12月12日「原発事故は終わっていない〜小出裕章さんインタビュー」OurPlanet-TV

原発事故は終わっていない〜小出裕章さんインタビュー

2012年12月12日、OurPlanet-TVに小出裕章さんが出演されていましたので、このブログでも共有させていただきます。 以下、小出さんのお話を文字起こししました。

野田総理大臣が、東京電力福島第一原発事故の「収束」を宣言してから間もなく1年となる。しかし現場では、毎日のように汚染水漏れが起きるなど、厳しい状況が続いている。
今、この事故について、どう考えるべきかー。方向転換できない政界、経済界。米国と日本の関係。大飯原発再稼働問題。種まきジャーナル。子どもたちの避難。京都大学の小出裕章さんが思いのたけを語った。

▼文字起こしは以下。

今起きていることというのは、私から見るとあまりにも酷いことが起きているんですね。
例えば、猛烈に汚染してしまったところがあって、人々が追い出されている、そして帰れないのです、これから何十年も。
そこの土地が無くなってしまったという状態なんですね。

かつて日本は戦争をして負けましたけれども、国家が戦争で負けても土地はあった。
ですから、国破れて山河ありだったわけで、人々は生きてこられたわけですが、放射能で汚染されたところは、土地は失われてしまう、誰もそこを使うことができないという、そういう土地になってしまっているわけですね。

戦争が起きても生じないような酷い被害が今現在生じている、そしてその周辺に何百万人もの人たちが捨てられて、今現在も被ばくをしながら生活せざるを得ないということになってしまっているわけで、そういう人たちの苦悩、重荷というようなものをどうやって測ることができるのか、金銭的なことも含めて測ることができるのかと考えると、もうどうにもならない酷いことが進行していると思う、私は思うのです。

しかし、本当に不思議なことだと思うのですが、政治の場、あるいは経済の場にいるという人たちは、それを感じない人たちばっかりなように思うのですね。
新しい原子力規制庁なんてものを作ったということになっていますけど、私から見ると本当にお笑いぐさです。
今までの原子力ムラに君臨してきた人たちが、また委員になって、日本には原子力基本法という法律があって、平和利用に限るという文言は付いていますけども、原子力を進めるという法律があるのですんね。
そのもとでまた原子力を進めてしまうということにならざるを得ないのです。
もう少しまともな人に委員になってほしいと私は思いましたけれども、でも誰がなっても同じです。

え〜、この国の基本をやはり変えなければいけないということに、もっと多くの人に気が付いて欲しいと思いますし、せめてこれまで原子力の旗を振ってきた人々は、自分の責任というものをもっときちっと自覚して欲しいと、私は思います。

◆変わらぬ原子力ムラ

原子力の世界で起きてきたことを見ると、本当に戦争とそっくりだなと思います。
一度、私自身もそうでしたが、原子力に夢を持ってしまったことがありました。
ほとんどの日本人はみんな原子力に夢を抱かされたわけですし、政治の場にも、経済の場にも、原子力に夢を持ってしまった人はたくさんいた筈だと思います。
そして、一度原子力に足を踏み込んでしまうと、それがいかに酷いものだということが分かっても、それに異を唱えることができなくなってしまうという状況だと思います。

先ほども聞いていただいたように、福島の事故というあまりにも悲惨なことが起きてしまった今でも、原子力から足を洗うことができないというような人たちが、政治の場にも、経済の場にもたくさんいるんですね。
何でここまで来て気が付かないのかと私は思いますけれども、たぶん、一度動き出してしまった社会の仕組み、あるいは巨大な流れというものは、そう簡単には止められない。
それは日本という国内だけの問題ではなくて、世界全体の政治の流れというものの中にも、組み込まれてしまっていて、まあ日本と言う国は私は米国の属国だと思っていますけれども、米国は日本に原子力を売りつけることで金儲けをしてきた国ですし、え〜、原子力というものは元々「核」と私たちが呼んでいるものと同じもので、米国は日本に核を一部分力を持たせることで中国等の国と対抗させようという思惑もある筈であって、容易なことではこの流れは変わらないだろうと思います。
残念ながら私の力などはまったく非力で、何を言っても何もできないまま、ここまで来てしまったわけです。
おそらく今後も私の力などは圧倒的に非力だと思います。

でも、唯一希望があるとすれば、今、多くの人たちが自分の頭で考えて、自分の足で立って、自分の意志を表明するという行動をあちこちで起こしてくれるようになってきた。
東京で言えば毎週金曜日に首相官邸デモというのがまだ続いていますし、関西でも関西電力に対する抗議行動がある。
そこら中でそうやって、誰から動員されるのでもない、誰から命令をされるのでもない、自分の意志で自分の発言を続けるという方々が今生まれてきてくださっていますので、そういう力がもっと大きくなって行くならば、本当かどうか分かりませんけれども、原子力を止められる日が来るかなと少しは期待しています。

