2月22日に東京都千代田区の在日韓国YMCAアジア青少年センターにて、「2.22シンポジウム実行委員会」主催によるシンポジム「原発と差別、戦後日本を考える」が開催され、その記事と動画抜粋がIWJのWebサイトおよびYoutubeに公開されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、小出さんの講演部分の文字起こしも行いました。
2015/02/22 シンポジウム「原発と差別、戦後日本を再考する」 ―講演 小出裕章氏(京都大学原子炉実験所)&白井聡氏(文化学園大学)(動画)
2月22日(日)、東京都千代田区の在日本韓国YMCAアジア青少年センターにて、「2.22シンポジウム実行委員会」主催によるシンポジウム「原発と差別、戦後日本を再考する」 が開催され、「原子力平和利用は差別の上に成り立った」と題して小出裕章氏(京都大学原子炉実験所)が、「戦後日本にとって原子力とは何であったか」と題して白井聡氏(文化学園大学)が講演を行なった。
▼小出さん講演部分の文字起こし(抜粋)
今日のシンポジウムは、原発と差別、戦後日本を再考するというテーマだそうです。
え、福島の事故が4年前に起きてから、私は各地で福島の事故の話を聞いていただいてきましたけれども、原子力の問題というのは、単に事故の問題、放射能の問題ではないとずうっと思い続けてきましたし、今日のこのシンポジウム、ちょっと今までとは違ったシンポジウムになると思いますし、私は今日は福島の話は一切しないつもりです。
え、原子力というもの、日本で原子力の平和利用と呼ばれてきたものが、一体どういうものだったのか、そのことを戦後日本という中で考えてみたいと思います。
始めます。
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もっと露骨にこのことを言ってくれた外交官もいます。
こんなです。
「個人としての見解だが、日本の外交力の裏付けとして、核武装の選択の可能性の捨ててしまわない方がいい。
保有能力はもつが、当面、政策としては持たない、という形でいく。
そのためにも、プルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかなければならない。」というのです。
皆さんご存知かもしれません。
日本には、ついこの間まで科学技術省という役所がありました。
その役所は何をやっていたかというと、原子力開発とロケット開発なんです。
つまり、核兵器を作るための技術的な能力を持つため、としてできたのが、科学技術省という役所でした。
着々と日本は、この筋書きの通りに計画を進めてきました。
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朝鮮民主主義人民共和国やイランが「Nuclear Development」つまり原子力をつくったり、あるいはウラン濃縮をしようとすると、日本では核開発と略されてきた、Nuclear=核、Development=開発ですから、非常に単純な訳なんですね。
で、核開発をしようとしているから、ものすごく悪い国だと経済制裁を加える、あるいは場合によっては軍事制裁を加えなければいけない、というように日本の政府は言うわけだし、マスコミも積極的にこういう核開発と訳すのです。
では、日本で原子炉を動かす、ウラン濃縮をする、再処理ということでプルトニウムを取り出すというようなことをやるときには、何と訳すかというと「原子力開発」訳すのです。
文明国家として、必要なものであって、これからも日本では原子力開発をドンドンドンドンやりますというわけですね。
今日、皆さんに差別の話を皆さんに聞いていただこうと思うんですけれども、私はどんなことでも公平であるべきだと、思っています。
日本が原子炉を作る、ウラン濃縮をする、再処理をするというなら、ほかの国がそれをやることも認めなければいけないと思うし、ほかの国にそれをやるなというのであれば、日本だってやってはいけない、そう考えるべきだと私は思っています。
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サンフランシスコ講和条約、1952年に結ばれましたけれども、形の上では日本は主権を回復しました。
でも、実質的には、日本というこの国は米国の属国だと思っていますけれども、形の上では一応は主権国家に戻った。
でも、沖縄だけは日本国に戻らなかった。
米軍の施政権のもとに捨てられてしまうということになりました。
どうしてこんなことになったかというと、天皇という存在が、沖縄を防共の砦として米軍に差し出した。
通称「沖縄メッセージ」というのがあります。
昭和天皇がマッカーサー元帥に宛てたメッセージですけれども、そこにこう書かれていた。
「天皇が更に考えるには、沖縄の占領(他の島の占領も必要かもしれない)が、日本の主権は残した状態で、25年や50年間、いや更に長期間の賃借の形態に基づくものになるであろうということである。」
と言って、沖縄だけは、何十年もの長い間に渡って、米軍に差し出すということを、天皇がマッカーサーに対して提案をして、結局沖縄だけがずっと米軍のもとに捨てられてしまうということになってきたわけです。
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更に今日聞いていただいたように、日本で「原子力」と呼ばれてきたものはもともと「核」と同じものなのです。
原子力というようなものをやってしまえば、核兵器と縁が切れないことになってしまうし、日本というこの国は、始めからそのことを承知の上で、核兵器を作りたい、持ちたいというために原子力平和利用という言葉を作って、国民を騙してきた、そういう歴史があります。
でも、力の論理で世界に平和が作れるわけはないわけで、原子力からも核からも抜け出さなければいけないと思います。
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