6月17日 夜間の白いガスと発光について 小出裕章

2011年6月17日

2011年6月17日(金)夜、FM79.7京都三条ラジオカフェ(環境市民、NPO京都コミュニティ放送)の原発災害特別番組に小出裕章氏が電話出演されました。

パーソナリティの下村委津子さんが、最新状況に関する小出先生の知見を的確に引き出されています。

録音

FM797原発特番 「冷温停止は不可能」京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生
http://www.ustream.tv/recorded/15435561

【FM797原発災害特番】
~ストロンチウムの怖さ、すすまない汚染水処理。京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生にきく~ 2011-6-17OA
http://797podcast2.seesaa.net/article/210404044.html


要約

・(汚染水処理については、すぐに高濃度汚染水の処理が始まると思っていたが、その前段階で留まっていると理解していいか?)そうだ。福島原発の敷地の中には様々な濃度の汚染水が合計で11万トンある。今でも原子炉を冷やすために外から水を入れているが、その分も増えており、近いうちに溢れる。外から水を入れる方式を避けるために汚染水を循環させたいが、汚染したものをまわすと被曝が避けられない。少しでもきれいな水を循環させるため、比較的汚染の少ないものの汚染度を低くして回す。そのためのテストにとりかかったところ。

・(このつまづきは予想できた?)よくあること。ポンプを動かしても水が送れない場合には装置の破損を防ぐために安全弁を開くが、今回の問題はそこに猛烈な放射能があるということ。原子力の本質的な困難さがつきまとってきている。

・(新たな注水をしなくても水で冷やし続ける仕組みは可能か?)わからない。東電が公表してきたデータが度々覆されている。東電データを信用して原子炉は半分まで水があると考え、その上での推測を伝えてきたが、原子炉に水はなくメルトダウンしてしまったと5月12日に言い出した。それも本当かどうか分からないが、本当だとすると、2800度にならないと溶けない燃料が溶けて落ちている。鋼鉄の圧力容器の底が溶けて抜けて、さらに外側の格納容器を溶かして外に出ている。こうなるといくら水をかけても冷やすことができないだろう。

・(1号機では格納容器を溶かして燃料が外に出ているとすると、建屋の地面の下に落ちている?)そう。冷やすことができなければコンクリも溶かすため地下に落ちていく。

・(その点は新聞でもテレビでも言われていない。格納容器の底にたまっているとしか言わない。最悪の事態を伝えてほしいと思うが?)そう思う。

・(1号機は水をかけていない?)かけている。どういう状態にあるか不明だが、冷やすことが最重要なため水はかけている。

・(2号機3号機でも同じように格納容器の下に落ちている?)分からない。東電は水がない可能性が高いといっているが、それが本当であれば、格納容器の底に落ちて損傷させていると考えたほうがいい。

・(来年1月めどで冷温停止させるとしているが?)もともと冷温停止は原子炉圧力容器が健全で燃料がその中にあり100度以下になることを示す。いまは既に燃料が圧力容器から落ちているため冷温停止ということはありえない。

・(ウソを言うつもりはないのかもしれないが正確な情報が出ていない?)事故を小さく見せたいという意図のもとに発表されている。

・(東電のライブカメラを見ていたら真夜中に白いガスが吹き出ていたが、水蒸気か?)私も見たが、不思議だと思った。正直なんだか分からない。かなり劇的に噴きだしており、光ってもいた。何かの反応が起きているはずだと思った。茨城の空間線量が上がったという情報もある。ひょっとすると放射能放出に結びつく現象があったかもしれない。マスコミが東電に確認すべきことだ。

・(吹き上げている様子をみると、放射性物質が出ていることは間違いない?)水蒸気だとしても含まれているはずで、それなりに出たことは間違いない。でもあのように光るという現象は何なのか私にも分からない。東電は当然知っているはずで、発表があってしかるべきだが、ない。マスコミも一切触れていない。本来マスコミが追及すべきだ。

・(セシウムとストロンチウムが最近検出されているが、ヨウ素とは違う影響がある?)もちろんそうだ。

・(この検出は状況悪化を示す?)ヨウ素131は8日で半分に減り、これまでにほとんど無くなっているといっていいほど。セシウムは半分になるまで30年。ストロンチウム90の場合は29年。一人の人間の歴史や子や孫のことを考えれば、取り返しの付かないことだ。

・(さらに怖いものが出てくると考えるべき?)作業員の努力が実を結んで事故の劇的な悪化が防げた場合、今後問題になるのは半減期の長いセシウム137とストロンチウム90だ。

・(海に落ちても土に落ちても水源に落ちても私たちが取り込むことになる可能性がある?)可能性というより、必ずそれを引き受けることになる。

・(食べもの、飲みものに汚染が広がった場合、覚悟して受け入れることになる?)社会がどのように汚染と向きあうかということ。農産物は出荷停止にしてすべて捨てるという選択もあるが、そうすると農業は崩壊する。

・(2号機、3号機の溶けた燃料については東電は底にたまっている状況ではないとしている?)東電は一部は格納容器に落ちているが、ほとんどは圧力容器に残っていると説明している。

全体書き起こし

6/17:FM797原発特番-小出裕章氏「冷温停止は不可能」


5月27日 とてつもなく困難な状況 小出裕章 (FM797)

2011年5月27日

2011年5月27日(金)夜、FM79.7京都三条ラジオカフェ(環境市民、NPO京都コミュニティ放送)の原発災害特別番組に小出裕章氏が電話出演されました。

録音

1-2【福島原発】 小出裕章氏・細川弘明氏にきく

FM797原発災害特別番組 2011/05/27OA
http://www.ustream.tv/recorded/14987194

【FM797原発災害特別番組】
~原子炉と放射能汚染の状況~京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生、京都精華大学 教授 細川弘明先生に聴く。
http://797podcast2.seesaa.net/article/205017494.html


要約

・(メルトダウンとは何かについて再度説明を)原子炉には三種類ある。ひとつは燃料のウランが存在する炉心。それを入れている巨大で頑丈な圧力鍋のような圧力容器。更にその外には放射能を閉じ込める最後の砦である原子炉格納容器。メルトダウンとは、ウランの燃料が溶けて(メルト)下に向けて落下する(ダウン)ことを示す。ウランが溶けるということは2800度を超えて熱くなっているということで、放射能が大量に出る。それが起きたと東電が発表するようになった。

・(1号機ではウランが格納容器の外にまで落ちているということでいいか?)最後の防壁である格納容器が既に壊れて放射能が外に出ている可能性が高い。

・(放射能が外にもろに出てしまっている?)外に出る出方もいろいろある。最も恐れていたのは爆発的な現象により大気中に放射性物質がばらまかれること。現状では燃料が格納容器を溶かして地下にめりこんでいっている。つまり最も恐れていた事態とは少し違う形で環境に漏れている。今後長期間に渡ってそれが続くということ。

