6月23日 もんじゅは事故が起きれば福島の比ではない 小出裕章(MBS)

2011年6月23日(木)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組案内

今国会で議論されている「税と社会保障の一体改革」。「消費税を2015年度までに10%に引き上げる」という内容ですが、新聞各紙を見ても何となく「まぁ高齢化社会来るんだし社会保障目的税にするのなら仕方ないのかな・・」という論調が多いように思います。でも「それは財務官僚の創り出した神話に過ぎないのだ」と激しく批判している元財務官僚がいます。きょうのゲスト、嘉悦大学教授の高橋洋一さんです。東大理学部数学科出身という変わり種の財務官僚だった高橋さんに「頭の良い高級官僚がどうやって政治家を、そして国民を欺すのか」、裏側をじっくり話してもらいます。京大・小出先生の原発解説も。

録音

20110623 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

リスナーとのQ&Aの要約(後半になるに従い、文字おこしになっていますが)

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Q:(リスナーの質問「実家は郡山市の中で最も放射線量の高い場所にある。近所の大きな公園は立ち入り禁止。家族がガイガーカウンターで測定。4.7マイクロシーベルト。家の庭の芝生から5.4マイクロシーベルト。家の門からのスロープから2.7マイクロシーベルトという結果が。芝生の値が高いため刈ることが出来ず雑草が伸びています。どのように対処したらいいのか教えてください」)

A:難しい。普通の日本は、空間のガンマ線量は、0.05マイクロシーベルト毎時ですから100倍くらいになっている。福島原発から飛んできた放射能が降り積もっている。もしそこで子供さんが遊ぶ場所なら芝生は刈らなければならないし剥ぎ取ったほうがいい。そうでないなら、お年寄りだけなら諦めてそのまま過ごすという選択もある。子供さんがいるなら必ず剥ぎとって欲しいと私は思う。

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Q:(福島の土壌汚染を5センチひっペがせと(小出氏が)おっしゃっていたが、とても重要なことだと思う。本当なら福島の人全員を避難させたいともおっしゃっていた。土の除染でどれだけ大丈夫なんでしょうか。)

A:質問の中に「大丈夫」という言葉があったが被曝に関しては「大丈夫」という言葉を使ってはいけない。安全だとか安心だとか大丈夫だとか、そういう言葉は絶対に使わないように注意をして欲しいと思う。どんな被曝でもかならず危険がある。どこまで受入れざるをえないか、という判断です。私は今、子どもが遊ぶ場所は表土を剥ぎとってほしいと言っている。それをやれば被曝の量は10分の1になると思う。子どもが泥んこまみれになって遊ぶ場所は、多分5センチ剥ぎ取れば10分の1になるとおもう。今汚れているのは、3月の中頃に福島の原発から大量に飛んできた放射能が降り積もった結果。これからまた大量の放射性物質が大気中に放出される自体になるかどうかは、私にはよくわからない。なればまた表土が汚染されるので、また剥ぎ取らなくてはいけないかも、しれません。今のところは3月の中頃に比べると、空気中からたくさん降り積もるということはなくなっているので、まずは剥ぎとって欲しいと私は願っている。

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Q:(元原子力企業上級副社長のアーノルドガンダーセンという人がこんなことをいっている「今も福島原発の露出した原子炉と炉心からは何ミクロンものセシウム、ストロンチウム、プルトニウム同位体などのホットパーティクル、放射性物質の微粒子が放出され続けているのだ。科学者たちは日本のいろんなところでそして東京でさえもこのほっとパーティクルを検出している。ホットパーティクルは車のエンジンエアフィルターにくっついている。福島や東京などでは放射能汚染されたエアフィルターなんてのはごく当たり前のことで遠いところではアメリカのシアトルでもみつかっている」このことをどう理解したらよろしいのでしょうか?)

