1月19日 核分裂生成物を無毒化できない限りは、どこか隔離して人々のところに出て来ないようにする以外には為す手段がない/ラジオ・フォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年1月19日に放送された「ラジオ・フォーラム第2回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
「原子力発電の費用や、使用済み核燃料の処理問題など」

【パーソナリティー】
石井彰(ジャーナリスト)

【ゲスト】
小室等(フォークシンガー)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオ・フォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

ここからの時間は、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに登場していただきます。

◆石井
今夜も電話が繋がっています。
小出さん、こんばんは。

◆小出
こんばんは。

◆小室
こんばんは、小室等です、はじめまして。

◆小出
はい、小室さん、はじめまして。
お話し出来てうれしいです。

◆小室
こちらこそ。
よろしくお願い致します。

◆小出
よろしくお願いします。

◆石井
小出さん、あの、先ほどですね、小室さんからその原発の費用のですね、え〜、問題というのが、あのお話の中で出て来たんですが、実際にはあんまり原発を動かすためだけには使われてはないではないかというのは、それは本当でございますか。

◆小出
まあ、安全装置の費用というのをどのように評価するのかということに関わってくると思いますが、原子力発電所は五重の壁に守られているから安全だというのが、原子力を推進してきた人たちの宣伝の仕方でした。
でも、私から考えると、五重の壁を造らなければ安全とは言えないようなものなんだと、私はむしろそのように受け止めます。
え〜、膨大な放射性物質を持っているが故に、それを環境に巻き散らさないためには、何重もの壁を用意しておかなければ動くことができないというそういう機械なのです。
もちろん費用もかかります。

◆小室
パーセンテージとしてですね、どこからどこまでと線を引くというのもあの価格的にもいろいろそう簡単には行かないんでしょうけども、つまり、燃料があって、も、原料があって、そして、その原料のタービンを動かすために、タービンを動かすためには電力が必要であると、その電力でもって原子力発電所の燃料を何らかの形で云々って言ってタービンが回るっていうことみたいなんですけど、その、その原理だけでかかる費用っていうのと…。

◆小出
はい、要するに原子力発電所も火力発電所も単なる湯沸かし装置、なんです。
水を沸騰させて、蒸気を吹き出させて、タービンが回ればそれでいい、のですが、原子力発電所の場合には燃料がウランという元々放射性物質ですし、ウランを核分裂させてしまうと、放射能の量が1億倍に増えてしまいます。
そのため、そんな放射能をむき出しではもちろん取り扱えませんので、もうさまざまな安全のための道具を張り巡らさないと、お湯を湧かすことすらができないと、そういう状態になっているわけです。

◆石井
あの〜、小出さんですね、もちろんその、実際にタービンを回していくということも電力を作るということも去ることながら、原子力発電所に特有の問題としてですね、所謂放射能のゴミ、廃棄物が出てきますよね。

◆小出
そうです。

◆石井
所謂使用済み燃料をどうするかということについて、私たちは何も考えないまんまどんどんどんどん原発を各地に作ってきた、これを今、陸上で保管するというプランが出て来ているというニュースを最近見たんですけれども、このことについて、小出さんはどのようにお考えですか。

◆小出
はい、え〜、原子力というものを今私たち、使っているわけですが、人間が一番はじめに原子炉というものを作ったのは、1942年です。
え〜、マンハッタン計画という米国の原爆製造計画の中で、プルトニウムという原爆材料を作るためには原子炉を造らなければいけないと、いうことで初めて造られました。

え〜、それから数えると、既にもう70年経っています。
そして、原子炉を動かしたそのときから、原子炉を動かしてしまえば核分裂生成物という放射能がどうしても出来てしまうし、それを無毒化できなければ大変なことになることは、実はもうみんな知っていたのです。
そのために、1942年からもう放射能の無毒化に関わる研究は既に始まって、いつか何とか科学がしてくれるということを期待はしてきたのですが、結局70年経っても放射能の無毒化ということは出来ないということになってしまっています。
そうすると、無毒化できない限りはどこか隔離して、人々のところに出て来ないようにする、という以外にはもう為す手段がない、というところに私たちは追い込まれている、のです。

