原発一基、一基が敗北の証し 小出裕章

2011年6月14日発売の週刊誌『サンデー毎日』(6月26日号)に、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)のインタビュー記事が掲載されています。コメント欄で教えていただきました。ありがとうございます。

記事名

◇小出裕章京大原子炉実験所助教
「私は一体何だったのでしょう」

原子力の未来に夢を描いた科学者は、やがてその虚構に気付き、人生を賭して国策に異議を唱えた。京都大原子炉実験所の小出裕章助教(61)が「フクシマ」を語った。

記事内容

小出先生の発言部分を要約してご紹介します。

・メルトダウンした福島第一原発の核燃料は、圧力容器を貫き(メルトスルー)、格納容器を溶かし、さらに地下のコンクリ構造物を溶かしながら地下にめり込んでいると推測する。

・汚染水を浄化して循環させ冷却に使う循環注水冷却は不可能。解決策は石棺しかない。

・最悪のシナリオである水蒸気爆発は1号機では回避された。が、2,3号機ではリスクを回避したとは断言できない。

・推進派は格納容器破壊の確率は巨大隕石落下と同程度であり、原発は地震では壊れないとしてきた。今回は津波が想定外だっただけと言う。しかし2号機の圧力抑制プールは窒素が充満していて爆発は起こりえず、しかも地下にあって津波で壊れたとは考えにくい。地震で壊れたと考えるしかない。

・私は3月15日に東京でガンマ線を計測した。毎時2マイクロシーベルト(通常時の40倍)だったが、それを体内に取り込むと20マイクロシーベルトの内部被曝をした計算になる。

・福島の汚染はより深刻。50キロ離れた福島市も放射線管理区域に指定する必要がある。

・農産物、海産物の汚染は避けられないが、福島や近県の農漁業の壊滅を防ぐため、放射線感受性の低い大人が福島の食品を食べるべき。汚染度に応じて60歳以下は食べない「60禁」、「50禁」、「40禁」、「20禁」、「15禁」、「10禁」という仕分けをすればよい。そうした表示がない食品を子ども用とすれば、産地も子どもも守れる。

・日本はエネルギーを湯水のごとく使い、工業化を重視し、農業漁業を軽視してきた。そのあり方に反対するからこそ、原発に異を唱えてきた。

・今回の事故は私にとって決定的な敗北。日本に新たに原発を作らせないよう活動してきた私にとって、54基の原発一基、一基が敗北の証しだ。助手、助教として37年間私は何のためにこれまで生きてきたのか、と無力感を覚える。この先も事故防止に全力を傾け、残された時間を有効に使う。

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