◆大飯原発

原発全部止まると電気が足りなくなると言って、関西電力の大飯3号機、4号機を再稼働させました。二つ合わせて270万キロワットですけれども、大飯の原発を再稼働させた途端に、関西電力は300万キロワット分の火力発電所を停止した、それだってちゃんと電気は足りる、当たり前なんです。
政府の統計データがそれをきちっと立証していて、原子力発電なんてものは即刻止めても電気が足りなくなるなんてことは絶対ないのです。
それを東京電力、電力会社あるいは政府がウソを付いて、国民を脅かして、再稼働を認めさせた。

まあ、橋下なんてのは始めから期待もしていませんけれども、でも橋下にしたって大阪市市長ですね、今の。
それにしたって停電するぞと脅かせられたら屈服して、負けましたとか言ってしまうのですね。
まあ本当に情けない人たちだと思いますけれども、電気という、電気が足りるか足りないかという議論である限りは、もう決着が付いています。
原子力は要りません。

では原子力を止めたら電気代が上がるかと言えば、短期的には私は上がるだろうと思います。
なぜなら既に建ててしまった原子力発電所を使わないで、火力発電所を使うしかないのです。
火力発電所を使おうと思えば燃料が要りますので、燃料代がかかるだろうと思います。
でも、それがいったい何なんだと私は思います。
これまでだって、国や電力会社は原子力発電が一番安いとか言ってきましたけれども、それは彼らが都合のいいシナリオを書いて、計算しただけな値であって、先ほども聞いていただいたように、電力会社の実際の経営データを使って計算すれば、原子力は元々から一番高かったのです。
だから、そんなものを選択しなければ、日本の電気代はもっともっと安かったし、中小企業の人たちはもっともっと楽に生産活動ができたのです。
それを日本の政治、あるいは電力会社が、あまりにも愚かな選択をしたが故に、高い電気代に既になってしまっている、そして挙げ句の果てにこの事故を起こして、いったいどれだけの負担を負わなければいけないのか。

東京電力なんていくらやったって簡単に倒産します。
結局は今、日本の政府は国のお金を注入してなんてこということををやっているわけですけれども、みんな私たちのお金ですよ。
中小企業だって汗水垂らして働いた利益をみんな電力会社の不始末のために奪われていっていると言う、そういうことになっている。
そして、これも先ほど聞いていただいたように、自分が始末を出来ないゴミをどんどん作り出して、それを10万年100万年の未来まで、後の世代に押し付けなければ成り立たないという、もういったいいくらお金がかかってしまうのが分からないほど今たまたま私たちの時代の享楽的な生活を支えるために選択しようとしているのですね。
どうしてこんな馬鹿げた選択ができるのか私にはさっぱり分からないし、ちょっとぐらい電気代が今短期的に上がりますよというなら、もちろん受け入れるべきだと私は思います。

ただ、困る人たちはいるのです。
電力会社ですけれども、既に持ってしまった原子力発電を即刻廃絶するのと言うのであれば、すべてが不良資産になりますので、電力会社、まあ日本中の電力会社、沖縄電力はいいですけれども、それ以外の会社はたぶん倒産すると私は思います。
でも、仕方がないのです、それは。
一刻でも早くやったほうがまだ傷が浅いです。
これからやればやるだけ彼らは重荷を背負わなければならないし、その重荷のツケは結局私たち国民が払うのです。
今、日本中の電力会社全部倒産させてもいい。
それだけの負担を今の世代で引き受けるしかないと思う、のがいいと思います。

◆子どもたちを放射能から守る

一番いいのは逃げることです。
放射能相手に戦ったって勝てません。
向こうは強いです。

いくらやっても消せない、人間が戦っても。
逃げるしかないのです。

ですから、本当なら日本の法律があるわけで、放射線の管理区域にしなければいけないような地域に人々が住むこと自身がいけないことなわけですから、そういう汚染地帯からすべての人が私は逃げてほしいと思います、子どもも含めて。

でも、それができない現実が目の前にありますので、それならどうやったら子どもたちを被ばくから守れるのかということを考えなければいけない。
考えることが大人の責任だし、思いついたこと何でもやるべきだと思います。
そして、たくさんあります。

例えば、子どもには出来る限り汚染の少ない食べものを与えるということはやらなければいけないと思います。
でも、今現在日本の国は、それをやろうとしていないのですね。
ある基準を決めて、基準以上のものははねるから安心しろ、基準以下のものはもう安心しろと、言ってしまうわけです。
今、日本の政府が決めている基準は、1キログラムあたり100ベクレルです、お米でも何でもそうですけれども。
じゃあ99ベクレルのものは安全なのかと、90ベクレルのものは安全なのかと言えば、もちろんそんなことは全然ないのです。
もともと日本のお米なんていうものは、福島の事故が起きるまでは、1キログラムあたり0.1ベクレルしか汚れていませんでした。
それを100まで許すということは1000倍許してしまうことなんですね。
そんな食べものを私は子どもに与えていいとは思わないし、何とかそれをやらないで済むようにしたいと思っています。
ところが、今、それができないのです。
今、例えばここにお米が来る、このお米がいったい1キログラムあたり何ベクレル汚れているのかということを知ることが出来ないのです。
私は知れます、測ればいい、私が自分で、測りたければ。
でも、私が測れる量なんて知れてるものだし、日本中にいる子どもたちを守ろうとしても、私にはそんな力がないのですね。
で、多くの人、地域では、自分たちでそれを測ろうとして、放射能の測定室を作って、やっている人たちがたくさんいます。
ありがたいことだと私は思うし、そういう動きが広がっていって、少しでも子どもの被ばくを少なく出来る、少なくするということは、必要なことだと思います。

