7月11日 南相馬の牛肉から規制値6倍の放射性セシウム検出について 小出裕章(MBS)

2011年7月11日(月)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組案内

2011年7月11日【月】
原発に替わる新エネルギーの可能性は??
原発の問題が明らかになった今、それに替わる自然エネルギーはあるのか?その可能性は見えているのか?上田崇順アナウンサーが全国の動きを取材しました。あしたと2日にわたって報告します。京都大学の小出先生にはきょうの原発の動きを分析してもらいます。

録画

20110711 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

内容書き起こし

(水野:小出さんこんばんわ)

小出:こんばんわ。

(水野:今週もよろしくお願いします。)

小出:よろしくお願い致します。

(水野:えー、まずですね。牛肉についてのおはなしで伺いたいと思います。南相馬市の農場から出荷されました牛11頭の肉から暫定基準値の3倍から6倍の放射性セシウムが検出されました。でこの牛たちに与えていたエサのわらにですね、多くのセシウムが検出されたと、いうことなんです。これについてはやはり藁が原因だというふうに小出先生も思われますか?)

小出:そう思います。

(水野:藁というのはこうした放射性セシウムを、なんて言うんですか?)

小出:多分そうではないと思いますが、事故の当時屋外にあったとすれば、それから降ってくるわけですから当然汚染されてしかるべきだと思います。

(水野:この藁がですね基準値の56倍に当たる1kgあたり7万6000ベクレルのセシウムが検出されてるんですね。この値をどうご覧になりますか?)

小出:えー、南相馬市ですから、福島の原子力発電所から多分30キロぐらいでしょうか。

(水野:20キロから30キロのあたりだと思います。)

小出;特に放射能が北の、いや北西に流れたときに南相馬市が風下に入ってその程度の汚染が生じるというのはごく当たり前のことだと思います。

(水野:ただあの土壌汚染の値を日々私が見ておりますと、近隣の所に比べて南相馬市はあの、値が少し低いのではないかと思っていたんです。他にもっと高いところがあると思っていたその南相馬市でこの値が出たものですから。私個人は多くなショックを受けているんですが)

小出:たぶんあのー、いわゆるバラつきといいますかですね、ホットスポットと私達が呼ぶような現象というのがあちこちで起こりますので、そういう現象がたまたま起きたとしても不思議でありません。

(水野;そして同じ農場から出荷された6頭の肉の加工肉がいろいろなところに流通しておりまして、そのうちの一箇所は大阪である模様なんですね。えー、まあ大阪の人たちにとっても、この大阪という地名がこうしたニュースに出てきたわけですけども。これをこいで先生はどういうふうに受け止められますか?)

小出:私は多分この番組でも聴いていただいたと思いますけれども、3月11日を境に世界は変わったのです。もう私たちは放射能まみれになって生きるしかないわけで。大阪が例外だとは思っていただきたくはありません。必ず汚染食料は流通することになる、なりますし、私たちはそれを受け入れるしかないのです。ただし私は子どもにだけは食べさせたくないので、そういうシステムを作らなければならないと、この番組でも聴いていただいたと思います。わからないままその流通させてしまっているという、それを何とか乗り越えなければいけないと思います。

(水野:例えば、この国はですね、厚生労働省、労働副大臣は全頭検査、牛を全部チェックしようという話も出しているんですけれども。検査すればどの牛が子どもに与えてはいけない牛なのか、ハッキリわかるのでしょうか?)

小出:わかると思います。

(水野:わかるんですか)

小出:はい。それは私自身がその国がやるよりは、東京電力が自分でやるべきだと思いますし、えー、私は東京電力に責任を取らせたいと思っています。で、東京電力に責任を取らせたいとおっしゃる人の中には汚染したものを買い取らせろと、東京電力にですね、言う方ももちろんたくさんいらっしゃるのですけれども。私は買い取らせたところで東京電力はそれを捨ててしまうだけですので、そんなことをしたらばやはり1時産業は成り立たないので、買い取らせるよりは、きちっと検査をさせてそれを大人が引き受けるべきというのが私の主張なのです。

(水野:ただ今回、あのすいません)

小出:はい。

(水野:小出さん、検査につきましてもね、最初の11頭については体の表面をスクリーニングしたときに、このスクリーニングをクリアーしてるんですよね? オッケーしてるんですよね?)

小出:はい。

(水野:だからそこではわからなかったということになりませんか?)

小出:はいそういう事です。体の表面を検査するだけではわからない可能性が高いです。

(水野:どうしたらいいんですか? 内部被曝したってことですか?)

小出:もちろんです。体の中に含まれているわけで、外側から計るということは、まあおおよそのことを知るぐらいのことを知ることしか出来ませんので、1頭1頭やはりその、肉にしたときに調べてどのくらいの汚染があるということを調べなければいけませんし。大変な作業なのですこれは。

(水野:内部被曝を1頭1頭調べることは現実的にできるんですか?)

小出:えー、わかりません。とても大変だと思いますけれども東京電力に買い取らせて廃棄させるというよりは、むしろ東京電力にその検査をさせるべきだと私は思います。

(水野:ラジオネーム61歳の主婦の方からのご質問です。このお肉をまあセシウムがたくさん見つかったお肉を、もし自分が食していたならどんなことが考えられるんですか? あるいはセシウムは体から搬出されることはあるんですか?)