・(出されている情報が正しいかどうか分からない状態で先生に説明をお願いするのは申し訳ない面もあるが、頑張っていきたい)私も分かる範囲で答える。

・(2と3号機のメルトダウンは1号機とは違う?)分からない。1も2も3も炉心の半分まで水があると東電はつい最近まで言っていた。1号機は炉心の水位計を調整した結果、水がないことが分かった。2号機と3号機も水位計を調整すればこれも水がないということが判明するだろうと東電は言っている。本当かどうか分からないが。分からないということは、状況が困難ということを示している。

・(3号機は汚染水が漏れていることが判明したため、移送もしないとなっているが?)原子炉内は限られた空間であり、あふれた水の一部は海に漏れているだろう。早急になんとかしないといけないが二ヶ月間手をこまねいて見ているだけという状態。

・(冷却水の循環の仕組みは無理?)構築すべきと思ってきたが、すでに1号機では炉心が溶けていて、格納容器にも穴があいていれば循環式の仕組みはできない。

・(2号機と3号機は?)1号機と同じことである可能性はある。が、循環式の回路をつくる努力は続けるべきと思う。破局を避けるためには冷やすことが大切。続けるしかない。

・( 出てきている数字、放射性物質から、2と3号機に破損があるかどうかは分かる?)それは分かる。必ず破損している。2号機は圧力抑制室(サプレッションチェンバー)で爆発があり穴があいている。3号機も圧力が上がらないことから穴が開いていることは明らか。

・(もし穴があいていないとしても、2号機3号機も1号機と同じことになる可能性がある?)ある。格納容器の下の地面にめりこんでいくならまだいい。格納容器自体が破損して空気中に放射能が撒き散らされることは避けないといけない。とにかく炉心を溶かさない努力が重要。

・(冷やす作業を続けるためには汚染水を処理しないといけない?)そうだが、冷やすために水を入れるほど汚染水が増えるという悪循環。とてつもなく困難な状況。


5月6日 浜岡原発停止は最初の一歩 小出裕章

2011年5月6日

2011年5月6日(金)夜、FM79.7京都三条ラジオカフェ(環境市民、NPO京都コミュニティ放送)の原発災害特別番組に小出裕章氏が電話出演されました。

出演
京都大学 原子炉実験所 助教 小出裕章先生
下村委津子 NPO環境市民

録音

1-2【福島原発】5/6(金)福島原発の現状は?~小出裕章先生にきく

2-2【福島原発】5/6(金)福島原発の現状は?~小出裕章先生にきく

FM797原発災害特別番組 2011/5/6OA
http://www.ustream.tv/recorded/14516366

【FM797原発災害特別番組】京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生にきく2011/5/6OA
http://797podcast2.seesaa.net/article/199573562.html


要約

・(菅首相が記者会見で中部電力に浜岡原発の全ての原子炉の運転停止を要請したことを発表したことについて)そのことは嬉しい。ただ浜岡だけでなく日本のすべての原発を即刻止めるべきと言ってきた。ようやく一歩が始まったのだと思う。

・福島原発の状況は基本的には変わっていない。安定も収束もしていないが、破局にも向かっていない。なんとか現場で作業している方たちが食い止めているが、事態は改善せず苦しんでいる状態。

・(水棺措置のために1号機の原子炉建屋に人が入ったが?)被曝環境がひどいなかで酸素ボンベをつけたりして作業をしてくれている。

・(空気の浄化のために排気をするというのはどういう仕組みか?)タービン建屋、サービス建屋から原子炉建屋へダクトを引きこんで、空気を浄化し、それをまた戻すという仕組み。私であってもまずはこの浄化をするだろう。

・(空気を浄化する作業は延々続けるべきことか?)本来そうだが、待つ余裕がないため、ある程度きれいになった状態で次の作業にとりかかる必要がありそう。それと、きれいにしても汚染源が変わっていないためにまた空気が汚染されることにはなる。

・(建屋に入るのは水を循環させるための作業をするためか?)そう。汚染水を循環させて熱をどこかに捨てる作業をしようとしていて、そのために配管が必要であり、生身の人間がひどい汚染環境のなかで大工事をすることになる。

・(冠水作業はその後か?)私は冠水は必要ないと思う。今の作業環境は悪すぎるためなんとかする必要がある。

・(2号機は大量の汚染水を外に出さないための作業をしていたが、海底の土壌から高濃度の放射性物質が出たそうだが、これは流れていって沈殿したものか?)そうだろうが、いま現在も排水が漏れている。ピットで水を止めても、目にみえないトレンチや立坑から漏れて地下に染みこんで海を汚染している。海底も魚も汚れるということが進んでいる。

・(4月29日に採取した2号機取水口付近の土から非常に高濃度の放射性物質が検出されている。測定間違いではないようだが?)すさまじい数字。チェルノブイリは土の汚染だったが、福島は海。海で薄まっているのにそれだけの濃度になるというのは、とてつもない量の放射能が排出されているということ。

・セシウムは土にくっつきやすい。海水の中のセシウムは海の中の土にくっつく。移動して流れてもいく。一部はくっつき、他の部分は流れていく。くっついたものもまた流れていく。汚染は広がる。

・(3号機は一週間で原子炉の温度が30度以上上昇しているが?)現象としては単純。温度は発熱と除熱のバランス。発熱は崩壊熱であり、これが上がっているのは冷やすのに失敗しているということ。注水が減ったのだろう。1〜3号機へのポンプがつながっていて、1号機の水を増やすと他が減るということになっていると聞いた。難しい作業。

・(5号機、6号機の建屋の地下に大量の水がたまっていて、地下の配電設備が浸水する恐れがあるそうだが支障はあるか?)もちろんある。冷温停止状態だったのが、また再開する可能性も出てくる。東電は自然の湧水と言っているが、いまはこれが汚染されている状態で、なんらかの処理をしないといけない。


浜岡原発停止要請の関連報道(転載)

菅首相、浜岡原発全原子炉の運転停止を要請 (読売新聞 5月6日(金)19時13分配信)

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菅首相は6日夜、首相官邸で記者会見し、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転停止を、海江田経済産業相を通じて中部電力に要請したと発表した。

 理由として、静岡県を中心とする東海地震の発生確率が今後30年間で87%に上ることを挙げ、「国民の安全と安心を考えた。重大な事故が発生した場合の日本社会全体の甚大な影響もあわせて考慮した」と説明した。

 浜岡原発は、4、5号機が稼働中。点検のため運転を停止中の3号機は、東日本大震災の影響で運転再開を延期していた。1、2号機は運転を終了している。首相は、浜岡原発が東海地震の震源域にあることを指摘した上で、「文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫している。防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施する事が必要だ」と説明した。

 浜岡原発の運転停止で電力の供給に支障が生じる可能性も指摘されているが、首相は「政府としても最大限の対策を講じる。省電力、省エネルギーの工夫で必ず乗り越えていけると確信している」と強調し、「全国民の理解と協力があれば、夏場の電力需要に十分対応できる」と呼びかけた。
ーーーーー

書き起こし(転載)

