基準というのは、それぞれの時代のそれぞれの政府の思惑で決まるものなんだということを理解していくしかないと思いますし、もしそれに異議があるのであれば、やはり声をあげるしかない/小出裕章助教 第6回インタビュー Powered by ホワイトフード文字起こし

第6回小出裕章助教インタビュー

放射能測定を行って食品を販売している通販サイト「ホワイトフード」による小出さんへの6回目のインタビューがYouTubeで公開されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、文字起こしも行いました。
(同店のWebサイトにも文字起こしページが公開されています)

▼ホワイトフードの文字起こしページ
ホワイトフード

▼ホワイトフードのFacebook
ホワイトフード


◆ホワイトフード

京都大学原子炉実験所小出裕章助教に、こどもみらい測定所とホワイトフードのお客様から頂いた質問についてお答え頂きます。
一つ目のご質問です。

Q.1《トリチウムについて》
トリチウムの濃度が急上昇という発表がありましたが、核反応が再開した可能性はありすでしょうか。トリチウムが水、魚介類経由で、人に取り込まれるリスクはありますか。その場合は、どのような影響がありますでしょうかというご質問です。

◆小出

はい、詳しくお応えしようと思うと大変ですけれども、核分裂の連鎖反応が起きている可能性はありません。まぁ、絶対ないかというそういう言葉はあまり使いたくありませんけれども、絶対という言葉を使ってもいいくらい私は思います。

ただし、既に膨大な放射性物質が原子炉の中から吹き出してきてしまっているわけですし、トリチウムも福島原子力発電所の敷地の中にもう溢れかえっている訳ですし、事故以降ずっと海にも流れて行っているのです。

トリチウムという名前の放射性物質ですけれども、正体は水素なのです。この地球というのは水の惑星と言われるように水素と酸素が主成分でできている惑星で、私のからだにしても皆さんのからだにしても、ほとんどは水でできているわけで、それほど水というものは大切なものだし、水を構成している水素というものも大切なものなのです。生きるというために。

ただし、この地球上にある水素というものは、普通の水素と、普通の水素の2倍重たい重水素という水素が実はあるのですが、そのどちらもが放射能を持っていいないのです。そして、トリチウムというのは、別名3重水素と言うように普通の水素の3倍重たい水素なのですが、その水素だけは放射能を持っているのです。それが環境に吹き出してきているわけですが、この地球という環境の中で水素という物質はガス状で存在するということはまずほとんどありません。ほとんどは水になってしまうのですね。

ですから、福島の第一原子力発電所から噴き出してきたトリチウムも、今はほとんど全てが水という形で、要するに放射能を持った水になっているわけです。それが、敷地の中を汚している。そして、今敷地の中では、汚染水の処理ということが一部行われているわけですけれども、それは何をやっているかというと、汚染した水の中から放射性物質を取り除くということをやって、きれいな水を、できるだけきれいな水を作ろうということをやっているわけですが、トリチウムというものは水そのものなので、どんなにきれいに水をしたところで、トリチウムだけは取り除けない。きれいにしたつもりの水の中にトリチウムがあるという状態ですので、この放射性物質だけは全く手に負えないのです。

ですから、これからも全量を海に流すということになると思います。そうなってしまえば、どんな魚だって、どんな貝だって、みんな水でからだを作っているわけですから、トリチウムで汚染されるのは当たり前のことですし、それを食べれば私たちのからだがトリチウムで汚染されて、内部被曝をしてしまうということはどうやっても避けられない、のです。

ただし、トリチウムという放射性物質は、放射線の毒性はかなり低いです。先ほどから聞いていただいているように、もう被爆を防ぐことができないということは大変深刻ではあるけれども、それでもトリチウムという物質の放射線毒性はかなり小さい、のです。ですから、これからもちろん被曝をしていくわけですが、その被曝量がどれほど重大なことになるかというと、これからの経緯を見るしかないと思っています。仮にもし1ミリシーベルという被爆をトリチウムからしてしまうとするとすれば、前回お答えしたように、普通の人であれば2500人ぐらいに1人がそのためにガンで死ぬであろう。赤ん坊であれば600人に1人ぐらいがいずれガンで死ぬという運命を負わされるという、そのぐらいの危険になると思います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。2つ目の質問です。

Q.2《国の基準値について》
国の基準値はどのように決まったのでしょうか。決定に国民は関与できないのでしょうかというご質問を頂きました。

◆小出

本当は国民が主権者な訳ですから、関与できなければおかしいのですね。でも、残念ながらというか、この日本という国は、一人ひとりの国民が政府の決定に力を及ぼせるような歴史はなかったし、今でもないのですね。それぞれの基準というのは、政府が決めた何とか委員会というようなところで決められていくわけで、そのときの基準にしても、それぞれの時代の、それぞれの社会の、そして、それぞれの政府の思惑の元で決まっていくわけです。

例えば、これまで普通の人々の被曝というのは、1年間に1ミリシーベルトと決まっていました。なぜかと言えば、放射線というのは危険だから、基準を作って、国民を守らなければいけないと言って、一応は作られていた、のです。ところが、事故が起きてしまいまして、日本の政府はそれまでの基準をあっさりと撤回して、今は平常時ではない、今は緊急時なのだから、1年間に20ミリシーベルトまではもう我慢させるんだということを決めてしまったわけですね。

