6月29日 朝鮮民主主義人民共和国が格兵器を簡単に持てるという風には私は思っていない/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年6月29日に放送された「ラジオフォーラム第25回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
「朝鮮民主主義人民共和国に核兵器開発は無理ではないのか?」

【パーソナリティー】
石丸次郎(ジャーナリスト)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオフォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆石丸
今日は、このコーナーからスタートです。
小出さん、あ、今日もよろしくお願い致します。

◆小出
こちらこそよろしくお願いします。

◆石丸
はい、今日のテーマなんですけれども、核兵器のことにお伺いしたいと思います。

◆小出
はい。

◆石丸
2月の12日に北朝鮮が核実験を強行しました。
これに対して、アメリカ、中国、ロシアをはじめとした核保有国が中心となった安保理、国連の安保理でですね、え、制裁決議があがりました。
え〜、自国だけ核兵器を持って、他国に核兵器開発するなと言うのは、ま、これはこれで非常に不平等なことでありますけれども、それはそれとしてもやっぱり北朝鮮が核開発するというのは非情にやっぱり憂慮されることでありますが、以前ですね、小出さんは北朝鮮は核兵器開発に成功していないとみておられるということをおっしゃいましたけれども、この辺についてもうちょっと今日詳しくお聞きしたいんですが。

◆小出
もともと朝鮮民主主義人民共和国という国の核疑惑というものが起きたのは1992年、のことでした。
で〜、その当時にIAEA等がさんざん査察等を行ったことがあったのですが、核兵器を製造するためには二つの道筋がありまして、ウランを使う道筋とプルトニウムを使う道筋、です。
で〜、広島に落とされた原爆がウランを使って作られていましたし、長崎に落とされた原爆はプルトニウムという物質を使って作られていました。
で〜、朝鮮民主主義人民共和国の場合には、核分裂性のウランを濃縮するという技術も工場もありませんでしたので、もしあの国が核兵器を作れるとすれば、プルトニウムで作るしかなかった、のです。
ただし、朝鮮民主主義人民共和国には、まずそのプルトニウムを作り出すための道具、つまり原子炉ですけれども、え〜、原子炉はたいへん小型のちいちゃな実験用のものしかなかった、のです。
熱出力という原子炉そのものの大きさでいうと、2万5千キロワット
日本には100万キロワットという電気出力の原子力発電所が何十もある。
電気出力100万キロワットというのは、熱出力でいうと300万キロワットになりますので、朝鮮民主主義人民共和国が持っていた2万5千キロワットというのは、100分の1以下ですかね。
もう本当にあの話にならないほどちいちゃな原子炉しか持っていなかった、のです。
その原子炉をいくら効率的に動かしたとしても、作り出せるプルトニウムの量なんてもちろん知れている、のです。
おまけに、プルトニウムというのは原子炉の中で作っただけではダメで、それを使用済みの燃料の中から取り出すという再処理という作業が出来なければいけない、ただし、それはもう猛烈に危険な作業でして、たいへんな被ばく作業だし、環境汚染ももうそこら中で引き起こしてきた作業なのです。
で〜、それを行うためには、いわゆる再処理工場という工場が必要なのですが、1992年の時点で朝鮮民主主義人民共和国には再処理工場が無かった、のです。
つまり、取り出すことすらが出来ないという、そういう状態でしたので、あの国に核兵器があるということは、私はそれこそあり得ないことだと思いまして、そのように発言を続けてきています。

◆石丸
なるほど、え〜っとそれは90年代前半の話ですが、北朝鮮が核実験をですね、2006年、2009年、2013年にやったと主張しておりますが、ま、時間的に言うと、え〜まぁ14年の年月が経ちました。
この間に開発が進んだという風には考えられませんか。

