5月16日 核融合発電の安全性は識者の間でも意見が割れている/週プレNEWS

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2013年5月16日付の週プレNEWSのWebサイトに「核融合発電の安全性は識者の間でも意見が割れている」の記事が掲載され、小出さんの意見も含まれていましたので、情報として掲載致します。

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◆核融合発電の安全性は識者の間でも意見が割れている/週プレNEWS
(5月16日付け)

重水素と三重水素(トリチウム)を使用し、莫大な熱エネルギーを発生させる「核融合発電」。原子力発電よりも安全かつ安価に大量の電力を供給できると言われているが、岐阜県土岐市の核融合科学研究所で予定されている重水素実験に、地元住民からは反対の声が上がっている。

外部の有識者の間でも、核融合発電の安全性に対する意見は分かれている。反対派の京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、次のような点を危惧しているという。

「重水素実験によって核融合科学研究所から放出されるトリチウムは微量。生物的な毒性も低い。とはいえ、環境に出たトリチウムは水状態になって捕捉できないし、何より人体への侵入を防げないのが怖い」

トリチウムとは放射性物質のひとつで、既存の原発でも排気塔から排出されている。外部に排出されるのは極めて微量のため、安全性には問題ないと核融合科学研究所は説明しているが……。

「計算では原発1基分(100万kW)の核融合発電に必要なトリチウムは年間133kg。これは480京ベクレルに相当し(重水素実験で発生する量の1億倍)、この1000分の1が環境に放出されても天然トリチウムの年間生成量とほぼ等しい。(周辺住民への影響は無視できないし、)これが2基、3基と増えたらどうなるかを、もっと考えてほしい」(小出助教)

一方、多治見市では2月7日に、市主催による実験推進派と反対派との公開討論会が開かれている。そして、その場では1991年から「JT−60」という装置を運用した違う方式ですでに重水素実験を行なっていた、日本原子力研究開発機構・核融合研究開発部門の林巧研究主幹が「もちろん、トリチウムを大量に取り込めば問題だが……」と前置きしつつ、「排気塔からトリチウムは出していたが、まったく問題のない低レベル。半減期は12年だが、体内に入って汗や尿で排出される生物学的半減期(半分の量が体外に排出される時間)は10日前後」と、健康への影響がないことを強調している。

また、核融合に関する研究は世界各国で行なわれていて、日本も参加する「国際熱核融合実験炉(ITER)」がフランスで建設中だ。このITER、実は2000年前後に、日本が青森県六ヶ所村に誘致しようとしたことがある。

このとき、1989年にアメリカの物理学会プラズマ部会長に選任された長谷川晃教授は、「事故で炉壁が溶解し、500gのトリチウムが出れば、チェルノブイリ級の事故が起きる」と分析。当時の小泉純一郎首相にITERを誘致しないようにと嘆願書を提出しているが、今回の重水素実験については「心配するほどのモノではない」との見解を述べている。

ところが、その一方で、長谷川氏と連名で嘆願書に署名したノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊博士は、多治見市の古川雅典市長に「ITER誘致では、原発の10倍以上もの中性子が出るので反対した。この見解は変わっていない」との意見書を送っている。有識者の間でこれだけ意見が分かれていたら、一般の地元住民が反対するのも無理のない話だ。

ただ、あらためて留意しておきたいのは、今回の重水素実験と将来の核融合発電とでは、運用の規模と質が大きく異なり、それぞれ別の判断が必要ではないかということ。われわれはその前提を踏まえた上で、議論を進める必要があるだろう。

(取材・文/樫田秀樹)

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