5/6:FM797原発災害特別番組-小出裕章氏「現在の福島第一原発の状況について」(1)
5/6:FM797原発災害特別番組-小出裕章氏「現在の福島第一原発の状況について」(2)

ーーーーー
ゲスト:京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章氏
パーソナリティ(MC):下村委津子(NPO法人環境市民)

※簡単にテキスト化したので、参考にアップしたい。
 例によって、誤字脱字、理解不足による誤った文章等
 ご了承下さい。
 ( )は補足。

MC:FM797原発災害特別番組、
この番組は主に福島原発に関する情報を
NPO法人環境市民とNPO法人京都コミュニティ放送の
共同制作でお送り致します。

こんばんは、環境市民の下村委津子です。
今日は夜になってから大きなニュースが入ってきました。
まずはそのニュースからお伝え致します。
今日5月6日午後7時20分のNHKニュースの原稿が届いているのですけれども
ご紹介したいと思います。

「菅総理大臣は6日夜緊急に記者会見し、
静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原子力発電所について
近い将来の発生が懸念されている東海地震の想定震源域の
ほぼ真ん中に位置している事から、
現在運転している4号機と5号機を含む全ての原子炉の運転を停止するよう
中部電力に要請した事を明らかにしました」

(省略)

というニュースが入って参りました。

今日はまずこのニュースの事からお話を伺って行こうと思います。
お電話に出て下さっているのは、京都大学原子炉実験所助教の
小出裕章先生です。

小出先生、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:よろしくお願い致します。

小出氏:こちらこそ、よろしくお願いします。

MC:まず最初に浜岡原発の停止を要請したというニュースが入って来たのですが、
  先生はこれをお聞きになってどのように思われましたでしょうか。

小出氏:その事を取り上げれば、嬉しいです。
  ただ私自身は、浜岡だけではなくて、日本中で動いている全ての原子力発電所を
  即刻止めるべきだと言って来ましたので、漸く浜岡を止めるという一歩が
  始まったのかな、と思います。

MC:そうですね。
  まだ要請をした段階で、中部電力の社長の回答はまだ得られていないため、
  安心はしきれない所ではあるのですけれども、
  大きな動きになって行くといいな、という願いを持っていて下さっていると
  思っていますけれども、解りました。
  では、この後も引き続きあちこちにある原子力発電所が停止して行くような動きに
  繋がって行くと本当にいいかなと思います。

小出氏:はい、本当にそうしたいと思います。

MC:さて、心配な福島原子力発電所の方の話なのですけれども、
  先生と暫くお話をさせて頂いていないうちにいろいろな動きがありました。
  それぞれの、1号機から5,6号機までのニュースがいろいろこの間出て参りましたので、
  その状況と言いますか、状態がどのようになっているのかというのを
  先生から解説して頂きたいと思うのですが。

小出氏:基本的には、私は変わっていないと思っています。
  安定化、あるいは事故の収束に向かっているとも思いませんし、
  破局に向かっているとも思いません。
  破局を何とか食い止めようとして、東京電力あるいはその下請けの方を含めて
  福島で作業をして下さっている方々が、被曝をしながら
  何とか破局に至る道筋を防いでくれている、
  という事がこの1週間の間続いているのですね。
  少しでも早く安定化した所に行かせたいのですけれども
  それがなかなか出来ないという状態で苦しんでいる、
  というふうに私には見えます。

MC:1号機で少しでも早く作業が進むようにという事で、
  格納容器を水で満たす冠水措置というのが取られていて、
  昨日5日午前11時過ぎに、作業員二人が原子炉建屋の中に入った
  という事だったのですが、
  これもかなり危険な作業を伴っていたという事なのですよね。

小出氏:原子炉建屋の空気は物凄い放射能で汚れていますので、
  その空気を吸い込んでしまうと内部被曝という被曝をしますので、
  決して吸い込んではいけない、だから酸素ボンベを担いで全面マスクをして
  体は宇宙服のような服を着て入るしかない、
  という状況の中で作業をしてくれているのです。

MC:以前先生に伺いましたが、
  かなり動きにくい状況の中での作業という事なのですね。

小出氏:そうです。

MC:空気の浄化なのですけれども、排気するための機器を入れるための
  まずダクトと言うのですか、ホースのような大きなもの、
  それを設置したという事なのですね。

小出氏:そうですね。

MC:排気するというのは、外に出してまた戻すというような仕組みになっているのですが、
  これはどのような仕組みになっているのですか。

小出氏:原子炉建屋という建物があって、そこの中の空気が物凄く汚れているのですね。
  そこの外側にはタービン建屋やサービス建屋というのがある訳ですけれども
  そちらはまだ少しは綺麗という状態にある訳で、
  比較の問題ですけれども、そこも凄い被曝環境なのですが、
  まずそのタービン建屋あるいはサービス建屋という方から原子炉建屋に近付きまして、
  そちらの方から原子炉建屋の中にダクトを突っ込んだのですね。
  それで、原子炉建屋の中の空気を引き出して来まして、
  所謂掃除機のフィルターのようなものを通して、
  もう一度空気は原子炉建屋の中に戻すという、そういう作業をしたのです。

MC:それで、放射能で汚染された空気というのは、
  少しは綺麗になるという事なのですか。

小出氏:そうですね。
  そう東京電力も期待している訳ですし、私もそう期待しますし、
  もし私が、東京電力の福島の所員であったのであれば、
  かならずこの作業はやると思います。

MC:という事は、放射能で汚染されている空気というのは、
  常に放射性物質が出続けているので、ずっと汚染され続ける訳ですよね。

小出氏:そうですよね。

MC:そうすると、空気を綺麗にする作業も、
  ずっと延々やり続けなければならない、と。

小出氏:本当は、そうなのですが、そういう時間的な余裕はありませんから、
  ある程度綺麗になった段階で、作業員の人達が中で作業をする
  という事しか出来ないと思います。

MC:それだけ長い期間待っていられない、という状況な訳ですね。

小出氏:要するに、原子炉建屋というものの中には、
  格納容器というもうひとつ建物(容器)がある訳ですが、
  格納容器にもう損傷がある事が既に解っていますので、
  格納容器の中からどんどん放射性物質が漏れて来ているのですね、
  原子炉建屋の中に。
  ですから、原子炉建屋の中の空気を綺麗にするのはいいですけれども、
  綺麗にした所でまた漏れて来ますので、
  いくらやってもイタチごっごみたいな形になる訳です。

MC:そのフィルターで綺麗にしつつ、
  綺麗と言っても全然綺麗ではないのですけれども、本当は、
  少しはマシな状況を作りつつ、
  機を見計らってもう少し作業を進めるために入って行ってしまうと。

小出氏:はい、もうそれしかやりようがないと思います。

MC:入って行くというのは、つまり先生が前に教えて下さった、
  原子炉の水を循環させるための作業をするという事なのですか。

小出氏:そうです、その通りです。

MC:原子炉の水を循環させるためにも、
  私には中が良く解っていないので素人的な言い方になるかもしれませんが、
  更に困難な事が待っているのではないかな、と不安になってしまうのですが。

