7月14日 上関原発の討論会での“やらせ”について等 小出裕章(MBS)

2011年7月14日(木)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。

番組案内

12日に福島第1原発を視察した「福島原発行動隊」の山田恭暉さんがゲストです。熱中症が続発している現地の過酷な作業環境の実態、そして元技術者に出来ることは何なのか・・・直撃します。
京大・小出先生コーナーも!

録画

内容書き起こし

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(千葉:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんのお話を聞きました。では小出さん今日もよろしくお願い致します。)

小出:はい、よろしくお願い致します。

(千葉:今日は毎日新聞論説委員の藤田悟さんと一緒にお伺いしてまいります)
(藤田:よろしくお願い致します)

小出:はいーよろしくおねがいします。

(千葉:まず、新聞などで伝えられる情報ですと、九州電力のやらせメール問題なんですけど、ヤラセの賛成意見が寄せられたために、本来の賛否のメール数が逆転して運転再開賛成の人が多いということになっていたようですけど、小出さんはこのことについて改めてどうおもわれますか?)

小出:はい。前にも私お答えしたと思うんですけど、昔からやってきたことですので、私としては特別驚きもしませんでした。相変わらずなんだなと思っただけです。

(千葉:それが続けられているということを再確認したということですか?)

小出:そうですね。

(千葉:あのー、こういう組織的な世論工作といえることをやったという事になると思うんですが、それでありながら九州電力の社長は辞任しない、続投ということを表明してるということなんですが、これについてはどう受け止めますか?)

小出:原子力の世界で誰かが責任をとったということはいまだかつて1度もありませんでしたから、今回も同じようなことをやってるんだろうと思います。)

(千葉:それも今までと続けているということですか)

小出:はい。

(千葉:後いった会社の体質を変えるためにはいったいどんなことが必要なんですかね?)

小出:えーっと、まずマスコミがちゃんと書いてくれることだと思いますね。

(千葉;それで世論がしっかりそっちの方向を向くということが大切だということですね。)

小出:そうですね。

(千葉:それからもう一つ、あの福島第一原発の事故は、すべての電源が失われたことが大きな原因だったんですけれども。こんなニュースが伝わってまして、1993年に国の原子力安全委員会が全電源喪失対策というのを検討しながらも重大な事態に至る可能性は低いと結論づけていたことが報道で伝えられております。しかもその結論の明確な根拠は示されていなかったということなんですが。小出さんどう思われますか?)

小出:えーっと、これも何度かお聞きいただいたかと思いますけれども、原子力発電所というのは機械ですから、いろいろな事故の遭遇する可能性があるわけです。まあちいちゃな事故から大きな事故まであるわけですが、大きな事故を考えてしまうと、どうしようもなくなるということはみんな分かっていたわけで、大きな事故は必ずないと言わなければいけなかったと。ですからすべての電源がなくなるということは元から考えないということにしなければ、原子力発電というものは出来なかったということですから、彼等はそのとおりにした、ということです。

(千葉:でも国の原子力安全委員会ということは言わば専門家の組織のわけですから、言いにくいところをあえてここは言わなければいけないというポジションだったんですよね。

小出:本当はそうですけれども、原子力安全委員会っていうのは、ある時には原子力安全宣伝委員会と呼ばれたこともありましたように、形だけ安全だということをいいながら実質的には安全を守ってこなかったという歴史がありました。それが今回の結果になってます。

(千葉:それが今回の原発のストレステストを実施するということにおいてもこの原子力安全委員会が重要な役割を果たし続けていくということが伝わっているのですが、今の感じですと専門家集団としての役割は果たせていないと感じますので、改革が必要なんじゃないかと思うのですが?)

小出:はい、でも、国が原子力をやると決めてる以上はその中でどんな安全を守ろうとしても無理なんですね。

(千葉:どんなに改革をしていったとしても、しっかり安全を守るということにはつながっていかないということですか?)

小出:要するに必ず危険があるということを、まず皆さんが認識してくれなければいけないし、その危険があるということを認めてまでなおかつ電力が欲しいというなら都会につくるしかないと私は思います。

(千葉:やっぱり根本的な改革が必要だということですね)

小出:はいそうですね。

(千葉:はい、わかりました。えー小出さん、さて今日もですね、スタジオにリスナーの方から質問がたくさん来ておりましてそれをお伺いしていこうと思っております。よろしくお願い致します)

小出:はい、よろしく。

(千葉:えーまず最初はですね、えー大阪府堺市にお住まいのラジオネーム、ラジオ大好きさんという方からです。昨日の種まきジャーナルで紹介した24000年の方舟という25年前に作られた映画なんですが、大阪府泉南市熊取町に熊取燃料加工工場があるようなことがこの映画で描かれているようですが、今でもあるんですかということです)

小出:あります。

(千葉:あるんですか?)

小出:はい。

(千葉:え? じゃあ熊取町で、えー核燃料の加工がされてるわけなんですか?)

小出:はい。特に西日本の原子力発電所の燃料を成形加工しております。

(千葉:え? それが熊取町で?)

小出:はい。あの原子炉実験所の敷地の隣にあります。

(千葉:あー、それを知ってるという人は結構少ないと思うんですけれども・・・)

小出:と思います。

(千葉:はい。今でも熊取町で加工工場があって加工作業が続けられていると)

小出:そうです。

(千葉:ということですか。あとあの我々があんまり知らないところに原子炉施設だとかあるという例は他にはあるんですかね?)