小出:はい。セシウムというのはアルカリ金属というそういう元素群に属していまして

(水野:アルカリ金属?)

小出:はい。カリウムという現外ですね、同じ挙動を取ります。それでカリウムというのは人間にとって必須の元素ですし、人間の体中にありますし、セシウムをとればもちろん人間の体中に分布します。しかしカリウムがそうであるように新しくカリウムをとれば古いカリウムは排出されますし、セシウムもまた排出されていきます。ですから摂れば体の中に入るし、だんだんまた排出もされていくそういう性質のものです。

(水野:ということはセシウムを排出しようとすると新しいセシウムを取らなきゃダメだということですか?)

小出:カリウムをとれば同じように排出されます。

(水野:カリウムを摂ることでセシウムは排出されるんですか? 全部排出されるんですか?)

小出:いいえそんなことはありません。もちろんあの、一定の割合で排出されていくというだけであって、セシウムという放射性物質は、物理的には半分に減るまで30年かかりますけれども、人間の代謝活動はもっともっとスピードが早く活動していますので、30年も待たずに半分に減っていくというそういう本です。

(水野:そしたら小出先生もおっしゃるように大人が責任をもって食べて子どもを守るんだということであれば、もう大人はセシウムに汚染されたものをどうやって食べていくかというその知恵をつけていく次代になったということですか?)

小出:そうです。

(水野:例えばカリウムを摂るとかそういう事ですか?)

小出:はい?

(水野:例えばカリウムを今まで以上に摂ってセシウムを排泄する工夫をするというそういう事ですか?)

小出・えーっと多分出来ないと思います。カリウムというのは植物の中にほとんどある一定の割合で入っているわけで、人間が食べ物でとるという食べ物の量というのはですね、もう決まっているわけですから、カリウムだけをたくさん食べるということは出来ませんし。大人は被曝をもう諦めるしか無いという、そういう時代に入っているということです。

(近藤:先生今回福島県からの、まあ牛肉なんですけれども。ずっとホットスポットが話題になってまあ先生今放射能まみれというふうにおっしゃいましたけれども。例えば関東の福島以外のところからですね、こういうそのまあ汚染された内部被ばくの肉がですね、あのー、市場に出るという可能性ももちろんあるということですね?)

小出:あると思います。

(水野:このへんが、今我々この福島のみにとどまっているというイメージなんですけれども、その辺覚悟してできるだけチェックして摂取を押させるという自衛をしなければならないですよね)

小出:はい、そうなんですけれども、そのためには放射能が目にみえませんし、味もしない匂いもしないというものですから、どの食べ物がどれだけ汚れているということを私達自身が知らなければいけません。そのためにはどこかで検査をしてきちっと明示をするというシステムが出来なければいけませんので。

(近藤:これはあの牛に限らず、その海水汚染の魚介類なんかも同じですよね)

小出:そうです全ての食物です。

(近藤:その辺の情報も全く欠けてますよね。牛は全頭検査とか大臣も副大臣も言ってますけれども。そちらの方はまだ全然、ね? 公開されていない)

小出:それは日本の政府のやり方がそうなっているので、基準を超えたものはまずいから情報を後悔したりあるいは出荷停止にするけれども、基準を下回っていれば全て安全というふうに日本の政府は言っているわけで、そんなことはサイエンスの側からはありえないのです。ですからちゃんと測定をして、すべての食物に関して汚染の度合いを明示するというそういうシステムを作る必要があると私は思います。

(水野:なるほど。小出さんもう一つ。ゴミの焼却について伺います。千葉県柏市の清掃工場でゴミを焼却した灰から国の基準値の9倍近い放射性セシウムが検出されました。で、これまでもですね、灰、ゴミを焼却した灰からなどいろいろなところで出ているというおはなしはしてきたんですけど。これまでは下水処理施設の話だったと思うんです。下水処理場の汚泥のことをこれまで話ししましたが、今回は一般の普通のゴミを燃やしてこれだけのセシウムは検出されました。このままで、いいんでしょうかというかどうしたらいいんでしょうか?)

小出:いけないのです、本当は。私は京都大学原子炉実験所というところで働いていて、そこから出てくる放射性廃棄物をなんとか環境に出ないということでずっと苦労をしてきた人間ですけれども。もうそんなことはぜんぜん違うような汚染をしたものが、すでに環境上に出まわってしまっているということです。

(水野:今回も木の枝や葉っぱが原因ではないか、というはなしです。)

小出:はい。

(水野:そうなりますと、ほんとうに一般的なものまでもですね、燃やせないものが出てくると思うんですが、燃やさなければそれでいいのか。たまってきますよね?)

小出:もちろん放射能自身は増えもしなければ減りもしないのです。なにをやっても汚染はそのままあるということですから、燃やしたことで放射能が増えたわけではないのです。要するに濃度がただ高くなったということだけで、燃やさなくたってそこにあるのです。

(水野:そこにあるということになりますと、例えばですね、人が入ってはいけない管理区域にするなど、という措置もあるのかも知れなせんけど、一般の清掃工場まで止まると現実的ではないでしょうねえ)

小出:そうです。これまでのいわゆる日本の法律体系が全く適用できないほどの汚染になってしまっているのです。

(水野:はい。まだまだ伺いたいことがあります。今週もよろしくお願いします。)

小出:こちらこそ。

(水野:京都大学原子炉実験所の小出孔明先生に伺いました、ありがとうございます。)

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