小出氏:ですから、物凄い汚染した原子炉の中の水というのがあるのですが、
  それを循環させて、熱だけはどこかに捨てなければいけないという、
  その作業をしようとしている訳ですね。
  物凄い汚染した水を循環出来るように配管を設置しなければいけない訳ですから、
  その現場に行く以外にないのです。
  その作業は、ロボットでは出来ませんから、
  生身の人間が物凄い汚染環境に行って配管を設置するなどの
  大工事をしなければいけない、という状態にある訳です。

MC:それはさっき言った水で浸してしまう冠水措置をした後の
  作業になるのでしょうか。

小出氏:たぶんそうではないと思います。
  私は、冠水なんてやる必要はないと思っていますし、
  やるとむしろ危険だと思っていますので、
  冠水などはする必要がない、
  ただ、循環出来る回路を作ればいい、と私は思っていて、
  作業環境が許すのであれば一刻でも早くやった方が良いと思うのですが、
  とにかく今の作業環境は悪過ぎるので、
  何とかもっと改善しないといけないと思います。

MC:少しでも良くなる方法は、水を循環させて、ずっと恒に冷やせる状況を
  作りだす事しかない、と先生はお話されていましたよね。

小出氏:はい。

MC:1号機は、そのような状況で、危険ながらも作業を進めて下さっている
  作業員の方達がまだ人数的におられると考えればいい訳ですね。

小出氏:そうですね。

MC:1号機だけを、今見ていたら良いという訳ではなくて、
  2号機~6号機まである訳ですけれども、
  2号機の方は2号機の方でまた大量の水が漏れていたという所の作業を
  何とか汚染された水を外に出さないようにというふうに進めていた訳ですよね。
  これで、今度は海底の土壌から、しかも20km位離れた所からも、
  高濃度の放射性物質が出たという事ですが、
  これは、やはり離れた所まで流れて行って落ちた
  というふうに考えたらいいのでしょうか。

小出氏:そうですけれども、福島の発電所の敷地から今現在も
  どんどん汚染した排水が漏れているのです。
  何か、ピットという所からの漏れを防いだから、もう大丈夫というふうに
  皆さん思っているかもしれませんが、そんな事は全くありません。
  ピットの目で見える滝のように流れ落ちていたその部分を止めたとしても、
  他のトレンチとか立て坑とか全て同じコンクリート製の構造物ですので、
  もうそこら中からじゃじゃ漏れになっていると、私は思います。
  それは、空気中を滝のように落ちないから見えないけれども、
  地下に浸み込む訳ですし、それはいずれ海に出て行くという形で
  今現在も海にどんどん流れ出て行って、
  海を汚染する、つまり海底の砂は汚れる、魚も汚れる、
  という、それが進行している訳ですね、今。

MC:そうすると、以前教えて頂いた通り、
  ざーっと流れている所は象徴的で、
  そこを塞いだら何となく大丈夫なのではないかと見えてしまいますが、
  実は見えない所でもっと沢山亀裂が入っていて漏れているはずだと。

小出氏:そうです、当然です。

MC:それが、今海で高い濃度となって検知されてしまっているという事・・・

小出氏:はい、私の予測はそれです。

MC:4月29日に採取した2号機取水口の沖230mの海底の土から
  1kg当たりセシウム137の濃度が通常の38000倍の87000Bqという数値で、
  ヨウ素131の方は52000Bq、というのが出たという事なのですが、
  これはTwitterなどを見ていますと、
  本当にこの数字が正しいのかというようなむきもありましたけれども、
  正しい数値だと文科省の方は発表していたようなのですね。
  これもうちょっと信じられない数字ですね。

小出氏:はい、凄まじいですね。
  チェルノブイリとう原子力発電所は、内陸にあって、
  噴き出して来た放射能は直接地面を汚染した訳ですけれども、
  今福島の場合は、海へ漏れて行っている、
  海は膨大な水がある訳ですけれども、
  それで薄めても尚それだけの汚染が生じるという事は、
  とてつもないものを流しているという事の証明です。

MC:先生、ちょっと素人の質問ですが、
  これが、海底から採取されたという事は、下にどんどん沈んで行って、
  土の所が高濃度になったというふうに考えれば良いのですか。

小出氏:セシウムというのは、土をくっ付けやすいのです。

MC:土にくっ付きやすい。

小出氏:はい。
  ですから、海水の中のセシウムは、海底の砂に接している部分では
  どんどん砂にくっ付いて行ってしまうという、
  そういう性質を持っている放射性核種です。

MC:そうすると、これはその後移動して流れて行くというような事は
  考えられる・・・

小出氏:もちろん流れて行きます。
  それはどんどん福島の敷地から今出て来ている訳ですから、
  一部はまたくっ付きますし、くっ付かないものは外に流れて行く訳ですし、
  一度くっ付いたものもまた剥がれて出て来ますので、
  汚染をどんどん拡大する事になると思います。

MC:先生が世界中に拡がる問題なのだとおっしゃっていましたが、
  世界の海に流れて行くという事を考えておかなければならない、
  という事なのですね。

小出氏:そうです。

MC:2号機はそう言った状況がまだ続いているという事ですね。
  そして、3号機の方も、この1週間で原子炉の温度が
  30℃以上上昇しているというニュースが入って来ました。
  これも、今また何故30℃以上上昇しているのかというのが、
  不安になって来る話なのですが、
  先生はこれをどうお考えになられますか。

小出氏:現象としては非常に単純だと思います。
  温度というのは、発熱と除熱のバランスで決まります。
  発熱は、崩壊熱というものは決まった発熱しかしませんから、
  それを冷やすのに失敗して温度が上がったという事です。

MC:冷やすのに失敗した。

小出氏:つまり、今まで外から入れている水の量がある訳ですけれども、
  その量が減ったのだと、私は思います。

MC:3号機へ注水していた水の量自体が減ったので・・・

小出氏:温度が上がってしまった。

MC:(水の)量は水素爆発をしないために加減をしながら、
  というその加減が難しいのだ、と先生に教えて頂いた事がありましたけれども、
  その加減が上手く行かなかったと。

小出氏:そうですね。
  要するに、東電福島は、今1号機2号機3号機を、
  とにかく同時に壊さないように冷やそうとしている訳ですね。
  ポンプはどこかの配管が繋がってしまっていて、
  一方1号機に沢山流そうとすると、他の所が減ってしまうという、
  そういう構造になっているというふうに、聞きました。

MC:1号機2号機3号機、どこが繋がっているかちょっと定かではありませんけれども、
  どこか繋がっていて、一方に沢山すると他の号機の所が少なくなってという事で、
  3号機の注水分が少なくなったために温度が上がったのではないかと
  見られているという事ですね。

