海の汚染というものに関しては、セシウム137とストロンチウム90がほぼ同等の汚染を生じているのではないか/小出裕章助教 第9回インタビュー Powered by ホワイトフード文字起こし

第9回小出裕章助教インタビュー

放射能測定を行って食品を販売している通販サイト「ホワイトフード」による小出さんへの9回目のインタビューがYouTubeで公開されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、文字起こしも行いました。
(同店のWebサイトにも文字起こしページが公開されています)

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◆ホワイトフード

こんにちは。今日は京都大学原子炉実験所の小出弘明助教授にストロンチウム90についてインタビューさせて頂きます。
小出先生よろしくお願いします。

◆小出

こちらこそ、よろしくお願いします。

◆ホワイトフード

まず一つ目の質問です
Q.1《ストロンチウム90の放出量について》
福島原発事故でストロンチウム90は、どれ位放出されてしまったものでしょうか。

◆小出

はい、え〜、申し訳ありませんけれども、正確なことは実はよくわかりません。
事故があまりにも過酷でしたので、測定器も十分に利用できない状態でしたので、ストロンチウムも含めて、どのような放射性物質がどれだけ放出されたのかということは、残念ながら正確にはわかりません。
さまざまな推定があって、大雑把なことがわかっているという、そういう状態です。
それをまずご理解頂いた上でお答えしたいと思います。

放出された放射性物質は、一部は大気中に放出されましたし、一部は海に放出されました。
そして、その二つの経路のうち、どちらかといえば大気中に放出された放射性物質の方が、まだ推定がしやすくて、それなりの数字が推定されています。

日本政府の主張によりますと、大気中に放出されたセシウム137という放射性物質の場合には、広島原爆がまき散らしたセシウム137の168倍をまき散らしたと、日本政府が言っています。
私は多分、もっと多かったのではないかと思いますけれども、でもまぁその位の量だと思います。

では、今日ご質問くださっているストロンチウムというものはどれだけ出てきたかというと、セシウム137に比べれば、多分1000分の1位だろうと思います。
日本政府の主張によっても数百分の1ということになっていますし、周辺の汚染を調査してみると、ストロンチウム90という放射性物質はセシウム137のほぼ1000分の1以下しか検出されていませんので、その程度だろうと思います。

ただし、海の方に出て行った量というのは、実は未だによくわからないのです。
そしてストロンチウム90という放射性物質は気圧性が低いので、大気中にはそんなに沢山出て来なかったということは、理解できるのですけれども、逆にストロンチウム90という放射性物質は、水に溶けやすい性質を持っていますので、今現在敷地内に溜まっている汚染水の中には大量に溜まってしまっていますし、これまで事故直後からずっと海に向かって汚染水が流れ込んでいたのですが、その中にはストロンチウム90が大量にあっただろうと私は思います。
恐らくセシウムと同じ程度の量のストロンチウムが既に海に流されたのではないかと思いますし、総量も多分大気中に放出されたものとそれほど違わないものが、海に出たと私は思います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。
二つ目の質問です。

Q.2《ストロンチウム90のリスクについて》
ストロンチウム90の、子供や妊婦さんにとってのリスクについて、教えて頂けますでしょうか。

◆小出

はい、え〜、どんな放射性物質ももちろん危険です。
大人にとっても、子供にとっても危険ですし、人間以外の生物にとっても、です。
そして人間の場合には、子供という生きものは、放射線に敏感です。
何故かと言えば、成長しながらどんどん細胞分裂をしていって、自分の身体を作っていくということをやっている時期ですので、そういう時期に放射線で傷を受けてしまいますと、傷を受けた細胞が、その間違えた情報を複製していってしまう、ということになりますので、子供は被曝に敏感です。
それは、私がずっとこれまで気にしてきたセシウム137という放射性物質の場合もそうですし、ストロンチウム90という放射性物質の場合にも当てはまります。

ごく平均的な人に比べると、0歳、5歳、10歳というように、毎日面白いように大きくなっていく世代の子供達は、何倍も危険が大きいということになっています。
先程も聞いて頂いたように、それはセシウムについてもそうですし、ストロンチウムについてもそうです。

そして、妊婦という方はまた特別な存在でして、胎児というものをお腹に抱えていることがあるわけですし、胎児ももちろん活発に細胞分裂を繰り返して自分の身体を作っていくわけですから、そういうときに被曝をする、ストロンチウムを含めてですけども、危険が大きいと思わなければいけません。