ま、いろいろな手段が考えられまして、宇宙にロケットで打ち上げて捨てて来いという話もありましたが、え〜、ロケットはときどき失敗して落っこって来てしまいますので、それはやはり出来ないと、いうことになりました。
え〜、ほかの手段としては、深い海の底に沈めてしまおうという案や、南極に行って捨てて来ようという案もありましたけれども、海も南極も原子力の恩恵を受けた国だけのものではないと、やはりそれはダメだということで、国際条約で既に禁止されてしまっています。

え〜、そうなるともうどこか、陸上で始末というか、まあ保管を続けるしかないわけですけれども、え〜、きちっと保管をしようと思うと、たいへんなお金がかかってしまいますので、今、日本の原子力を推進して来た人たちは、もう地面の深いところに埋めてしまえば、あとはもういいだろうと、そういう選択をしようとしている、のです。
ただし、では埋めてしまって、何年間そこにじっとしていてくれたらいいかというと、10万年とか100万年というのです。
え〜、そんなことを、世界一の地震国で、保証出来るような土地は、日本にはどこにもありませんので、本当はやっていはいけない、のです。

しかし、ほかの手段も無いし、もうどうにもならないということでそこに日本という国は追い込まれて来たのですが、つい先日、9月の11日に、日本の学者の国会とも言うべき日本学術会議というところが、やはり、放射能のゴミを埋め捨てにするのは正しくないという、勧告を出しました。
え〜、そうなると、ほかには為す術も無いという状態に今なってしまっていまして、その少し前から原子力を推進して来た人たちは、日本で生み出した放射能のゴミを、モンゴルに持って行って捨ててしまおうという、そんな案までが出て来てしまっています。

◆小室
酷いですね。

◆小出
はい、本当に酷いことだと思います。

◆石井
今、原子力発電を止めたとしても、あの小出さん、最後の質問になりますが、既に今までにたくさんのですね、え〜、使用済み燃料が、所謂核のゴミが出ております。

◆小出
そうです。

◆石井
それは、たいへん苦渋の選択ですが小出さん、どうしたらいいんでしょうか、とりあえずもう出てしまったものは。

◆小出
はい、私は皆さんから、そう問われるのですけれども、申し訳ありませんけれども、私も分からない、のです。
私は、自分で分からないようなゴミを生んではいけないと思いますので、まず即刻原子力は止めるべきだと、まず第一に主張しています。
そしてでも、それだとしても、既に作ってしまったゴミがあると、え〜、その量は、広島原爆が生み出した核分裂生成物の120万発分、既にある、のです。
それをこれから10万年100万年後の子々孫々にまで私たちは押し付けて行かなければいけないということになっているわけで、私自身は何としてもそのゴミを無毒化したいと思っているのですが、70年間苦闘して出来なかったことというのは、ほとんど出来ないと、やはり受け止めざるを得ないと、思います。

◆小室
小出先生、そんなこと言わないで。

◆小出
はい。

◆小室
それでも…。

◆小出
それでも何とかしたいと私も思っていますし、え〜、私たちの世代、せいぜい数十年という世代が、原子力に頼って、享楽的な生活を維持しようとしたわけで、え〜、それが生み出したゴミというものは、何としても私たちの世代で始末をつけるべきだと思いますので、え〜、そのような研究を、今後もやはり続けなければいけない、と思います。
私が生きている間にそれが出来るかどうかということに関しては、自信はありませんけれども、でも、方策は探らなければいけないと思います。

◆石井
あの、小出さんにはたくさんですね、あの〜番組をお聴きの方からの質問ですとか、私たち、小室さんも僕もいろいろ聞きたいことはあるんですが、あの〜、毎週、小出さんには電話に出ていただいてですね、一つずつですね、あのお話を伺わせていただこうと思います。

◆小出
はい。

◆石井
あの、末永くお付き合いください。

◆小出
こちらこそ、貴重な機会を作っていただいて、ありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。

◆石井
よろしくお願いします。
ありがとうございました。

◆小出
はい、ありがとうございました。

▼音声

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