小出氏:はい。

MC:だから、これはバランスを見ながら
  今後も同時進行で進めて行かないといけないという事ですね。

小出氏:そうです。
  とっても難しい作業です。

MC:そして最後、昨日でしたか、5号機6号機は冷温停止していたにも関わらず
  建屋の地下部分に大量の水が溜まっている事が解ったというニュースも
  入ってきました。
  それで、この地下に配電設備があると。
  ここにもし何か浸水などしてしまうと、止まってしまう恐れがある
  というふうに聞いているのですが、
  冷温停止状態であったとしても、配電設備が浸水で止まると、
  不都合がある訳ですか。

小出氏:もちろん、あります。
  電気が止まってしまったら、ポンプも何も動きませんので、
  冷温停止状態が、また破れてしまいます。
  だから、こんな事は絶対避けなければいけません。

MC:そうすると、冷温停止状態だったのが、
  また熱を持ってきてしまう可能性があるという。

小出氏:もちろんです。

MC:そうすると、絶対地下に漏れていた大量の水が溜まっているという
  原因を究明して、何とかしてそれを排除しなければならない
  という作業が必要になって来るという訳ですね。

小出氏:そうですね。
  でも、それは、たぶん東電の説明によれば、
  所謂自然の湧水だと言っていたのだと言っていたと思います。
  自然の水だと。
  それが本当かどうか、私は知りませんが、
  自然にそこでは湧水があるので、通常ならが流していたと。
  でも今はもう敷地全体が汚染しているので、
  一切流してはいけないと言って、政府から止められていると。
  それがだんだん水位が上がって来て、今危機的な状況に陥りそうだ、
  という話だと思います。

MC:溜まっているものなら、それはどこかに、外に流さないようにして
  処理しなければならない、という事になって来ると。

小出氏:本来はそうです。

MC:解りました。
  まだまだ全く安心出来る状況でないという事が確かな事は
  先生のお話から確認する事が出来ました。
  今後も推移を見守っていかなければならないと思いますので、
  また先生、時間を作って頂いて、またお話を伺える時間を、
  よろしくお願いしたいと思います。

小出氏:こちらこそ。

MC:ありがとうございました。

小出氏:ありがとうございました。

MC:という事で、京都大学原子炉実験所の助教でいらっしゃいます
  小出裕章先生にお話を伺いました。
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4月19日 工程表通りにいかない二つの理由 小出裕章

2011年4月20日

2011年4月19日、FM797京都三条ラジオカフェに小出裕章氏が出演し、以下のような話をされました。(担当:NPO環境市民下村委津子さん)

【FM797原発災害特別番組】 2011-4-19 ON AIR
~東京電力発表 事故収束への工程表をどう見るか 京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生にきく~
http://www.ustream.tv/recorded/14134090

2011/4/19 【福島原発】東電工程表~国際評価レベルの妥当性 /小出裕章氏 1/2

2011/4/19 【福島原発】東電工程表~国際評価レベルの妥当性 /小出裕章氏 2/2

※ 東電が4月17日に配布した工程表(ロードマップ)そのものは、日経新聞ウェブサイトにて入手できます。(こちら

以下、要約です。(全体文字おこしはその下です)

・(東電の工程表だと6〜9ヶ月で原子炉を安定させるとなっているが実現可能性は?)東電が示した工程表通りに作業が進むことを願うが、出来ないと思う。今回の事故を招いた東電の甘さや、事故の後の楽観的な姿勢という流れを見ていると、東電がみるように進むとは思えない。進まないと思う理由は二つ。

一つは現場がとてつもない被曝環境にあること。気が遠くなるほどの作業の積み重ねが必要で、そのために必要な、特殊な能力を持っていて被曝が覚悟をしている生身の人たちが6〜9ヶ月に渡って仕事をするわけだが、それが続けられるだけの人数を集めることは難しいだろうと思われる。

二つ目はロードマップにある方策そのものに疑義があること。今回、格納容器に水を入れて水没させる(水棺方式)ことが示されているが、それはできないと思う。最も難しそうな2号機では、一番低いところにあるサプレッションチャンバーが爆発で既に壊れていている。2号機は1や3号機よりも三ヶ月余分に時間がかかるとしているが、破損状況を調査した上で修理しなければいけないのに現状では近づくこともできない。修理できなければ水棺はそもそも不可能。1号機や3号機も、損傷している場所から汚染水が漏れてくることになるだろう。しかも格納容器は大量の水をいれるということを前提にした設計になっておらず、水をいれると未知の負荷のために新たな損傷が生じる恐れもある。従い、水棺はできないと思う。

・(ステップ1で三ヶ月を目標として1〜4号機の放射線量を抑えるとしていることについて)それは非常に楽観的だ。

・(放射能が出ないようにするのは無理なのか?)東電はコンクリートで埋めると言っているが、その作業自体ができないと思う。人が近づけないくらい放射線量が多い環境になっているから。

・(現場の厳しい環境で働いている人たちに更に過酷な作業を強いることになる?)放射線をはかりながら分単位で次々に交替するような作業になる。

・(小出先生が工程表を考えるとしたら、どのくらいかかると思うか?)別のトラブルが起きて、1年とか2年という単位になるのではないかと心配している。

・(工程自体を変えるほうがいい?)私は別の方法を提案してきた。水没は無理だからやらなくていい。ただし循環は必要。圧力容器と格納容器を一体化して考ればいい。圧力容器は壊れていて格納容器の底に水が漏れてくるが、その水を循環させその途中に熱交換器をつくって熱を海に排出しながら循環させるという考え。その作業も大変と思うが、東電案と比べれば早くできると思う。ただし、一定期間、環境に放射能を漏らし続けるということは変わらない。

・(既設の電源を利用できる案?)いまある電源は使える。ポンプも福島にすでにある余熱除去ポンプを使えると思っている。ただし配管を改修し、熱交換器も準備する工事の必要はある。

・(その工事でも被曝などの負荷は免れない?)被曝は避けられないので、すこしでも少なくすることを考える必要がある。

・(汚染水の移送については?)いまある6万トンある汚染水を移している先のタンクは容量が十分でない。現在も新しい水を冷却のために加えていて、いくらやってもイタチごっこになることを心配している。そうなると汚染水がたまるばかりになり、循環式のラインを作ることができない状況が続くかもしれない。

・(柏崎刈羽のような汚染水処理装置を福島に作ることは?)東電は考えていると思う。ただし仮設タンクにしても時間がかかるため、ロードマップ通りにはいかないかもしれない。

・(国際評価尺度がレベル7と発表されたが、いま起こっている現状を見てどうか?)この尺度は原子力を推進する人たちが作った。レベル7は彼らがとてもひどい事故を示すものとして作った。レベル7と認めたのはあまりにも遅かった。私は3月15日か17日くらいには彼らは7と思っていたらしいし、私もそう思っていた。事故を小さく見せたい、危険が大きいことを認めたくないという姿勢の表れ。世界から笑われたし、本当に恥ずかしい対応。7でもチェルノブイリよりは小さいと今言っているが、本当に破局的な事故になっているということを言わなければいけない。チェルノブイリは収束したが、福島は進行中。私の心配する最悪のシナリオになれば、現在までの10倍の放射能が排出されてチェルノブイリを超えることもありえる。そうしたことをはっきり言うべき。

