6月3日 安全な被曝は存在しない 小出裕章 (zakzak)

2011年6月3日、ZAKZAKに小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)に取材した記事が掲載されました。転載させていただきます。

「低線量でも“安全な被曝”は存在しない」(2011.06.03)

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 最近、「放射線レベルが低いから安全」とか「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」と“専門家”が解説しているのをよく耳にします。しかし、放射線には「しきい値」はありません。「安全な被曝」などないのです。

 「しきい値」とは、放射線を浴びて体に症状が出る最低の被曝量を言います。でも、しきい値以下でも、細胞の分子結合が損傷を受けるのは避けられません。

 私のこの主張は、低レベル放射線の影響を長年調べてきた米国科学アカデミー研究審議会(BEIR)が’05年に出した見解――「被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値はない。最小限の被曝であっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある」――で裏付けられました。低レベルの被曝であっても、がんの発症率が上がるとの研究結果が出ています。どんなに低線量でも、被曝しないことにこしたことはありません。まして、放射性廃棄物をリサイクルして使用するなど、絶対にあってはならない。

 人形峠のウラン残土の問題でも、「安全です」と繰り返し残土を放置した機構(当時は動力炉・核燃料開発事業団)は、人形峠全体の0.6%にしかすぎない残土すら適切に処理できなかったのです。

 そして、ウランレンガを生産した鳥取県の三朝町では、それを2万個使って公園を造りました。自治体はいい加減な解決に手を貸すべきではないと思います。子供たちが遊ぶ公園に、放射性廃棄物が使われているのです。

 残土に限りません。原発からは、運転中も運転停止後も核のゴミが排出されます。そのうち低レベル放射性廃棄物は300年もの管理が必要です。300年後まで責任を持って管理するというのも、非常に大変なことです。

 さらに、原発から排出される高レベル放射性廃棄物は、その管理に100万年が必要で、日本では既に広島型原爆110万発分の廃棄物が溜まっています。しかし、この高レベル放射性廃棄物の処分方を確定できた国は世界に一つもないのです。

取材・文・撮影/樫田秀樹
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