小出:えー・・・。

(千葉:あの東大阪の市内に近畿大学の原子炉実験炉があると聞いたことがあるんですけれども。)

小出:ただあそこは豆電球しかつかないというような、本当のおもちゃの原子炉ですから。

(千葉:そうなんですか)

小出:はい。

(千葉:あ、そういう小さなものがあるということなんですね)

小出:危険という、まあ危険は危険ですけれども、それほどのものではないと私は思います。

(千葉;あーなるほどなるほど。工場が今でも動いているということはびっくりしました。それからもう一つですね、こちらの質問ですが、千葉県柏市にすむ64歳の男性でラジオネーム、ゆめちゃんからです。小出先生の原発の現状解説は最も正しいご意見とありがたく聞かせていただいております。えー、私の住む柏市は福島第一原発からおよそ200キロの距離なんですが、なぜかホットスポットでして近くの東大柏キャンパスでは毎日1時間おきに空間線量をモニタリングしていてそのデータを公表していて最近の平均で、0.27マイクロシーベルト・パーアワーです。えー、さてここで質問ですが、この環境下での外出時のマスクの着用は必要でしょうか、という質問です。)

小出:えーっとですね。空気中に放射性物質が漂っているときにはマスクはもちろんしていただいたほうがいいのですが。福島原子力発電所の事故で大量の放射能がえー吹き出してきて空気中を流れてきて、柏市で空気中で漂っていたというのは3月の中頃が一番ひどかったのです。その空気中に漂っていた放射性物質じゃすでにもう地表に落ちているのですね。ですから地面を汚しているという状態で、東大の柏の研究所で空間ガンマー線量が高いというのも、地面が汚されてしまっているからということが、えー、主要なきよう(紀要?)だと私は思います。で、地面に降り積もったものが風などでまた舞い上がってくるということはもちろんないわけではないですけれども、でも被曝という意味では今現在マスクということはあまり大切なことではないと思います。もちろんした方がいいです。ただマスクというのは大変鬱陶しいし、特に子どもにマスクをしろなんて言っても、無理だろうと私は思います。そういう事で言えば今現在でいえば、マスクということにあまり注意をする・・・よりは、むしろもっと地面の点に注意を向けたほうがいいと思います。

(千葉:藤田さんどうですか?)
(藤田:うーん、そうですね・・・あのちょっと九電の問題でですね、もうちょっとお伺いしたいのですがあの、非常にその一般常識からいうと、かけ離れたひどい出来事ですが、あの小出さんあの原子力業界のですね、体質をよくご存知でいらっしゃると思いますが、これはその九電で明らかになった問題ではありますが、あのー、まあ九電だけではなくてですね原子力業界、まあ全般にこういう体質があるというふうに見てよろしいんでしょうか。)

小出;はい、私はそう思います。

(藤田:ということは同じようなことはですね、他の電力会社でも実際行なわれていると)

小出:はい、度々経験しました。

(藤田:そうですか。実際そういう例をこう見られたことがございますか?)

小出:例えばわたくし山口県の主催で上関原子力発電所にえー、賛否を表明する専門家の討論会があって、それに呼び出されていったことがありますけれども。もちろん私は原子力発電に反対の意見を述べました。で賛成の人ももちろんいてですね、後から会場からの質問とかも受け付けてるのですけれども、その会場からの質問たるや、今までの私や推進派の人が檀の上でどんな議論をしてきたの、かなんにも聞いてなかったと思うように原子力発電はいいもので安全だというようなことを述べる人がたくさん出てくるというそういう集まりでした。

(藤田:なるほど。でもそういうですね、ごまかしのようなことをしているとですね、長い目で見ると原子力のその、信頼性がなくなるわけでしょ?)

小出:そうですね。

(藤田:そういう事がどうして彼等はわからないのでしょうかね?)

小出:えー・・・どうなんでしょう。長い間、そういう事で原子力の立地ということを乗り切ってきたという例があったわけですから、その歴史をずっと続けてきてしまったということなんではないでしょうか。

(藤田:まあそういう体質がこう染み付いてしまっているということですか)

小出:はい。

(千葉:はい。あのそれから、リスナーの方からの質問もう1問お願いします。こちらは茨城県北相馬郡にお住まいのラジオネーム、ことりださんという方からですね。福島第一原発作業員に対する放射線限度に関する質問なんですが。現在作業員の方は年間250ミリシーベルトを限界値としていますが、えーどうもアルファー線を主として放出する放射性物質はホールボディーカウンターによる検出はできないとの話なんですが。検出されない放射性物質もあるとしたら限度以上にすでになっているという人もいるんじゃないかなあと思うのですが、作業員の方の内部被曝というのが気になるんですが、どうなんでしょうか、ということです)

小出:もちろんアルファー線は全く検出できません。ホールボディーカウンターでは。ベータ線もほとんど検出できません。ようするにホールボディーカウンターでやる限りは、内部被曝に関してもガンマー線しか検出できないのです。もしアルファー線やベータ線の寄与をちゃんと計ろうと思うならいわゆるバイオアッセイとか私たちが読んでますけれども、おしっこであるとかうんこであるとかそういうものを測定して、推定していくというそのような作業しか出来ません。それは大変な作業でなかなか全ての労働者に対してやるということも今までは出来なかったでしょうし、これからも大変難しいだろうと。

(千葉:いまほんとにホールボディーカウンターの検査ですら受けられていない人もいるんですけれども)

小出:そうです。

(千葉:本当に正確にやろうと思ったら更に手のかかるそういう検査もしっかりしなければいけないということですね)

小出:そうです。

(千葉:うーん。わかりました。小出さんどうもありがとうございました)

小出:ありがとうございました。

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