5月18日 子どもたちを少しでも被ばくから守る、ということが私たち大人の責任だと思います。/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年5月18日に放送された「ラジオフォーラム第19回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
「なぜ放射能は危険なのか、なぜ子どもの生命を守る必要があるのか」

【パーソナリティー】
石井彰(放送作家)

【ゲスト】
纐纈(はなぶさ)あや(映画監督)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオフォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆石井
今日も、小出裕章さんと電話がつながっています。
小出さん、よろしくお願いしま〜す。

◆小出
こちらこそよろしくお願いします。

◆石井
あの今日は、映画監督、抗議の島、山口のですね上関原発に反対する島民の皆さんを描いたドキュメンタリー映画の纐纈(はなぶさ)さんと一緒にお話を伺います。

◆小出
はい。

◆纐纈
よろしくお願い致します。
ご無沙汰致しております。

◆小出
はい、纐纈さん、こんにちは、ご無沙汰しておりました。

◆石井
どっかでご一緒されたことがおありになるそうですね。

◆小出
はい。
神戸の集会でご一緒させていただきました。

◆石井
あ〜、そうですか。
今日はですね、小出さん、放射能はなぜ怖いのかについて、お聞きしたいと思います。
まずですね、放射能というのを小出さん、どういう風に説明していらっしゃいますか。

◆小出
皆さん、放射線というのはたぶん分かってくださると思います。
え〜、例えば病院に行ったりすると、エックス線撮影というのを受けますし、学校でも年に一遍受けたり、入学のときに受けたりするわけですが、そのエックス線とかいうものは、私たちが放射線と呼ぶものの一種です。
で、エックス線のほかに、アルファ線とか、ガンマ線とか、ベータ線とかいう、まあ放射線と呼ぶものがあるのですが、放射能というのは、その放射線を出す能力を意味する言葉で、日本では放射線を出す能力を持っているもの、つまり放射性物質を放射能と呼ぶ場合もよくあります。

◆石井
そうすると、放射能と放射線というのはまず違うよというところを前提として、抑えとかなければいけない。

◆小出
もちろんそうです。

◆石井
私たちが、本当に5年前には誰も知らなかったとハッキリ言っていいと思いますが、ベクレル、シーベルトという単位でですね、これは放射線の値という理解でよろしいでしょうか。

◆小出
えへっと、ベクレルというのは、放射能の強さの単位、ものには何でも単位がありますね、例えば身長を測るときには1メートル何十センチって測るわけですし、体重を測る場合には何十キログラムとか、どんなものでも単位があるわけですが、放射能に関する単位がベクレル、その放射能から放射線が飛び出してきて、人々が被ばくするときに、その被ばくの量を測るのがシーベルトという単位です。

◆石井
なるほど、これはある種の相関関係があるという理解でよろしいんですか。

◆小出
はい、これもまあなかなか難しいのですが、例えば電球を考えてください。
電球の明るさがありますね。
例えば、100ワットとか200ワットとか、それがあの言ってみれば放射能の強さに対応して、います。
え〜、電球が明るければ放射能の強さが強いし、暗い電球の場合には放射能の強さが弱いと思ってください。
んで、その電球のごく近くにいれば、明るさを強く感じることが出来るわけですし、その電球から遠く離れていってしまえば、明るさを感じないようになるわけですね。
ですから、人がどこにいるかによって、明るさというのは変わってしまうわけで、その人が感じる明るさというものが、むしろ被ばくの単位であるシーベルトを意味しています。
ですから、同じ1ベクレルと言っても、危険の程度は違いますし、その放射性物質にどれだけ近づいているかによって、人々が被ばくをする量、つまりシーベルトというのも違ってくるということなのです。

◆石井
とすると、たいへんベクレルの高いものの近くにいれば、シーベルトは当然高くなると。

◆小出
おっしゃる通りです。

◆石井
たいへん危険であると。

◆小出
そうです。
ですから、放射能から被ばくをしないようにしようと思えば、何よりもその放射能、つまり放射性物質ですけれども、それから遠ざかるということが一番大切なことになります。

◆石井
で、今、その小出さんがおっしゃられたですね、放射能がたいへん危険だということなんですけれども、なぜ危険で、どのように人体に影響があるという風に小出さんたち科学者の間では、考えられているんでしょうか。