◆小出
え〜、あるかもしれません。
え〜、放射科学実験室という非常にプリミティブな再処理工場が、90年代の始めにも建設途上であったわけで、それをその後も建設を続けて、ひょっとしたらば完成させたということはあるかもしれません。
ただし、さきほど聞いていただいたように、朝鮮民主主義人民共和国には本当におもちゃのような工場しかありませんので、取り出せたとしてもプルトニウムの量は本当に知れてる量でしかありません。
今年になって、ストックホルムにある国際平和研究所というところが、また今年度版の年鑑を出しましたけれども、それで考えられている朝鮮民主主義人民共和国が持っている核弾頭の数も、せいぜい6発から8発だという、のです。
え〜、そして例えば、朝鮮民主主義人民共和国と未だに戦争状態、つまりまあ休戦協定しか結んでいない米国という国は、核弾頭の数でいえば7700発も持っているわけで、もう戦争をしている当事者同士の数の比較で言うなら、もう話にならないほどちいちゃなものしか持っていないのです。

◆石丸
はい、そうですね。
え〜、2006年、9年、13年、北朝鮮は核実験をやったと主張しています。
え〜、咸鏡北道豊渓里(ハムギョンブクド・プンゲリ)というところに、地下に穴を掘って、そこで爆発をさせたと。
え、直接それは映像で見られたわけでもないんですけれども、え〜何らなの大きな地震と言いますか、え〜、地下で大きな爆発があった、ということは国際機関、いろんなところの調べでまぁ明らかになっていますね。

◆小出
はい。

◆石丸
これは、あの〜、核実験として、核開発、核爆弾の実験としては、じゃあどう理解したらいいんでしょう、未熟なものだと理解したらいいんでしょうか、非常に小型と理解したらいいんでしょうか。

◆小出
いずれにしてももう話にならないほどの小型のものです。
ただ、小型の原爆を作れるということは、それなりに難しいことなので、え〜、朝鮮民主主義人民共和国に言わせれば、どうだ俺たちはこんな小型の原爆だって作れるのだぞという、そういう言い訳になるのかもしれませんけれども、え〜、観測された地震そのものは、普通の火薬でも、火薬を使った爆弾でもできるほどの地震のマグニチュードでした。

◆石丸
その程度に過ぎなかったというですね。

◆小出
はい、ですから、なんか皆さんもうそのときの地震が必ず核爆弾を爆発させたための証拠だという風におっしゃるわけですけれども、私はそれは直結しないと思います。

◆石丸
あ〜、それであ〜見えないところで、あたかも大きな武器を持ったということを誇示するための、一つのトリックのような可能性もあると。

◆小出
はい、私はそう思っているのです。

◆石丸
なるほど、その後ですね、あの〜まあえ〜、ウラン濃縮のための道具をいろいろ揃えたり、ウラン濃縮の実験場でしょうか、それをアメリカの核研究者に直接見せたりということもしてますけれども、これも進展は進んでいないとみられますか。

◆小出
進んでいるとは思いますけれども、ウラン濃縮という技術はたいへん難しい技術でして、例えば日本だってやろうやろうとしてきた、わけで、人形峠でパイロットプラントを造って、その技術を元に青森県六ヶ所村に巨大なウラン濃縮工場を造ろうとしてきたのです。
しかし、造れば造るだけどんどん壊れていってしまいまして、うまくいかない。
そして、昨年度から新型のまたウラン濃縮施設を造ろうとして今やっているところなのであって、簡単に出来るものではない、のです。
まあ、ですからあの〜、米国と戦争状態にある国ですから、もちろんなんとかしたいという思いはあるのでしょうし、それなりの努力もしているだろうとは思いますけれども、え〜、いずれにしても容易ではないし、あの国が格兵器を簡単に持てるという風には私は思っていないのです。

◆石丸
なるほど、核技術者として実際にそんなに簡単じゃないからということですよね。

◆小出
そうです、はい。

◆石丸
なるほど、もうちょっとお聞きしたいんですが、またよろしくお願いします。
今日はどうもありがとうございました、小出さん。

◆小出
ありがとうございました。

▼音声

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