4月27日 私は日本というこの国よりも旧ソ連のほうがはるかにマシだと思います。/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年4月27日に放送された「ラジオフォーラム第16回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
「4月26日で事故発生から27年となるチェルノブイリ原発事故について」

【パーソナリティー】
西谷文和(ジャーナリスト)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオフォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆西谷
さて、ラジオフォーラム、今日もこのコーナーからスタートしたいと思います。
京都大学原子炉実験所の小出さんとお電話がつながっております。
もしもし、小出さ〜ん。

◆小出
はい、こんにちは。

◆西谷
あっ、今日もよろしくお願い致します。

◆小出
こちらこそどうぞよろしくお願いします。

◆西谷
え〜、小出さん、早いもので4月26日と言えば、チェルノブイリの事故ですよね〜、27年経ちましたよね〜。

◆小出
そうですね。

◆西谷
あの、チェルノブイリは、石棺に囲まれているわけですけども、この石棺が老朽化してですね、ヒビが入っていると、そして、雨が降ったらですね、地下にその雨水が浸み込んでいって汚染をしていると、そういうことを聞くんですが。

◆小出
そうです。

◆西谷
現在のチェルノブイリの状況っていうのは、ちょっとどんな感じなんでしょうか。

◆小出
はい、え〜っと、1986年の4月の26日に、原子炉が爆発しまして、ほぼ1週間の間に大量の放射性物質が環境に吹き出してきました。
そのため、当時「地球被ばく」という言葉ができたように、地球全部が汚染を受けて、しまいました。
え〜、日本はチェルノブイリからみると8000キロ以上離れているところにあるのですが、その日本にすらチェルノブイリから放射性物質が飛んでくると、いうようなことになって。

◆西谷
先生、当時計測されてたんですよね。

◆小出
そうです、私はあの〜原子炉実験所で自分が呼吸している空気の中にどれだけ放射能が飛んでくるかということを測定していました。
はじめはまさか地球の裏側から物質が飛んでくるということはないだろうと始めた仕事だったのですが。

◆西谷
8000キロですもんねぇ。

◆小出
そうです。
5月の3日になりまして、チェルノブイリからはるか離れた日本まで放射能が到達して、たいへん驚いた経験をしました。
ただ、その後10日、あるいは20日経つとですね、一度減っていった放射能が、またあの私が呼吸している空気中に増えてくるというようなことがおきてですね。

◆西谷
地球をもう1周したんですか。

◆小出
そうです。
もう1周、地球をして日本まで戻ってくるというようなことがあったのです。

◆西谷
先生、そのときはセシウムが多かったんですか。

◆小出
はい、え〜とセシウムもありましたし、ヨウ素もたくさん、もっとたくさんありました。

◆西谷
ヨウ素、8日で半減ですけど、やっぱヨウ素もあった。

◆小出
はい、ただしヨウ素自身は8日で半減してしまいましたので、すぐに測定ができなくなったのですが、セシウムはほぼ3ヶ月ほどずうっと私が吸っている空気中に存在していることは測定できました。
そのときに私はもうこういう事故というのは二度と起こしたくないと思ったのですが、残念ながらまあ福島の事故が起きてしまったのです。
え〜、それでチェルノブイリのほうは、その後とにかく放射能を閉じ込めなければいけないということで、今おっしゃってくださったような石棺というですね、石の棺で原子炉全体を封じ込めようという作業が始まりました。

◆西谷
あのとき作業した方が、どんどん癌で死んでいきましたよね。

◆小出
はい。
で、60万人とか80万人とか言われてるような軍人、退役軍人、あるいは労働者が駆り出されて、本当に過酷な被ばく作業に従事しました。
それでたぶんたくさんの方々がですね、その作業に従事したがために、え〜癌などになって既にお亡くなりになってきたのだと。

◆西谷
当時はねぇ、あの勲章もらって表彰されてた方が。

◆小出
そうです。

◆西谷
10年後、20年後にガリガリに痩せて。

◆小出
はい、そうやって苦労して作った石棺なのですけども、さすがにやはり年が経つとですね、コンクリートの構造物だったわけで、あちこちにひび割れが入ったりですね、天井が落ちてしまったりして。

◆西谷
天井が落ちているところもあるんですか。

◆小出
はい。
あちこちに穴が空いてしまって、きました。
で、まあ放射能を閉じ込めるという意味ではどんどん性能が悪くなってきているわけで、いつかなんとかしなければいけないということは、もうずうっと前から言われていたのです。
ただし、まあなんとかするにしても、放射能を相手にしての作業で、被ばくがしてしまうし、お金も膨大にかかるということで、なかなか取りかかることができないできました。

◆西谷
27年間ずうっとそのままということだったんですね。

◆小出
そうです。
で〜、でも、やはりなんとかしなければいけないということで、EUのほうがかなりのお金を提供しまして、ようやくに今、第二石棺と呼ぶ、はじめ作った石棺全体をまた覆ってしまうような構造物を。

◆西谷
もう一つ外側から。

◆小出
そうです、はい、作る作業が続いています。
たぶん、そんなに長くかからないで、その第二石棺というものでもう一度覆いを作るということになると。

◆西谷
今、被ばくしながらそれをやっていただいているということですね。

◆小出
そうです。
ですから、あんまりあの〜壊れてしまった原子炉建屋に近づくことが好ましくないので、原子炉建屋から少し離れたところで、その第二石棺という構造物を今作っています。
で、それが完成したときに、第二石棺をレール上で引っぱっていって、原子炉建屋そのものの上まで動かして覆いを作ろうというそんな作業を今進めています。