・(保安院と安全委員会があり、安全委員会の方は当初からひどい事故と分かっていたと言っているが、迅速な情報開示がされなかったのは?)保安院がどうなっているのかは私は知らない。今回は安全委員会はまったくと言っていいほど機能しなかった。残念なこと。

・(私たちが声を上げるとしたら何ができるか?たとえば工程表見直しを求めるのはどうか?)そうした声を無視してきたのが東電なので、どうすればいいかは分からない。

・(ロボットで現状把握をすることによる効果は期待できるか?)過度の期待は無理。単純な測定はできるが修理はできないし、水や障害物があると動けない。放射線量を測定するということであれば役にたつはず。

小出先生部分の書き起こしをブログSleepingCatsにてされているので、転載させていただきます。

4/19:FM797原発災害特別番組「東京電力発表 事故収束への工程表をどう見るか」小出裕章(1)
4/19:FM797原発災害特別番組「東京電力発表 事故収束への工程表をどう見るか」小出裕章(2)

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ゲスト:京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生
パーソナリティ(MC):下村委津子(NPO法人環境市民)

MC:FM797 原発災害特別番組、
  毎週金曜日の夜8:30から通常お送りしておりますが、
  今夜は緊急特別番組としてお届け致します。
  この番組は主に福島原発に関する情報を
  NPO法人環境市民とNPO京都コミュニティ放送が共同で企画し
  放送致します。
  担当はNPO法人環境市民の下村委津子です。

  さて、今夜は緊急特別番組としてお届け致します。
  東京電力がどのようにして福島原発を収束に向けて行くのか
  という工程表を発表致しました。
  そして、その工程表の発表に伴って記者発表されまして、
  内容を私達も見る事が出来たのですが、
  果たしてその内容が十分なものであったのか、
  あるいは現実味を帯びたものなのかどうなのかという所までは、
  なかなか解釈しにくい所であるという事で、
  今夜もお電話で、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に
  お話を伺って行きたいと思います。

  小出先生、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:今夜もよろしくお願い致します。

小出氏:こちらこそお願いします。

MC:まず、今お伝えしていたのですけれども、
  東京電力から事故を収束していくための工程表が出されました。
  その事によりますと、6カ月から9カ月位で原子炉を安定させて行こう、
  というような内容だったのですが、
  ちょっと私達には、その工程自体がどのようなものなのか、
  ムリがあるものなのか、それとも現実味をかなり帯びているものなのか、
  という所が解りませんので、先生にお伺いしたいと思うのですが、
  工程表について、先生はどのように受け止められましたでしょうか。

小出氏:東京電力が示した工程表通りに、作業が進む事を願います。
  ただ、出来ないだろうと思います。

MC:そうですか。
  というのは、先生がお考えになる所でどの辺りになるのでしょうか。

小出氏:まず、これまでの事故を招いてしまったという
  東京電力の基本的な甘さがあった訳ですし、
  事故が起きた後の対応というのも楽観的楽観的な見通しを
  発表しながら今日まで来ているのですね。
  それが東京電力だけでなく、政府もそうですけれども、
  そうした流れを見ていると、東京電力が言う通りに楽観的な見通しが進むとは
  私には思えないという事が基本にあります。

  そして、この工程表通りに行かないと私が思わない理由は、
  大きく分けて2つあります。

  ひとつは、現場がとてつもなく厳しい放射線の被曝環境の中にあるという事です。
  これから、6カ月あるいは9カ月で収束させるというふうに東京電力が
  言っているのですけれども、
  その収束のためには気が遠くなるような作業の積み重ねが必要です。
  そのためには、被曝を覚悟する人達、生身の人達が、
  その現場で作業をしなければいけない訳ですけれども、
  極めて特殊な能力を持った人達が、その能力を発揮しながらやらなければ、
  作業が進まないと思いますし、
  そういう人達が本当にこれから6カ月あるいは9カ月もの間にわたって、
  キチンと仕事が出来るだけの人数を集められるのか、
  そして、被曝をしながら、その作業が出来るのかという事を思うと、
  私としてはなかなか難しいだとうと思うのが一点です。

  それから、ロードマップに示された方策それ自身に、
  私はいくつか疑義がある、という事があります。

MC:手段として書かれている事についてという事ですか。

小出氏:はい、そうです。

MC:どのような事でしょうか。

小出氏:例えば、今回のロードマップによりますと、
  格納容器と呼ばれている巨大な容器の中に水を入れて行って、
  それを水没させる、全体に水を入れると言っているのですね。
  どうもそれは、「水棺(すいかん)」という字で表現したようですけれども、
  水の棺にしてしまうという意味ですね、
  でも、それはたぶん出来ないと私は思います。

  例えば、一番難しそうなのが2号機という原子炉ですけれども、
  格納容器と普通呼ばれている容器の一番低い位置には、
  私がサプレッションチェンバーと呼ぶ、
  普通の方々は圧力抑制室と呼んでいるような場所があるのですが、
  そこは、東京電力によっても既に爆発によって壊れてしまっている
  と言われています。
  水を入れると言っても、一番低い所で壊れている訳ですから、
  水が入れられません。
  そのために東京電力は、この2号機に関しては、
  1号機と3号機は6カ月で復旧すると言っているのに対して、
  9カ月かかるというふうに言っているのです。
  つまり3カ月分余分に時間がかかると言っているのですが、
  本当に水を入れられるようにするためには、
  まずサプレッションチェンバーのどこが破れているのかという事を
  突き止めなければいけません。
  そして、どれだけの大きさで破れているのか、
  どのような形で破れているのかを、きちっと調べなければいけません。
  その上で、水が漏れないように修理をしなければいけません。
  ただし、その現場に立ち入る事すら実は出来ないという、
  そういうとてつもない放射線が飛び交っている場なのです。
  ですから、実際上3カ月をかけると言ったとしても、
  それが出来ないだろうと私は思いますし、
  出来なければ水を入れるというそもそもの計画自身が成り立ちません。

  それから、1号機と3号機というものも、既に格納容器に損傷があるという事は
  はっきりと解っています。
  ですから、仮に水を入れて行ってしまうと、
  損傷している場所から水が漏れて来てしまう、という事になりますので、
  たぶんこれも水を入れる事は出来なくなるだろうと想像しています。

  そして、もともとこの格納容器という容器は、水を入れるなんていう事は
  想定もしないまま作られた容器で、そのうような設計になっていないのです。
  初めから。
  巨大な容器で、何十mも高さがある容器ですけれども、
  その中に何千トンもの水を入れるという事になると、
  たぶんあちこちにムリがかかって来ると思いますし、
  そのためにまた新たな損傷が生じてしまう可能性もあると思います。