◆小出
はい、被ばくがどれほど危険かということの情報というのは、長い被ばくの歴史の中でだんだん分かってきたわけです。
え〜、特に広島、長崎原爆でたくさんの人が死んでしまったりヤケドを負ったりしたわけですけれども、人間が大量に被ばくをしてしまうと、死んでしまうわけですね。
では、大量というとどのくらいなのかというと、え〜、8シーベルトという被ばくをすると、人間は100パーセント死んでしまいます。

では、その8シーベルトという被ばくがどの程度のものかということですけれども、被ばくというものは元々放射線から人間なら人間がエネルギーを受けてしまうということなのですが、その放射線から受けたエネルギーで、人間の体温は8シーベルトという被ばくをしたとしても、1000分の2度しか上がりません。
私はこの数日ちょっと風邪気味なのですが、例えば体温が1度上がるということは皆さんどなたでもあると思います。
でも、人間は死なないんですね、そんなことでは。
しかし、こと放射線からエネルギーを与えられてしまう場合には、体温が1000分の2度上がるだけでも、100パーセント死んでしまうという、それほどものなのです。

なぜかというとですね、放射線と私たちが呼んでいるもののエネルギーが、生きものを支えているエネルギー、つまり、水素や酸素や炭素がお互いに結びつけ合って生きものというのは生きているのですけれども、その結びつけているエネルギーに比べると、何十万倍も何百万倍も高い、というのが放射線のエネルギーなのです。
そんなものが生きもののからだの中に入ってきてしまいますと、生きものが持っている遺伝情報などもズタズタに切り裂かれてしまう、そのためわずか1000分の数度というぐらいしか体温が上がらなくても、生きものは生きていられないということになってしまうのです。

◆石井
あの、大人の方よりですね子どものほうが非常に被害を受けやすいという風にも聞いていますが、これはなぜでございましょうか。

◆小出
はい、え〜っと、石井さんと私は違う人間ですね。
私と纐纈さんも違う人間です。
それは、私が持っている遺伝情報が、石井さんとも纐纈さんとも違うし、すべての人で遺伝情報が違うからなのですね。
そしてその遺伝情報というのは、私という1人の人間の細胞の中に遺伝情報というものが書込まれていて、それが細胞分裂という形で増えながら私なら私というからだを支えているのですね。
ただもう私なんか60歳を越えた人間ですから細胞分裂をそんなに活発にしているわけではありません。

ただし、赤ん坊とか5歳、10歳、15歳というような子どもの頃には、細胞分裂をどんどん繰り返しながら、遺伝情報を正確に複製しながら生きていくわけです。
そういう時代に遺伝情報に傷を受けてしまいますと、その傷付いた遺伝情報がどんどん増幅してしまうというということで、子どものときの被ばくは大人に比べると圧倒的に影響が大きくなってしまうのです。

◆石井
うん、なるほどねぇ。
とすると、現在福島の原発の近くでですね、何らかの形で放射線の影響を受けている人たちのからだにですね、たいへん目に見えない影響が出ていると判断せざるを得ないですよね。

◆小出
そうです。
今、被ばくで傷付いた細胞が、大きくなっていくにしたがって細胞分裂という形で増殖していくわけですけれども、それがいつの時点かでガンや白血病という病気になって現れてくる可能性もあるわけですし、先ほど聞いていただいたように放射線の持っているエネルギーは、生命体を支えているエネルギーに比べて圧倒的に高いので、たぶんガンや白血病だけじゃなくて、さまざまな異状というものが出てくるのだろうと私は思います。
そういう中で子どもも含めてたくさんの人々が今現在も被ばくをしてしまっているわけで、本当であれば逃げて欲しいのですけれども、なかなか逃げることができないままになっています。
そうであれば、子どもたちを少しでも被ばくから守る、ということが私たち大人の責任だと思います。

◆石井
そうですね。
大人がですねぇ、放射能や放射線の危険について伝えていく一助になればと思いますんで、あの初歩的な質問ばかりで申し訳ないんですが、いましばらくお付き合いください。
今日はどうもありがとうございました。

◆小出
はい、こちらこそありがとうございました。

▼音声

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