「私自身は放射線管理区域のような場所に人々が住んで欲しくありません」/小出裕章助教 第2回インタビュー Powered by ホワイトフード文字起こし

小出裕章助教 第2回インタビュー Powered by ホワイトフード

放射能測定を行って食品を販売している通販サイト「ホワイトフード」による小出さんへの2回目のインタビューが、YouTubeで公開されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、文字起こしも行いました。
(同店のWebサイトにも文字起こしページが公開されています)

▼ホワイトフードの文字起こしページ
ホワイトフード

京都大学原子炉実験所助教でホワイトフードの相談役の小出裕章さんです。よろしくお願いします。 今日はホワイトフードのお客様である妊婦さんと子どものいらっしゃるご家庭からいただきましたご質問についてご回答頂きます。

Q.1《福島原発事故の被害想定》
チェルノブイリ事故による死者数と、日本での想定される被害はどれぐらいでしょうか?

◆小出

チェルノブイリの被害というのは、正確には未だにまだ分かっていないと私は思います。 事故直後に大量の被曝をして亡くなった方は31人というのが、旧ソ連政府の公式な発表ですけれども、実際にはもっともっとたくさんの方が亡くなっていると思いますし、その周辺でこれからガンで亡くなっていく方々というものに関しては、IAEAという国際的な団体が4000人ぐらいにおさまるという推定を出したのですけれども、それはごくごく一部の汚染地域にとどまっている人たちだけに基づいた計算でして、チェルノブイリ原子力発電所から吹き出してきた放射性物質は地球被曝という言葉ができたように、地球全体に汚染を広げていて、そういう人たちの被害、これからのガンということを考えると、多分何十万人という方々がそれによって亡くなると私は思います。

日本では、噴き出してきた放射能の量でいえば、チェルノブイリ原子力発電所から放射能のたぶん何割か、あるいは等しいぐらいかもしれませんけれども、何割かというぐらいだと思います。日本にとって幸いだったことは、福島第一原子力発電所が太平洋に面して立っていて、吹き出してきた放射性物質のほとんどは太平洋に向かって流れて行ったということが起こりました。そのため、東北地方を中心とする日本に降った放射性物質は、かなり少なくて済んだことになりましたので、チェルノブイリ原子力発電所の被害に比べれば、たぶん何分の1というぐらいで済むであろうと私は思います。

Q.2《牛乳の安全性について》
牛乳については、原発事故の影響によりヨウ素やセシウムが含まれているのではないかと不安に思っています。子どもの成長を考えると、全く飲ませずに育てるのは不可能ですが、どうすれば良いでしょうか。

◆小出

まずは、ヨウ素やセシウムがということでしたけれども、ヨウ素という放射性物質は私達が一番注意しないといけないものは131番という番号のついているヨウ素なのですが、それが半分になるのに、8日という日数になります。事故後2年経ってしまっていますので、実質上はもうヨウ素はないと思って頂いて結構です。

問題はセシウムなのですが、日本全土、あるいは全地球を既に汚染していますが、地球あるいは日本というところがセシウムで汚染したというのは、福島第一原子力発電所が初めてではありません。

1950年代、60年代に大量に行われた大気圏内核実験というもので、地球上全てが汚されてしまっていましたし、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所の事故でもやはりセシウムによって全地球が汚染されていたのです。ですから福島の事故の前も汚染されていないものは何一つないというそういう状態でした。その上に福島事故の汚染が加わったわけですけれども、汚染はもちろん濃淡がありますし、北海道や沖縄という地域に降ったセシウムは、米国の西海岸に降ったセシウムに比べればむしろ少なかったというような状態になっています。ですから、汚染から受ける被曝というものをゼロにするということは実はできないわけで、どこまで私達が受け入れるかという判断によると思います。私は現在の北海道あるいは沖縄というようなところで採れる牛乳であれば仕方ないと思いますし、加工食品のミルクを飲ませるよりはむしろ牛乳を飲ませる方が良いだろうと思います。

Q.3《魚の安全性について》
魚や海のものを食べないということを実行している人も多くいます。本当のところ、日本で獲れた海の物を私たちは食べて健康を保てるのでしょうか。

◆小出

健康を保てるかというご質問に関して言うなら、放射性物質、被曝というものは全て有害ですので、少しでも取ればそれなりの危険を受けるということになってしまいますので、健康は必ず損なわれるというお答えする以外にないと思います。 ただし、日本というこの国は海に囲まれた国で、私達日本人は海産物を食べながら生きてきた訳ですから、それを全て捨てるということは、私達はできないだろうと私は思います。

ただし、海の汚染というのは今現在もデータがきっちと集められていませんし、陸上の汚染は先程から何度も出てきているセシウムという放射性物質を問題にしていれば済むのですが、海の汚染の場合にはストロンチウムという放射性物質を十分注意をしないといけません。そのデータが残念ながら今のところあまり出てきていませんので、海産物に対する注意というのはどうしても私は必要だと思います。これから国あるいは東京電力にストロンチウムのデータ等を要求するいうのをやりながら、できる限り自分たちで自衛するということしかたぶん今はできないと思います。

Q.4《どれくらいで体から放射能を排出できるのか? 》
やむをえず食べものから放射能を取り込んでしまうことも多々あると思います。この場合、からだに取り込まれた放射能はいずれ排出されるものなのでしょうか。

◆小出

もちろん排出されます。人間という生き物も環境の中で生きているわけで、環境からモノを摂取して、それを排泄していくという所謂物質の流れの中で生きていますので、仮に放射性物質を取り込んでしまっても、それはまた人間の排泄機構で外に出ていくということになります。たとえば、セシウムという放射性物質は137番が一番問題なのですが、半分に減るまで30年かかります。しかし、ではセシウム137をからだに取り込んだら、ずっと体の中に残って30年経たないと半分にならないかというとそうではなくて、人間の体がセシウムそのものを排泄していきますので、70日あるいは100日かもしれませんけれども、それぐらいの日数が経てば半分に減ってくれるというそういう性質を持っています。

Q.5《プルトニウムやストロンチウムのこと》
本当にからだに悪影響を及ぼすのは、国が調査対象としているセシウムやヨウ素ではなく、検査対象外であるプルトニウムやストロンチウムなので、国の発表の措置だけでは大丈夫とは言えないと聞いたことがあるのですけれども、どう考えればよろしいでしょうか?

