって下さってる訳ですから、
  その知恵を集めて、子供たちを何とか守るという事を実現したいと思いました。

MC:国会での話に戻りますと、昨日小出先生のお話の中に、
  ガンジーの言葉というのが出て来ましたよね。
  これはどういう思いでお伝えになったのでしょうか。

小出氏:ガンジーが残した言葉というのは、「7つの社会的罪」と言うのですね。
  それぞれの政治の場所には、理念のない政治なんていうのはダメだという事を
  ガンジーが残して訳で・・・

MC:理念なき政治はダメだ。

小出氏:それから、所謂私が属しているアカデミズムという所では、
  人間性のない科学はダメだ、というような事・・・

MC:人間性のない科学・・・

小出氏:残している訳です。
  商業の所というか、金儲けの所ですね、東京電力も含めてですけれども、
  そこは、道徳なき富でしたかね、何かそういうような言葉を残しているから、
  これまで原子力を進めて来た日本の形というものを、
  やはり反省して欲しい、という事を思いながら、
  その事を聞いてもらいました。

MC:原発への警告を早くから続けて来られた、その小出先生の言葉というのは、
  これまで国には、やはり届いていなかったとお感じだと思うのですが、
  この長年の思い、これを昨日十分お伝えになれましたですか。

小出氏:私が頂いたのは15分という時間でしたので、
  もちろん言いたい事が全部言えた訳ではありませんけれども、
  周到に準備をして下った方々がいた訳ですし、
  こんな機会は、たぶんもうないかもしれないし、
  私自身は政治の場所に出るという事はしないようにして来たのですが・・・

MC:それはどうしてですか。

小出氏:もう政治には絶望しました。

MC:絶望しましたか・・・

小出氏:でも、皆さんが私にとにかく政治を動かさなければダメだろう、
  と言って、さんざんお叱りを受けて来ましたので、
  一度は行くしかないと思って行って来た次第です。

平野氏:例えば、今度、事故調査委員会が今日も発足したのですけれども、
  所謂実務的というか、検証委員会、実際に技術者が検証するという事に、
  私なんかは、小出先生が本当にふさわしいと思っているのですが、
  そういう所にもし何か声がかかれば、出掛けられるというお気持ちは、
  あるのですか。

小出氏:ありません。

平野氏:ないのですか。

(MC失笑)

平野氏:勿体ないというか、何とか生かして欲しいですね。

MC:何で出来るだけ政治と離れていたいのですか。

小出氏:私が少なくとも経験してきた政治というのは、
  もう全て決まっているのですね。

MC:最初から、結論が決まっている訳ですね。

小出氏:だから、その中に学者が一人どんな発言をしようと、
  もう国家の根本を変えるような事はもちろん出来ないと、
  そういう世界の事だったのです。
  そういう所に行ってしまえば、国家の根本にただただ従属させられて、
  協力させられるという、そういう構造がずっと続いて来ましたので、
  私はそういう所で国家の協力はしない、という事を決めていた訳ですから、
  そういう所に足を踏み込むのを止めて来ました。

平野氏:ただ、今回の事態というのは、これまでのそういう政治の
  既成概念というものも、全て変えているというような、
  現在進行形なのでしょうけれども、
  そういう事も言えると思うのですけれどもね。

小出氏:マスコミにそれをまずは期待したいと思います。

平野氏:あ、いや、マスコミもね・・・
  もちろんそういう役割も帯びているのですけれども。

MC:マスコミもそれは本当に大きな役割を果たさないと行けない。

(この辺りMCと平野氏がクロストークでよく聞き取れず)

平野氏:やはり、付け焼刃の知識では、なかなか語れないというか、
  言い表せないという事を実感するのですけれども、
  やはり、先生みたいな方が、本当に中に入って声を上げて欲しいな、
  と私は最近特に思うのですけれどもね。

小出氏:そうですね。
  ただ、その事を、私が今まで感じて来た絶望というのをお伝えするには、
  あまりにも時間が足りないと思います。

平野氏:ああ、そうですかね。

MC:今度、小出先生が如何に夢を持って原子力のアカデミズムの世界に入って
  そして、政治への絶望を抱かれたかというのは、
  時間をかけて一日ゆっくりお話下さいね。

小出氏:はい、ま、機会があればという事で。

MC:そう願います。
  私は昨日の委員会の様子を見て、私が絶望した事をひとつ申し上げますと、
  国会議員ってこんなにこの原発事故に関して知らなかったのかと、
  びっくりしたのです。

(小出氏、失爆笑)

MC:これは、「たね蒔き」のリスナーの方皆さん、思われる事ではないか、と。
  私らの方がまだ、小出先生の話を聞いていて知っているのではないか、
  と思ったのですね。
  どうでした?

小出氏:私が今回呼ばれたのは、所謂行政監視委員会という委員会なのですね。
  それは立法府として、行政をどうにやって監視するのか、という委員会だった訳で、
  そこに呼んで頂いた訳ですから、まず私は行政がどういう事をして来た、
  どのような不正を行って来たか、という事を昨日聞いて頂いた訳です。
  ただし、犯罪は行政だけが犯して来た訳ではありません。

  立法ももちろん犯して来た。
  例えば、原子力機構法だって立法機関が作った訳だし、
  原子力損害賠償法だって立法機関が作っているのですね。
  そういう事を、立法機関に属する議員のおひとりおひとりが考えて欲しい、
  と私は思いますし、もしそういう機会があるならば、
  今度はそちらに一度は行ってみたいと思います。

MC:そういう意味では、法律を変えて行こうというような意欲を
  昨日、議員さんの中で感じられましたですか。

小出氏:昨日は、感じませんでした。

MC:昨日は感じませんでしたか。

小出氏:はい。

MC:ラジオネーム(省略)さんという方の意見を一言、
  小出先生にお伝えしますけれど、
  「小出さんの訴えが国会でなされた事は大切だと思うのですが、
  国会としては、こうした小出先生のような方を呼んで話を聞いたという、
  ただその事実が欲しかっただけなのか、と勘繰りたくなるのです」。
  それについては。

小出氏:これまでもずっと政治の場で行われて来た事で、
  常にそうでしたよね。
  何か問題を自分達は聞いてやったんだという、
  そういう場所を作ったという事で、自分達の責任を逃れるという事は、
  もちろんずーっとやって来た事で、
  私が政治に絶望しているというのも、そういう事がひとつの理由でもあります。

MC:私達としては、小出先生の言葉が何とか政治に良い影響を与えて欲しい、
  と願うばかりです。

平野氏:そうですね。

MC:また、小出先生、こうしたいろいろな問題について、
  ゆっくりとお話頂く時間を儲けさせて下さい。
  今日はどうもありがとうございました。

小出氏:はい、ありがとうございました。

平野氏:ありがとうございました。

MC:京都大学原子炉実験所、小出裕章先生に伺いました。
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