  そのような事を考えると、ロードマップで単に水を入れると
  東京電力は言っている訳ですけれども、
  それ自体がたぶん私は出来ないと思っています。

MC:そうですね。
  その格納容器からいろいろなパイプが出ていたりとかする訳ですよね。

小出氏:そうです。

MC:ですから、そうやって水を入れると今度はどこにどんな負荷がかかるか
  という事が全く解らないままにする事になるのですか。

小出氏:少なくとも人類が一度もやった事のない事をやろうとする訳ですし、
  全く想定もしていない作業をやろうとしている訳ですから、
  きっと様々なトラブルが出るであろうと思います。

MC:そうすると、今先生がお話し下さったみたいに、
  ステップ1が3カ月を目標に、1号機から4号機の放射線量が
  着実に減少するように、そういう状況に持って行くのは、
  その時点でかなりムリがあると。

小出氏:はい、非常に楽観的な見通しだと思います。

MC:おっしゃったように、今2号機のサプレッションチェンバー、
  いわゆる圧力抑制室が破損しているという事はもう確かで、
  そこから放射能が出ているがために近寄れないという状況でもあるのですよね。

小出氏:そうです。

MC:それを何とか放射能を出ないようにするというのは、
  破損しているからムリという事なのですか。

小出氏:その破損している所を、東京電力はグラウトと言っている
  コンクリートの仲間で埋めると言っている訳ですけれども、
  まずその作業自身が、私は出来ないと思います。
  要するに、人が近づけない位の物凄い放射線環境なのです。
  ですから、東京電力がどのような計画を立てて、
  そのようなプランを示したのか、今私は詳細を知りませんけれども、
  たぶんムリだと、私は思います。

MC:それを本当にしようと思ったら、先生が一番最初におっしゃったみたいに、
  現場の本当に厳しい環境の中で働いておられる方に、
  更にもっと過酷な事を求めなければならないという事になる訳ですよね。

小出氏:そうです。
  アラームメーターという放射線を計る機械を持って、
  そこまで走って行ってその現場で1分なら1分という、
  そんな作業をしながら次から次へと人が変わって行くという、
  そういう作業をしなければいけなくなると思います。

MC:という事は、全くもう楽観的な工程表の発表であったと、
  先生はご覧になっているという事ですね。

小出氏:そうです。

MC:先生が、もし別の案で工程表を考えられるとしたら、
  細かな事はお伺い出来ないとは思いますけれども、
  全体でどれ位、このような事故の場合、
  収束に向かうのにかかるのだろうと思われますか。

小出氏:今の東京電力のプラン通りに行くなら、
  6カ月9カ月という事では、たぶん済まないと思いますし、
  また別なトラブルが出てきて1年とか2年とかいう事になるのではないかと
  私は心配しています。

MC:そうすると、工程自体を変える方がいいですよね。
  やり方というか、手段自体を。

小出氏:私自身が、ずっと前から、
  確かこのラジオカフェでも提案させて頂いたと思うけれども、
  別な方法を提案しています。

  水没させるなどという事はムリなので、それはやらなくていい。
  ただし、循環させるという事はどうしても必要なので、
  圧力容器と格納容器を一体として考えて、
  圧力容器に中に水を入れる、
  圧力容器はもう壊れているので格納容器に漏れて来る、
  それをポンプで吸い上げて、また圧力容器の中に戻すという、
  そういう循環ラインを作る、
  そしてその途中に熱交換器を入れて、
  熱だけは海へ捨てるような仕組みを作るというのが、
  私の提案なのです。

  ただし、それだけでも物凄い大変な作業だと思っています。
  それをやるためにまた、申し訳ないけれども、やはり作業員の人達に
  酷い被曝を強いなければいけませんけれども、
  今でも、東京電力の示しているプランに比べれば、
  まだ収束が早いのではないか、と私は思います。
  ただし、完璧ではありません。
  格納容器の破損というのは既に起こっている訳ですし、
  それ(放射能の放出)を止めるというのはたぶん出来ないと思いますので、
  環境にやはり放射能を漏らし続けながら行くしかないという、
  その事を暫くは続けなければいけなくなります。

MC:この、先生が前から言って下さっているプランだと、
  ポンプを動かすための電源が必要になって来るのですが、
  この電気というのは、今中央制御室まで行っているという、
  その電源で可能なものなのですか。

小出氏:もちろん、可能です。

MC:そうすると、それをしようと思うと、
  ポンプといのは外付けで付けられるというものなのでしょうか。

小出氏:私はそうではなくて、
  福島の原子力発電所に既にあるポンプ、
  余熱除去ポンプというのですけれども、
  残留熱除去系という、そういうふうにも呼ばれますが、
  そのポンプを使えるだろう、と私は思っています。
  ただし、配管の一部をやはり改修しなければいけないし、
  熱交換器を何がしか準備をしなければいけないと思っています。
  そのための工事を、いずれにしてもやらなければいけないと思います。

MC:そうすると、工事の時に働く人達には、やはりある程度の被曝であるとか、
  そういった負荷がかかって来るという状況は免れないという事なのですね。

小出氏:大変申し訳ないけれども、今の状況で言えば、
  被曝自身は避けられませんので、
  少しでも少なくなる道は何かという事を選択しなければいけません。

MC:先生が考えていらっしゃるプランの方にするという方向に行けば、
  私も良いなというふうに願うばかりです。
  それにしても、ロボットが入って行って、
  中の状況が解って来るに従って更に見えてくる事があったのかもしれないな、
  と思うのですが、汚染水の移送も同時進行でやっていますよね。
  物凄い量が建屋の中にあると解ったのですよね、
  高濃度の汚染水が。

小出氏:東京電力の発表だと6万トンあると言うのですね。

MC:それを外に出しならが、同時進行でやらなくてはならない作業という事に
  なるのでしょうか。

小出氏:そうですけれども、今6万トンある一部の水を
  集中廃棄物処理建屋という所に移しているのですが、
  その建屋にあるタンクは確か2万トンか3万トンしか入れられません。
  つまり半分以上はどっちにしても今のまま残ってしまう訳です。
  そして、一方では原子炉の中に水を入れ続けるしか原子炉を冷やせませんので、
  今どんどんまだ入れている訳ですね。
  そうすると、入れた分がまた溢れて来るという事が避けられませんので、
  せっかく何万トンか移しても、またどんどん増えてきてしまって、
  いくらやってもイタチごっこになるのではないか、と私は心配しています。
  そうすると、現場は汚染水がずっと溜まり続けているという状態が
  これからも続いてしまう訳ですから、
  循環式のラインを作るという作業自身が出来ないという状況が続くと思います。

MC:先生にも何度がお伺いした高濃度の汚染水なのですけれども、
  もしも(水を)掛け続け、冷やし続けなけれならない、
  それをどこかに移し続けなければならない、という事になってくると、
  前に先生がおっしゃったような柏崎刈羽にあるような
  何らかの処理が出来るようなものを近くに作るというような事は
  できないのですか。

