4月13日 発熱によってウランのペレット自身が融けてしまう〜まさに想定通りのことが起きました。/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年4月13日に放送された「ラジオフォーラム第14回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
『福島第一原発・1号機のオペレーションフロア爆発について。2年前、3月11日から12日にかけて、「メルトダウン」していく事故の現場で一体何が起こっていたのか?至上最悪レベルの事故を防ぐことはできなかったのか?』

【パーソナリティー】
今西憲之(ジャーナリスト)

【ゲスト】
おしどり(漫才師)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオフォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆今西
小出さ〜ん、よろしくお願いします〜。

◆小出
はい、よろしくお願いします。

◆今西
2月24日、新宿ロフトプラスワンで、え〜、ラジオフォーラムのですね〜、イベントがありましてぇ、そのときに、え〜、ゲストにいっしょに来てくれましたぁおしどりの二人が今日はスタジオに来てくれていますぅ。

◆おしどりマコ
お久しぶりです〜。

◆おしどりケン
お久しぶりです、こんにちは。

◆小出
ケンさんもですね。

◆おしどりケン
そうですよ〜、僕もいてます。

◆おしどりマコ
良かったね、覚えてくださって。

◆おしどりケン
こんにちは。

◆小出
はい。

◆今西
それでですねぇ、え〜ロフトプラスワンのですねぇ、シンポジウムのときにですねぇ、ギャラリーの方からですねぇ、質問があってちょっとあの〜すべて答えられなかったやつがあったのですがぁ、え〜、そこで出たものでですね、え〜、3月12日のですね、2年前の3月12日、福島第一原発の事故のときにですねぇ、え〜、1号機、爆発しましたぁ。
そのときにですねぇ、専門家の方、いろんな話をですねぇ、え〜、テレビですとか新聞ですとかでされてたのですがぁ、まぁずですねぇ、メルトダウンということについてですねぇ、え〜、先生、簡単にちょっと、え〜解説をいただければと思いますぅ。

◆小出
はい、原子力発電所というのは、ウランを核分裂させて、そのときに出るエネルギーで水を沸騰させて蒸気にする、それでタービンを回している、わけですが、何か事故が起きると、原子炉で起きている核分裂反応自身は、比較的容易に止めることができます。
原子炉の中に制御棒というものを入れることで、核分裂反応を止めることはできます。
しかし、それまでの運転で、原子炉の中には、核分裂生成物という放射性物質が、膨大に溜まってしまっているわけです。

◆今西
はい。

◆小出
え〜、核分裂生成物というのは、それ自身が放射線を出す、つまり発熱しているという、そういうものなのですね。

◆今西
なるほどぉ。

◆小出
はい、ですから、核分裂の連鎖反応自体を止められたとしても、既に炉心の中に核分裂生成物が溜まってしまっていると、その発熱を止めることができない、のです。

◆今西
はい。

◆小出
え〜、その熱をどこかに逃がさない限りは、原子炉の温度が上がってしまって、どっちにしても融けてしまうということを避けられない、というのが原子炉という装置なのです。

◆今西
なるほどぉ。
それでですねぇ、え〜と1号機のオペレーションフロアですねぇ、えぇ、これはどういう部分にあたるのでしょうか。

◆小出
え〜、原子炉と私たちが普通呼んでいるものは、え〜、炉心という部分がまず一番中心にあって、それを原子炉圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の中に入れてあります。
え〜、その圧力容器も更に大きな原子炉格納容器と呼ぶ福島第一原子力発電所の場合には理科の実験で使うフラスコのような形をしている大きな容器があるのですが、その中に入れてあります。
え〜、その格納容器というのが、え〜、原子炉に何かトラブルがあったときに、放射能を閉じ込めるための最後の防壁、なのですが、え〜、その格納容器も含めて、さらにまた原子炉建屋という、ま、皆さんが映像で見られた四角い建物が、四角な大きな建物がある。

◆今西
白とブルーのあの建物のことですねぃ。

◆小出
そうです。

◆今西
はいぃ。

◆小出
オペレーションフロアというのは、その原子炉建屋の最上階の部分に相当する所を私たちがオペレーションフロアと呼んでいます。

◆今西
なるほどぉ。
それでぇ、え〜、オペレーションフロアがですねぇ、え〜、爆発で吹っ飛んだ、ということは、え〜、メルドダウンしているに違いない、というのがまあ原子力のですねぇ、専門家の常識であると。

◆小出
そうです。

◆今西
ということなのですがぁ、その辺りについてお願いします。

◆小出
はい、え〜、なぜあんな大きな爆発が起きたのかと言えば、原因は一つしか考えられません。
要するに水素、なのです。
そいで、水素というのは非常に軽い気体ですので、もしそれがどこからか漏れてくることになれば、え〜、建家なら建家の最上階に集まってくるという、そういう性質のものなのです。
で〜、1号機の爆発も、原子炉建屋の最上階に相当しているオペレーションフロアで起きたのです。
え〜、そうなれば、あの爆発が水素爆発だということはすぐに分かりますし、いったいじゃ水素というのはどこから出てきたのかということが次に問題になります。

◆今西
はい。

◆小出
そして、この水素は、え〜、ウランの燃料というのは通常は瀬戸物に焼き固めてあります。
直径1センチ、高さ1センチという小指の先ぐらいの小ちゃな瀬戸物に焼き固めてあるのですが。