それにもちろん異議を唱える国民は、国民というか特に被災地の人たちは意義を唱えているるわけですが、それが生きるような政治の体制になっていない、というままで、未だに1年間に20ミリシーベルトまでの被爆しかしないなら、人々はそこに住んでもいいし、むしろ積極的にそこに戻れというような指示を出しているというような、そういう国なのです。

ですから、皆さんもそういう基準というのは、それぞれの時代のそれぞれの政府の思惑で決まるものなんだということを理解していくしかないと思いますし、もしそれに異議があるのであれば、やはり声をあげるしかないということだと思います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。3つ目の質問です。

Q.3《南相馬市の黒い物質について》
「黒い物質」の件ですが、南相馬市小高区の内陸10km付近に1kgあたり600万ベクレルの土があるということですが、その海の近くに比較的線量の低い場所に住んだとしても、強い西風の季節風が吹くと前述600万ベクレルの土が飛んできて危ないと思うのですが、どうでしょうか。

◆小出

もちろん、そうです。環境というのは、皆さんはお分かりだと思いますけれども、要するに流れているのですね。空気だって流れているし、土の汚染だって流れて飛んで来たりするわけで、汚染地から離れているから安全ということはもちろん無くて、今ご質問の方が聞いてくださったように、1kgあたり600万ベクレルというような私からみるとビックリするような高濃度な汚染物がごくごく普通の環境に実はあるのです。それがもちろん移動しているわけで、風が吹けば飛んでくるということは、必ずあると言わなければいけません。

ただしですけれども、今私も含めて黒い物質と読んでいるものは、総量としては多くありません。要するに周辺の汚染を猛烈に濃縮してしまったもので、量としては大して多くないのです。どっか駐車場に隅っこにそれが溜まっていたり、建物の雨樋の下の辺りに溜まっていたりということで、量としては多くないので、それが仮に風に乗って吹き飛ばされていくとしても、吹き飛ばされて行った先で高濃度の汚染物になるということとは違うと思います。

ですから、危険が無いというわけではありませんが、今ご質問のように強い西風の時に飛んできて被爆をしてしまうことだろうということ、そのこと自身は本当ですけれども、大量の被爆をまた新たに生むということにならないと私は思います。

むしろ皆さんにお願いしたいのは、そういう猛烈な濃度の黒い物質というのが、皆さんが今生活している場所の近辺にたぶんたくさんあるし、そこで子どもたちが遊んでいる場所があると。そういう場所をとにかく徹底的に調べて、その黒い物質を除去して、子どもを被爆から守るということをやって欲しいと思います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。最後のご質問になります。

Q.4《正しい情報の取得について》
正しい情報の取得についてです。正しい情報で子どもを守ると言っても、放射能汚染について、政府や東電から、そのような情報がすぐ住民に知らされるようなことは無いと思います。そんな中、どうすれば正しい情報が分かりますでしょうかというご質問です。

◆小出

うっふっふっふ、まあ、無いんでしょうね。そういうルートというのは。要するに、ご質問くださった方は、政府や電力会社の側からは、正しい情報が得られないと今言ってくださったわけで、その通りなのです。でも、情報というのは、歴史的に見ても、いつもそうだったのです。ま、権力を持っているというか、力の強い人たちが、自分たちに都合のいい情報を流すというのが、これまでずっと続いてきた歴史でした。

あるとき、評論家の大宅壮一さんという方がいましたけれども、その大宅さんが、テレビがどんどんどんどん普及してくるときに、テレビは一億総白痴化にする道具だと言いましたけれども、私は正にそうだと思います。もし、私たちのほうが本当に受身で、テレビから流されてくるものを受けるだけであって、この番組がつまらないと言ってまたチャンネルを変えるというようなことはするかもしれませんけれども、でも、常に流れてくるものを聞かされるだけということに染まってしまうのならば、かつての戦争のときに大本営発表しか無かったように、その時々の権力者、その世界を支配している人たちの情報しか流れてこないという、そういう世界なのです。

ですから、受身である限りは、正確な情報は入手することは出来ません。でも、そのことに気が付いたのであれば、自分が積極的に自分で情報を摑み取って行くんだという風に思っていただきたいと思いますし、もしそう思って頂けるなら、本当にどこまでいいか分からないけれども、最近はインターネットということも随分進んできているわけですし、ご自分で積極的に情報を集めて、どれが正しいかという判断出来るような力を身につけるということだと思います。

◆ホワイトフード

はい、ありがとうございます。質問は以上になります。インタビューお受けいただきましてありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

◆小出

こちらこそよろしく。

※同店の文字起こし文章をベースに、Youtube動画音声に合わせて若干の修正を加えました。

▼動画音声 Youtube

▼ホワイトフードの通販ページ
ホワイトフード

原発関連 最新書籍をチェック
(※管理費用捻出のため、もしよろしければこちらからAmazonでお買い物していただけると助かります)

コメントは停止中です。