6月27日 ストロンチウム内部被曝はホールボディカウンターではわからない 小出裕章(MBS)

2011年6月27日(月)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組案内

2011年6月27日【月】
「一定のメド」が生まれた瞬間~平野博文・元官房長官
自民党議員に政務官就任を打診、亀井氏には副総理を固辞され、と今日も話題に事欠かない菅政権。思えば6月2日の菅首相と鳩山前首相との「確認事項」なる覚書が事の発端でした。この文書を作成した張本人で「鳩菅会談」にも同席した平野博文元官房長官を東京スタジオに招いて「一定のメドの真意」、迷走する民主党政治の針路をどうみるか直撃します。京大・小出先生の原発事故解説も。

録音

20110627 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

内容要約

・(汚染水をいかにして浄化していくかという課題。本日も夕方始まったが1時間半で停止。感想を教えてください。)今日夕方からやったのはいわゆる循環冷却という試みをして、それがうまくいかなかった。その前にやっていたのが汚染水の浄化作業。これもトラブルを繰り返しながらここまできた。技術というのはトラブルを経験しながら一歩一歩行くしか無いもの。循環冷却もトラブルが続く。乗り越えながらなんとかやるしかない。うまくいって欲しい。

・(やり方を学んでうまくいくものなんですか?)わかりません。原子力発電所の事故は放射能を相手にします。普通の工場のトラブルであれば直して乗り越えていけばいいが、原子力発電所の事故の場合は放射能があり被曝は避けられない。トラブルがあれば被曝が重なる。そしてトラブルによって汚染が広がっていくので被曝がおおくなってしまう。

・(しかしこの方法しか今はないんですか?)循環冷却はずっとやって欲しいと言い続けていました。原子炉の炉心がまだ健全であれば絶対やらなければいけないし、やるべきだと思ってきた。しかし、5月の中頃に東京電力が既に炉心がメルトダウンをしてしまっていると主張を変えたわけですから、循環冷却には意味が無いかもしれないと思っている。

・(梅雨で水位が上がるが、溢れ出すという可能性がありますよね)なんとか避け無くてはいけないが、既にもう漏れてしまっているわけですから、汚染水を循環冷却をしようとしまいと循環冷却が成り立つか成り立たないか、そんなこととは全く無関係に汚染水を除去しなくてはいけない。これが進んでいないことが私には不思議です。

・(福島県民の被爆調査が始まった。調査のやりかた今のもので十分でしょうか)よくわかりません。いわゆる原爆被爆者の調査をずっとやってきたわけで、その経験を何とか活かしながらやろうとしているのだと思う。何月何日にどこにいたかということを聞き取り調査しながら、積み上げていくということ。考えて欲しいのですが、100日前のある時に自分がどこで何をしていたかを正確に思い出すことができるかというと、かなり不正確だろうと思う。かなりの誤差をもってしか評価できない事になっていると思う。内部被ばくを測定するということも、全く手段がないわけではないが100日も前の内部被ばくの量を評価するのはほとんどできないというか、相当な困難がある。

・(調べる放射性物質がヨウ素とセシウムだけでいいのですか)本当はよくありません。プルトニウムも敷地内で検出されたし、敷地外でも距離の近いところでは被曝はあったと私は思う。セシウムについで重要なのはストロンチウムだと思うが、これはホールボディーカウンターで測っても測定できない。(え? ストロンチウムはホールボディーカウンターではわからないのですか)わかりません。私たちのバイオアッセイという、おしっことかうんことかいわゆる排泄物を分析することでしかわかりません。仮にそれをやったところでもものすごい誤差がある。

・(ストロンチウムは大変人体に影響がある物質ですよね)そうです。(わからないんですか)はい。(影響が出てきて初めてわかる?)推測の手段はいろいろあります。土がセシウムでどれだけ汚れている。ストロンチウムでどれだけ汚れている。あるいは水がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ。食べ物がセシウムでどれだけ、ストロンチウムでどれだけ、ということを積み上げていけば、セシウムの汚染度とストロンチウムの汚染度がそれなりにわかる。人間の中に取り込んだ量がどれだけ。被曝がどれだけ。であると推定することはできる。しかし相当大きな誤差を含んでしまうことは覚悟しなくてはいけない。

・(調査結果だけで安心してくださいとは福島の人には言いにくいということですね)はい。言いにくいし、結果が出るのを見るのは何十年も調査を続けて、癌で死ぬ方の数を見るわけですから。大変な作業がこれから待っていると思わなくてはいけない。

・(原発で生み出される核燃料のゴミについて。使用済み核燃料が燃料プールで冷やす必要があるが、全国の原発で行き場のない使用済み核燃料がそれぞれの場所で保管され続けているという報道があったが、プールの7割はすでに使用済み核燃料いわゆる核のゴミで埋まってしまっているということですが、これどこへ持って行くんですか)これまでは原子力発電所の敷地には使用済み核燃料は残らないと国も電力会社も言ってきた。なぜなら再処理を必ずやるので、再処理工場に送りますと約束をしてきたから。従来はイギリスとフランスの再処理工場におくってしまって向こうで再処理をしてもらうということにしながらここまで来た。最近、イギリスやフランスに頼まず自分の国で再処理をしようと青森県の六ヶ所村に再処理工場をつくろうとした。だが、本来なら1997年から操業開始するはずだったが、難しい課題が次々に出てきて未だに実現していない。再処理工場には使用済燃料を受入れないと、原発の使用済燃料プールがどん詰まりになるというので3000トン分の使用済燃料プールを前倒しで作って、そこにすでに3000トン分だけ受け入れた。既に六ケ所の使用済燃料プールもいっぱいになっている。このまま行くともうすぐ各地の原子力発電所の使用済燃料プールがいっぱいになって、糞詰まりになって原子力発電所を止めなくてはいけなくなる、そういう状況に近づいてきた。

・(地上で保管しようという案。そんなことできるのか)それを私たちは中間貯蔵施設と呼んでいる。なぜ中間と呼んでいるか。その後再処理をするので再処理ができるようになるまでの中間的な置場。すでに東京電力は青森県のむつ市、下北半島の最北端。そこに5000トン分の使用済燃料の保管施設、中間貯蔵施設をつくろうとしている。既に建設が始まっている。(あぶなくないんですか)もちろん危ないです。5000トンなんていうのは、1つの原子力発電所が1年間で生みだす量に比べると160倍から170倍ある。とほうもない核のゴミを貯蔵するということになる。

・(地震で倒れたりして、地上にあるものがどうなるのか)可能性は0ではないわけで、だからどこの自治体でも受け入れたくないと言ってきた。しかし青森県のむつ市が受け入れるという決断をして建設している。

コメントは停止中です。