◆小出

福島第一原子力発電所の事故で放出されてきた放射性物質は、一部は大気中に放出されましたし、一部は海に放出されています。大気中に放出された放射能だけを問題にするのであれば、私はセシウムに気をつけるということが一番大切なことだと思います。というのは、大気中に放出された放射性物質のセシウムに比べると、ストロンチウムは恐らく1000分の1以下ですし、プルトニウムに至ってはたぶん100万分の1というその程度だと思います。たしかにプルトニウムは猛毒ですけれども、放出された量そのものが圧倒的に小さいので、やはり注意すべきはセシウムだと思います。

ただし、海に放出されたもの、あるいは今現在も放出されているモノに関しては、セシウムだけに気をつけているだけでは、私はダメだと思います。先ほどもちょっと聞いていただきましたけれども、ストロンチウムという放射性物質は確かに大気中には余り出て来なかったのですが、海に向かってはたぶんセシウムと同じぐらい出ているだろうと私は思います。

そして、ストロンチウムという放射性物質はセシウムに比べると数倍毒性が強いので、海産物から受ける被曝に限っていうなら、むしろストロンチウムの方が重要になるのではないかと思います。ですからこれから海産物に関してはストロンチウムというものを十分注意する必要があるし、国や東京電力が十分に測定をして、そのデータを公開して欲しいと思います。

ただ、プルトニウムに関して言うなら、海に出ている量も圧倒的に少ないと私は思いますので、皆さんがプルトニウム、プルトニウムと言って、プルトニウムの心配をしてくださることは、間違いではありませんけれども、そうするのであればやはりセシウム、あるいはストロンチウム、そういうものに注意を向けて頂いた方が良いと思います。

Q.6《外部被曝について》
私は北関東在住で、6ヶ月の乳児を育てています。この土地では事故後、空間放射線量が事故前の3倍ほどであり、大体0.9マイクロシーベルト前後でございました。安全の基準が分からず、散歩など外に出かけるのを極力控えていますが、短時間の散歩などもやはりこのまま控えたほうが良いのでしょうか。

◆小出

これは大変むずかしいご質問でございますけども、まずは数字を幾つか聞いていただきます。私はこの電話を大阪府泉南郡熊取町というところにある京都大学原子炉実験所の私の研究室で受けています。この私の研究室の放射線量は、1時間あたり約0.05マイクロシーベルトです。この原子炉実験所の中には放射性物質を取り扱う特殊な場所がありますが、それは放射線管理区域と呼ばれています。1時間あたり0.6マイクロシーベルトを超えるような放射線量の場所は、必ず放射線の管理区域にしなければいけないというのが今日の日本の法律です。

今聞かせていただきました数値は、0.9マイクロシーベルト、1時間当たりだと思いますが、ということですので、放射線の管理区域にしないといけない場所に相当すると思います。放射線の管理区域というのは、私のような放射能を取り扱うごくごく特殊な仕事をしている人間に限って立ち入ることが許される場所ですし、私のような人間でも立ち入った途端に水も飲むことも許されなくなる、食べ物も食べることも許されない特殊な場所なのです。私自身は、そのような場所に人々が住んで欲しくありません。日本という国がもし法治国家だと自分でいうのであれば、国家が人々をその場所から逃さないといけないと思います。ただ、残念ながら日本の国家はそんな力はもう国家にない、仕方がないから汚染地帯にみんな住めということで人々をその汚染地帯に捨ててしまっている訳です。

そうなると、普通の方は逃げることができないだろうと思いますし、今現在も汚染地帯の中で生活をせざるを得ない、子ども達もそこで生きるしかないという状態になっているのです。もちろん私はそのようなことを願いはしませんけれども、現実はそうなっているわけです。

そして、そういう中で子どもというものを、ずっと家の中に閉じ込めておくことが正しいことなのかと言うと、それも私は考えてしまいます。やはり子どもというのは外で走り回ってどろんこになって、そして草に触れてというのが私は子どもだと思いますし、そのようなことが何の心配もなくできるような環境がもちろん大切なのですが、今現在それが許されない時に、子どもをどのように育てるべきかというのは私にとっても難しい問題ですし、皆さんお一人お一人で判断して頂くしかないと思います。

答えにならなくて申し訳ないですが、許してください。

◆ホワイトフード森

はい、ありがとう御座います。今日のご質問は以上でございますがこのように子育てをしながら、特に妊婦さんもそうなのですけれども、不安に思いながら生活されていらっしゃる方から本当に沢山のメッセージを頂きました。その中からご質問を一部だけご紹介させて頂きました。今後とも定期的にご質問にお応えいただく機会をいただけると嬉しく思います。

◆小出

はい、私が答えられることであればお答えしますし、今日の最後の質問には私自身もどうしていいか分からず頭を抱えているという状態ですので、お答えできない場合もありますが、お許しいただけると嬉しいです。

◆ホワイトフード森

ありがとうございます。大変お忙しいところお時間をいただきましてありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

※同店の文字起こし文章をベースに、YouTube音声合わせて若干の修正を加えました。

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