そして、妊婦の場合には胎児だけではなくて、卵子を持っているわけで、卵子というのは女性が生まれたとき、そのからだの中にできて、それをそのまま抱えて生きていく、新たにできるわけではない訳ですから、卵子を傷つけないようにするという注意も勿論必要で、森さんがご心配くださっているように、子供や妊婦というものは、あらゆる被曝から守らなければいけないし、ストロンチウムにも少しでも被曝をしないようにしないといけないと思います。

◆ホワイトフード

はい、ありがとうございます。

Q.3《ストロンチウム90の検査の難しさについて》
ストロンチウム90の検査が難しい理由について教えてください。

◆小出

はい、放射線というものには、アルファ線という放射線がある、そしてベータ線、ガンマ線というような放射線もあります。
そして、ガンマ線という放射線を測ることは、比較的容易です。
例えば野菜を持ってくる、肉を持ってくる、ということでもいいですけれども、それをそのまま測定器にかけると、セシウム137がどれだけ含まれているかということが簡単にわかります。
勿論測定器の性能にもよりますけれども、試料そのものは、測定器のところへ持ってくれば、すぐに測定を始められるというものです。

ただし、ストロンチウム90という放射性物質はガンマ線を全く出しません。
ベータ線という放射性しか出しませんので、そのベータ線を測定してストロンチウム90という放射性物質がどれだけ含まれているかということを調べようとすると、肉なら肉、野菜なら野菜の中から、ストロンチウムという物質だけをまず取り分けてくるということをやらなければいけません。
私達が化学分離と呼んでいる大変面倒な作業をまずやることになります。
酸で溶かして沈殿を作って、それをまた洗ってとかいうような作業をするわけで、その作業のためにまず多大な労力と時間がかかってしまいます。
その上でストロンチウムという放射性物質をきちっと手入れをしようと思うと、これもまた説明がとても難しいのですが、イットリウム90という放射性物質がストロンチウム90から生まれてくるのですが、それが出す放射線を測るというのが一番正確に測れる方法でして、そのイットリウム90という放射性物質がきちっと止まってくるというのをある程度の時間待っていなければいけません。
そんなこともあって、一つの試料から、その中にどれだけのストロンチウム90が含まれているかということを正確に分析するためには、一週間も二週間も時間がかかってしまうという、それ程難しい測定になってしまっています。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。
四つ目の最後の質問でございます。

Q.4《ストロンチウム90の検査対象について》
どのような食品をストロンチウム90を検査すべきでしょうか。

◆小出

はい、先程も私、聞いて頂きましたけれども、大気中に出てきたストロンチウム90の量というのは、セシウム137に比べて約1000分の1だと私は思います。
ストロンチウム90という放射性物質は、セシウム137に比べても生物毒性が何倍かは高いですので、注意をしなければいけないというのは本当ですが、それでも放出されてきた放射性物質の量そのものが、1000分の1も小さいので、陸上のもの、野菜であるとか肉であるとかそういうものに関しては、私はストロンチウム90を気にするくらいなら、セシウム137をもっともっと気を付けて欲しいと思っています。

ただし、先ほども聞いて頂いたようにそれは陸上の食べ物だけなのであって、海の汚染というものに関しては、セシウム137とストロンチウム90がほぼ同等の汚染を生じているのではないかと私は心配しています。
ですから、どういう食べ物についてストロンチウム90の検査をしなければいけないか、といえば、一言で言えば海産物、あるいは内陸でもそうですけどもいわゆる水の中の生きものというものを注意すべきだと私は思います。

ただしその場合も、ストロンチウム90の測定は大変手間がかかりますので、これからもなかなかデータは出てこないだろうと思います。
その時の一つの推定の手段としては、セシウム137がどれだけ汚れている、ということをきちっと知って、それを目安に、ストロンチウム90も同じ位汚れているかもしれないというように推定する、というのが一つのやり方だろうと思います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。
大変お忙しい中インタビューにお答え頂きまして、ありがとうございました。

◆小出

いいえ、ありがとうございます。

◆ホワイトフード

はい、ありがとうございます。

※同店の文字起こし文章をベースに、Youtube動画音声に合わせて若干の修正を加えました。

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