でも、私たちが汚染と呼んでいるものは、もともと東京電力福島第一原子力発電所の原子炉の中にあった放射性物質なんです。
もともと東京電力の所有物だったんです。
それを東京電力がウソをついて、バラまいて、食べものでも何でも汚れてしまっているわけです。
本当であれば、自分の所有物がどこにどれだけ汚染を広げているかということは、東京電力こそがそれを測定して、人々に知らせる責任があるのだと私は思います。

◆メディアと原発

昔、大宅壮一さんという人が、テレビが日本でどんどん広がってきた時代に、テレビのことを一億総白痴化の道具だと言ったことがありました。
私は本当にそうだと思います。

今の日本人、たぶん多くの人は、職場でも、家でも、テレビを点けて、視たくない時間もテレビが点いていて、たまたま点いている映像がちょっと面白くないとガチャガチャガチャとチャンネルを変えてみて、また少しでも面白いところで視ている。
それもまた面白くないとまたガチャガチャガチャと変えてテレビを視ている。
テレビを視るために人生が終わってしまうというような、そんなような生活をしているんじゃないかなと私は思ってしまいます。

それはあくまでも向こうから与えられる情報だけを視ているのであって、自分が何が大切で、自分にとって大切な情報を自分の力で取って行こうという姿勢が次々と奪われていってしまった歴史なんだと思います。
そしてそのテレビ、あるいはメディアというのは、丸ごと飲み込まれていた、もともと国家や経済界に。
東京電力という会社は、日本を代表するような巨大な会社でした。
でも、その東京電力が政治家に金をバラまいて、政治を牛耳って、マスコミに金をバラまいて、マスコミを牛耳って、原子力発電所だけは安全ですという宣伝をずうっと流し続けてきたのですね。
マスコミもまったくそれに抵抗できないまま、スポンサーの意向のままに情報を流すという、マスコミが、テレビを中心に、新聞もそうだと思いますけれども、ずうっと続いてきてしまった。
それがもう生活というか、企業のありかたというか、マスコミのありかたというか、完璧に染み付いてしまったが故に、そこから抜け出ることができないのだと思います。

◆たね蒔きジャーナル

毎日放送のたね蒔きジャーナルという番組に私は去年の3月14日から出してもらえました。
それまで私の意見を拾ってくれるマスコミなんてまずは無かったわけですけれども、ようやくに私の意見も所謂まあマスコミの一部で拾ってもらえるようになって、私はたいへんありがたかったし、え〜毎日放送に感謝しています。

そして、私からみればありがたいことに、関西だけでなくて、関東や東北の人たちも、その毎日放送をどうやって聴くのか私にはよく分かりませんでしたけれども、ちゃんと聴いてくれる。
そしてそれを何かインターネットで流してくれる人たちもいて、世界中で何か私の発信を受け止めてくださるというようなことが起きて、本当にありがたいことだとずうっと思い続けてきました。

ですから、私はたね蒔きジャーナルに対して、感謝の気持ちしかありません。
本当にこれまで1年半近く場所を提供してもらってありがたいことだったと思っています。

しかし、もちろんそれを面白くないと思う人たちは、必ずある、もちろん原子力ムラはそう思っただろうと思いますし、関西で言えば関西電力だって面白くないと思っていたに違いありません。
しかし、関西電力が、まぁ例えば関西電力が毎日放送に対してたね蒔きジャーナルを潰せと要求したのかと言えば、たぶんそうではないだろうと私は思います。

そうではなくて、毎日放送という一つのまぁ巨大なメディアとして、これまでずうっと作ってきてしまった姿勢というか会社のありかたと、そのものが自己規制すると、国家あるいは巨大な産業の進めていこうとする流れに対して、自己規制をしたのだろうと私は今推測しています。
それが本当かどうかはよく分かりませんが、たぶんそうだろうと思います。
そして、そのことこそ一番危険なことだと。

自分が本来やるべきことを忘れてしまって、メディアがメディアのやるべきことを自分から投げ捨てるということが一番危険なことだと私は思いますので、何とかまた毎日放送にもたね蒔きジャーナルを復活させて欲しいと思いますし、毎日放送だけでなくて、ほかのメディアも本当に自分たちの仕事は何なのかということをもう一度考え直して欲しいと思います。

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