◆今西
よく言われるペレットというものですね、はい。

◆小出
そうです、ペレットです。
そのペレット、約400個ほど細いパイプの中に詰めてあるという、そんな形で炉心の中に存在しています。

◆今西
はい。

◆小出
え〜、そのパイプの材料が、ジルコニウムという金属でできているのですが、そのジルコニウムという金属は、温度が850度程度になると、周辺の水と反応して水素を発生するという、そのような化学的な性質を持っているのです。

◆今西
はい。

◆小出
ですから、え〜、原子炉の中にあった核分裂生成物が、熱を出したがために、炉心の温度がどんどん上がっていって、850度を越えて、ジルコニウムが水と反応して水素を出したということが分かります。

◆今西
なるほどぉ。

◆小出
そして、その反応は、「発熱反応」と私たちが呼んでいる反応で、一度反応が始まってしまいますと、その反応自身によってまた熱が出てくる、そうすると温度がさらに上がってしまう、そうすると反応がさらに加速する、そうするとまた温度が上がってしまうという悪循環に陥ってしまいまして、どんどん温度が上がっていって、一挙にジルコニウムという金属が水と反応して大量の水素を発生してしまうということになることが分かっています。

◆今西
はい。

◆小出
で、同時にそのジルコニウムという金属は、ウランのペレットを中に包んでいたものなわけですし、発熱によって次にはウランのペレット自身が融けてしまうということになるというのが私たちの事故を想定してのシナリオだったのです。
まさにその通りのことが起きました。

◆今西
なるほど、いわばあの原子力の専門家の方々に言われていた教科書通りのことが起こったということになるわけですね。

◆小出
そうです。

◆今西
け、けれども、私の知る範囲でですねぇ、当時、あの〜テレビですとか新聞とかですねぇ、専門家の方、いろいろ解説をしておられましたがぁ、え〜、小出さんのようにですねぇ、そういうあの明解なですねぇ、え〜、解説をされた方っていうのはあまり記憶にないのですがぁ、どうしてなんですかねぇ。

◆小出
ふっ、まあマスコミに出させてもらえる専門家というのは、いわゆる原子力ムラ、原子力を推進していた人たちだけだったわけですし、え〜、そういう人たちは決して事故など起きないと言い続けてきた人たちだし、炉心が融けるなんてことはあり得ないと発言し続けてきたわけですから、彼らからみれば、今もう融けてしまっていますということはやはり言いたくなかったのだろうと思いますし、え〜、もしそうでないとすれば、よっぽど無知な人だったということだと思います。

◆今西
なるほどねぇ。

◆おしどりマコ
あの4つの事故調、全部読み直していて、国会と民間と政府と社内の、で、それもすべて今あの小出先生がおっしゃったジルコニウムで反応があって、水素いっぱい出て爆発しましたっていうこと全部書いてるんで、もう小出先生が、もう事故当時からね、直後からおっしゃっていたことを1年経って全部報告書にまとまって上がってきたという感じでなってるよね。

◆今西
そうやなぁ。

◆おしどりマコ
で、え〜とぉ、ちょっと長くなるかもしれないんですけど、事故調の各報告書を読んでいて、その〜炉心が、炉心を冷却できなくなって、どんどんこう水が減っていったっていう、水位計がきちんと機能していなかったんじゃないかっていう風にちょっと読み取れる箇所があったんですけどぉ、この水位計がきちんと読み取れなければ、あの〜原発事故のときものすごく致命傷だと思うんですけど、これはなんとかならないもんなんでしょうか。
あの〜、現在の、あの各地の原発でも。

◆小出
え〜、たぶん難しいと思います。
え〜、要するにあの想定している通常の運転状態であれば、原子炉の、まあ今問題にしてるのは沸騰水型というのですけれども、え〜、沸騰水型の原子炉の中の、どの部分でどのくらいのボイド、私たちボイドと呼ぶ泡ですね、水が沸騰して蒸気になるかということが、それなりの確度をもって、え〜、確実性を持って計算できるのですけれども、事故のようなことが起きてしまいますと、猛烈にそのドラスティックにあの事故が進行していくわけで、どんな状態になっているかということ自身が正確にはなかなか分からないということがありますので、通常測っている水位計で、事故時の水位ということが本当に正しく測れているかということは、分からないと思います。
まあ、できるかぎりだから分かるような装置を付けろということはもちろんそうなのですが、本当の事故になってしまうと、どこまで確かかということはよく分からなくなってしまいます。

◆おしどりマコ
なるほど、ありがとうございます。
そうですね、通常は分かるけれども、事故になるとその見せかけな圧力とかでもって水がいっぱいあるように思ってたけど、実はまったくありませんでしたという状態だったというのがすごい…

◆小出
それは1979年にスリーマイル島というところで、それはまた加圧水型の原子力発電所というものだったのですが、それも水位計というものは付いてはいたのですけれども、え〜、通常運転のときとまったく違う挙動をしてしまいまして、え〜、原子炉の中に水はあると運転員は思い込んだんですが、実は水はまったく無かったという、それで事故になってしまいました。

◆今西
結局、水位計というのも、想定外には対応できんもんやのよねぇ。
なてならもんやもんねぇ。
分かりましたぁ。
小出さん、今日はありがとうございましたぁ。

◆小出
いいえ、こちらこそありがとうございました。

◆今西
またよろしくお願いします〜ぅ。

◆小出
こちらこそ、失礼します。

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