A:福島の原子力発電所は壊れてしまって、大変高温になった状態で、たくさんのいろいろな種類の放射性核種が空気中に出てきた。それはほとんどはものすごい細かな微粒子になって空気中に飛び出して、風に乗ってあちこちに汚染を広げている。その細かい微粒子を私たちはホットパーティクルと呼んでいて、もしそれを呼吸で取り込むと、例えば肺なら肺の吸い込んだ粒子がくっついたところに局所的な大量の被曝を与えるということで昔からこのことを危惧されている。特にプルトニウムはアルファー線という放射線を出すのですが、くっついた組織、近傍だけを大量に被曝をさせますので影響が大きいという推定がある。だから注意はしなくてはいけないし、特にアルファー線を出すものについては、どれだけあるかをしっかりと調べる必要がある。だが今現在のところで言えば、プルトニウムの被曝よりは、事故が起きた直後はヨウ素、現在はセシウム、そしてこれからセシウムとプルトニウム(※おそらくストロンチウムの誤り)という核種の被曝が中心に鳴るだろうと思っている。近傍はまたプルトニウムが問題になる箇所があるかもしれない。遠く離れた場所はセシウムとストロンチウムに注意をするのが一番良いと思う。

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Q:(奈良に住んでいるが、まわりには原発に無関心なひとが多い気がする。特に私の母は70を超えているが日本におきている大変なことを他人事のように暮らしている。先日私が関西にも放射性物質が降り注いでいるといったら、母は「家の中ではいいけど外では言うな」という始末。私の頭が変になったと思っている。そこで質問ですが、ここ関西でも微量の放射性物質が飛んできているという認識は、間違っているのでしょうか?)

A:いや、あっています。もちろん関西だけではない。九州だって沖縄だって、もっと言うなら米国だってヨーロッパだって、全部の地球に福島からの放射能が広がっていってしまっています。ただし、降り注いでいる量は福島の原子力発電所の周囲はものすごい濃密であるし、関西に飛んできている量はそれに比べれば薄まってるということ。もちろんちゃんと注意をしなくてはいけないが、その時に自分の身が心配なのか、あるいは奈良の子供たちが心配なのか、あるいは福島の子供たちが心配なのか。きちんと何が一番大切なことなのかを考えて欲しいと思う。

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Q:(もんじゅの落下装置23日にも引き抜きという報道があった。引き抜き作業はうまくいくのか。もし作業が失敗した場合爆発する危険はあるのか)

A:私も心配です。もんじゅという原子炉は大変特殊な原子炉で、福島の原子力発電所を含めて、ほとんどすべての原子炉は炉心という部分を水で冷やすことができるのですが、もんじゅという高速増殖炉という名前の原子炉ですけれども、それは原子炉を冷やすために水が使えないという宿命を持っていまして、水を冷やすためにナトリウムという物質を使っています。この物質は大変化学的な活性が高くて、空気に触れると火事になりますし、水に触れると爆発するというそういう物質なのです。それで原子炉を冷やして、冷やそうとしたわけですけれども、その、ま、冷やすためのナトリウムを有る場所に燃料を交換するための中継装置というのが、もともと使うのですが、それを落としてしまったのですね。それを引き出そうというのですけれども、空中に引き出せばナトリウムが火事を起こしますので、引き出す場所全体を覆うような特別な部屋を作らなくてはいけないし、中継装置全体を引き出そうと思うと重量が多分10トン近くになると思いますので、かなりの力のあるクレーンでないとそれを引き出す事もできないと、いうことで、ほんとにそういう作業を全く空気に触れないまま出来るのだろうかということは、とっても難しいし、もちろん配慮をしながらやるのでしょうけれども、万一空気に触れてしまえば、それで火事になると。火事になったときに、福島の場合には燃料が溶けそうだということで水をジャージャーとかけることができたわけですけれども。もんじゅの場合には水を掛けることすら出来ない、のですね。ほとんど手をこまねいてみるしか無いということになりますので、大規模の火災に発展するという可能性はあると思います。なんとかそんなことにならないように願っています。

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Q:(福島よりさらに難しいような状況になる可能性も?)

A:そうです。もし事故が起きれば福島の比ではありません。(かつて95年ナトリウム漏れ事故があり潜在的な危険性は他の原子炉とは比較にならないと?)はい。とてつもなく扱いにくい原子炉です。

(※は聞き取りづらかった箇所。)

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