◆西谷
あの、それでね、福島とのつながりなんですけどね、今その汚染水が漏れている問題がありまして、で〜、いつか福島を石棺に覆わないといけないですよね。

◆小出
そうです。

◆西谷
これはまたそしたら膨大な作業と膨大な被ばくをしながらいつかそれを作っていかないといけない。

◆小出
おっしゃる通りです。

◆西谷
これまた誰がやるのとかですね、どういう風に補償するの、ものすごい大きな問題が横たわっていますよね。

◆小出
そうです。
これから何年という単位では済まない何十年という単位の時間をかけて、放射能を閉じ込めるという作業を福島でやらなければいけないのですが。

◆西谷
気の遠くなるような。

◆小出
本当に私が思うだけでも気が遠くなるような作業が長い年月に渡って必要になってしまいます。
で、そのためには大量の労働者が必要になるでしょうし、日本というこの国でいったいどうやってそういう労働者を調達できるんだろうかと、それもたいへん不安です。
え〜、どうも聞くところによれば、海外からですね、労働者をまた調達してくるというようなこともなんか進んでいるように聞いていますし。

◆西谷
やりかねないな、今の原子力ムラやったら。

◆小出
そうです。
恥ずかしい国だなと思います。

◆西谷
あのですねえ、この原発が安いとか言っているけど、このコスト考えただけでも、めっちゃ高くなりますよね。

◆小出
そうです。
もう、そんなことはもう、誰が考えても当たり前なのであって、経営者と言うような人であれば、せめてちゃんと金勘定ぐらいすべきだと思います。

◆西谷
でも未だに原発は安くて、停めたら日本経済が止まるとか言うけど、これだけでものすごいお金じゃないですか。

◆小出
そうです。

◆西谷
もうめちゃめちゃねえコスト高いのに、本当にごまかしがあると思うんですけど、あの〜熊本のですね、ラジオネームケンケンさんから質問が届いております。
え〜、日本で、子どもや被災者支援法がね、え〜、こう作られるということなんですけど、ウクライナでは、チェルノブイリ法というのがあって、その法律によってこの補償がされているという風に聞いていますが、このチェルノブイリ法とはどういう法律なんですかという質問なんですが。

◆小出
はぁ〜い、すみません。
私はあの法律の専門家ではないので詳しいことは知りませんが、チェルノブイリの場合にも大量の放射性物質が吹き出してきてしまいまして、事故の直後は、日本政府が取ったのと同じように、え〜、ソ連の政府も事故を隠そうとしたり、あるいは過小評価をしようとしたり、きちっとした対応ができないで後手後手に回るというようなことがありまして、大量の人たちが被ばくをしてしまう、子どもたちも被ばくをしてしまうということが起こりました。
で〜、そのために甲状腺癌を中心としまして、とにかく被ばくをしたから、被ばくをしたからこんな病気になっているということが分かっている病気もたくさん出てしまった、わけです。
で〜、人々も避難ということを余儀なくされる人々もいたわけですし、もう経済的に持たないで汚染地帯に取り残されている人々も、今福島で起きているのと同じようなことがチェルノブイリでも起きましたし、で、そういう方々の健康状態を調査をしたり、あるいは補償をしたりということはもちろん必要なことであって、チェルノブイリでもそういう、なんとか補償しようという法律はあるのです。
それがまあチェルノブイリ補償法という奴だと思いますが、え〜、実際にはソ連という国自身が崩壊してしまうというほどのですね、重荷になってしまっていて、なかなか救済というのは進んでいないと思います。

◆西谷
あの〜、チェルノブイリの事故をキッカケにやはりソ連は崩壊したという説もあるんですが、やっぱりこのチェルノブイリ事故というのはソ連崩壊のキッカケになったんですよね〜。

◆小出
はい、もちろんあの〜社会主義というものの破綻というものはあったとは思いますし、世界的な政治状況というものもあったとは思いますけども、チェルノブイリ事故がソ連の崩壊に果たした役割は大きかったと私は思います。

◆西谷
少なくとも引き金を引いていったという、それとですね、チェルノブイリでは、日本では20ミリシーベルト以下を帰還させるということなんですけど、チェルノブイリではどれぐらいだったんでしょうか。

◆小出
実際にはですね、現在日本で取っている方策と、私はあまり変わらないと思います。
はい、ただし、チェルノブイリの場合には、20ミリシーベルト以下であっても、避難をする権利というものを認めています。
ですから、その場所に踏みとどまってやはり生活したいという方はいるだろうと私は思いますけれども、避難をしたいという希望があれば、その方になにがしかの補償をするという法律はあるのです。
日本の場合には、もうあの20ミリシーベルト以下なら勝手に住めと、国家は何の補償もしないというように今言っているわけで、そこに大きな違いはあると思います。

◆西谷
旧ソ連のほうがまだマシだったという。

◆小出
はい、私は日本というこの国よりもはるかにマシだと思います。

◆西谷
分かりました。
小出先生ね、本当に27年前のチェルノブイリ事故の話を中心に聞きましたけど、ソ連よりも日本のほうが酷いということが分かりました。
今日はどうもありがとうございました。

◆小出
ありがとうございました。

▼音声

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