6月21日 海の汚染を調べれば漁師の生活を壊す。私は躊躇する。小出裕章(MBS)

2011年6月21日(火)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組案内

『日米両政府は日本時間の21日夜、外務と防衛の閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を、ワシントンで開きます。迷走する普天間移設問題については、当初の計画通り名護市辺野古に移設することで合意する見込みで、新たな移設の期限は設けずに「可能な限り早期の実現」をめざすことを確認する方針です。これについて、沖縄県民はどう受け止めているのか、基地問題を精力的に取材している沖縄タイムスの渡辺豪記者に電話をつなぎ、詳しく聞きます。』(種まきジャーナルHPより引用)

録音

20110621 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

要約

・おととい札幌で講演。もともと私の講演会にはどなたも来ない。当初500人のところ800人を超えた人が来てくれた。ありがたいと思った。でもなんでかなあと思う。福島の原発事故が起きてしまったからなのだが、ほんとうに無念に思った。

・(昨日話し合った政治家の考える安全な原発というものについて)ここに至ってなおかつそんなことをいう人の神経が私にはわからない。

・(原発事故が津波で起きたことか地震で起きたことかで、他の原発の安全性を見るときに違いが出る?)そうですが、原子力発電所の事故というのは、津波や地震だけではなく他の要因もある。要因を全て潰せることなんて、ない。だからこそ原発はやめなければいけないと言ってきた。全ての要因がつぶせて安全な原発が成り立つといまだに思っている方がいる。

・政治の場はやっぱり難しい。私は関わりたくない。と思いました。

・(小出先生の言い続けてきたことが影響を与えている。これからも発言して欲しい)もちろん私は発言を控えるなんて思っていない。必ず発言を続ける。私に政治の場で発言しろと期待する人もいるが…。(これまで以上に声がかかると思うが)ありがとうございます。出来る限りのことはしたい。

・(福島市内で学校帰りの子どもがいた。マスクなし。短パン。素足。足の大部分が露出。女の子も。こんな子供たちの日常に対してどう思うか)被曝を防ぐという意味では好ましくない。特にマスクはして欲しい。子供たちは、暑くなれば長ズボンではなく半ズボンを履くのは当たり前。それを禁じなくてはいけないのは相当な覚悟がなければ出来ない。放射能は目に見えない。大したことないと思いたい、と福島の方は皆思ってると思う。今まで通り、子どもには特別な重荷を負わせないで、普通に生活させたいと誰もが願うと思う。私がもし福島の市民であれば、子どもを半ズボンで生活させたいし、泥まみれにして遊ばせたいと思う。それが好ましくない世界に実はなっている。なかなか認めることは出来ない人間の性(さが)なのかな、と思う。

・(被災地の漁港。海の大量の瓦礫を引き上げていた。再開のためには船が必要。億単位のお金の投資をしなくてはいけない。これまでどおりの商品価値の魚は採れるのか。放射能の汚染について伝えにくかった。どう思うか。)私も言えないと思う。現在の海の状態を調べる一番有効な手段は海藻を調べること。ずっと伝えてきたが。原子力発電所から距離ごとに100メートル、200メートル、あるいは500メートル、1キロというように海藻を調べていく。どの距離までどれだけの汚染が到達しているかを概算だが把握できる。ただこれを行うと、どこまで漁ができるか、商品価値のある漁業ができるか、が歴然と分かってしまう。そうなると私自身は福島の一次産業を守りたいと思っているので、どんな汚染があっても日本人として買い支えなくてはいけないと思っているし、今まで通り漁をして欲しいと思っている。だが実際汚染がわかると、日本の人たちは買わない方向に走る事は疑い得ない。汚染を調べることがいいことなのかどうなのか。漁師の生活を壊す方向になる。私としても躊躇がある。

・私自身は科学という場に携わっている人間。正しい情報が命です。他の皆さんに比べても、私はどうしても正しい知識を知りたいし、正確に公表したいと思っている。それでも今の段階でそれをすると、福島の農業漁業が崩壊するおそれがある。なんとか買い支えよう食べようと呼びかけているが、そんなことが実現できるかには自信がない。立ちすくんでしまうという現実がある。

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