小出氏:出来ると思います。
  たぶん東京電力はそれも考えていると思いますし、
  集中廃棄物処理建屋のタンクでは足りないという事は
  もちろん東京電力は解っている訳で、
  今仮設タンクを作るというような案も出している訳で、
  そういう作業を進めなければいけないと思います。
  ただし時間がかかりますので、
  東京電力のロードマップ通りには行かないと私が思う理由のひとつでもあります。

MC:急がなければならないのだけれども、なかなか急ぐにも急げないような
  状況になっている、という事ですね。

小出氏:そうです。

MC:解りました。

MC:先生のお話を伺うと、本当に現状が明確によく解って来るのですけれども、
  もうひとつ、お伺いしたいのが、
  少し前の話になりますけれども、
  国際評価尺度がレベル7であるという発表がなされました。
  これは余りにも遅い発表だったのではないかという声も聞こえたりしていたのですが、
  今起こっている現状を見なければならないという事を、
  先生に教えて頂いたのですが、
  7以上に酷い状況というのは国際評価尺度の中には無いと聞いていますけれども、
  今起こっている現状をご覧になってのレベル7というのは、
  どういうふうに感じられますか。

小出氏:この国際事故評価尺度というのは、
  原子力を進めて来た人達が作ったものです。
  小さい事故から大きい事故まである、と。
  小さい事故はレベル1、あるいはレベル0というのも作っているのですけれども、
  そういうものから中位の事故、そして大きな事故、
  そして破局的な事故まであるだろうと、
  彼らが考えてレベル分けをした訳です。
  レベル7というのは、とにかくもう本当に酷い事故だという事で、
  彼ら自身が作ったのです。
  それで、今現在彼ら自身がレベル7になってしまったと言って認めている訳で、
  私は余りにも遅かったと思います。

  当初彼らはレベル4だと言っていた訳ですが、
  私はもうその頃から、レベル4などという事はあり得ない、
  レベル6だとうと思っていました。
  それも3月の15日あるいは17日位になった時には、
  彼ら自身がもうレベル7だという事を知っていたと言うのです。
  私もその頃そう思っていました。
  それなのに彼らは18日になってレベル5だと言っのですね。
  それ以降口を噤んでしまって、極最近になってレベル7だと言いました。

  事故を、小さく見せたい小さく見せたい、
  何とかその危険が大きいというのを認めたくないという姿勢の表れだと思います。
  そのため、世界からは物笑いの種にされた訳で、
  日本政府の危機管理がなっていない、情報の開示がなっていないと言って、
  喧々囂々の非難を浴びたために、
  ようやくにしてレベル7というのを認める事になってきた訳です。
  もう本当に恥ずかしい対応だと、私は思います。

  ただし、今になってもレベル7だけれども、
  チェルノブイリの事故に比べたら、まだ小さいのだという事を彼らは言っているのです。
  何とも困った人達だな(溜息混じりに)というのが、
  私の正直な感想です。

  自分達の基準でレベル7だと決めてしまったのであれば、
  本当に破局的な事故になっているという事を、
  それをまず一番に言わなければいけないと思いますし、
  何よりも問題な事は、チェルノブイリの原子力発電所の事故は、
  一応収束したのです、既に、
  所が福島の原子力発電所の事故は今現在進行中です。
  これからもっともっと放射能が漏れて来る訳ですし、
  私の描いている最悪のシナリオのような事がもし起きるのであれば、
  現在漏れて来ている放射性物質の10倍以上の放射性物質が
  漏れて来るであろうと、私は思っています。

MC:10倍以上ですか・・・。

小出氏:はい。
  そうなれば、もうチェルノブイリを超えてしまうという事もある訳ですし、
  そんな危険もはらみながら今事故が進行しているのだと、
  ハッキリとものを言わなければいけないと思います。

MC:そうですよね。
  素人の質問になるかもしれませんが、解らなかったのが、
  原子力安全保安院という所があるのと、
  (原子力)安全委員会があるので、
  安全委員会の方は当初からかなり酷いレベルではないかというふうに
  思っていたと言っていたと記憶しているのです、記者発表で。
  たぶん縦割になっているのだろうと想像しますけれども、
  同じ中でお互いやり取りして、もっと迅速に情報開示なりをしつつ、
  注意を促すような事が出来なかったのかな、
  と凄くそれが国民としては不思議でならないのです。
  命が一番大事なのに、何故そんな縦割で話が終わっているのだろう、
  というのが物凄く不思議でならなかったのですけれども。
  (涙声)

小出氏:私もそう思いますし、
  ただ私自身は、保安院の組織がどうなっているか、
  原子力安全委員会が組織がどうなっているか、
  という事を詳しく知りません。
  安全委員会の中に私の知っている人もいますけれども、
  いかんせん今回は、安全委員会は殆ど全くと言って良い程
  機能していませんでした。
  もう少しちゃんとやるべき組織だったのになぁ、
  と私自身も残念に思います。

MC:先生の前半のお話でいかに東電の工程表が甘いものかという事がよく解りました。
  これから私達、もしも声を上げて行くとしたら、
  どういうふうな声を上げて行ったらいいのでしょう。
  その工程表自体もっとキチンと見直すべきなのではないか、
  と強く求めて行くという事は必要なのでしょうか。

小出氏:一般の方がそういう声を上げても、
  きっと東電としては何も聞く耳を持たないというのが、
  どうもこれまでの歴史だったようですから、
  私自身もどうしたら良いのかよく解りません。

MC:解りました。
  それと、いろいろな新たな手段として、
  さっき少し話が出ました、私の方から出たのですけれども、
  ロボットによる現状把握をしようという事で出ているのですが、
  これは、より現状が解りやすくなる、
  もっと何か収束に向けて進めるために効果は期待できると
  考えていいのでしょうか。

小出氏:過度の期待を持つ事は無意味だと思います。
  ロボットが出来る事というのはせいぜい動いて行って、
  その現場の写真を撮るであるとか、
  放射線量を計るであるとか、温度を計るであるとか、
  せいぜいその程度の事しか出来ません。

  ですから何か修理をするというような事は全く役に立ちませんし、
  動いて行って、と私は言った訳ですけれども、
  動くための障害物があればまずそこを動く事が出来ない。
  例えば、水浸しになっている所とか、
  障害物が何かもう山積みになっているというような所があれば、
  もうそれで終わってしまう訳ですから、
  過度の期待を持ってはいけないと思います。

  ただし、人間がとりあえずは入る事が出来ないような所の
  放射線量を測定出来るとか、
  そういう何がしかの役に立つと思いますので、
  出来る活用はすべきだと思います。

MC:確かに先生のおっしゃる通り、最初入った時に水蒸気で
  レンズが曇ってしまったというようなニュースも来ていましたよね。

小出氏:そうです。

MC:人が入り込んで危険を犯さずに何らかの数値を得るなりをするためには
  必要なのだけれども、それ以上の事を求められないので、
  過度に期待してはいけないと。

小出氏:そうです。

MC:解りました。
  この本当に私達は、先生がおっしゃったように、
  まだ世界で全然経験した事のないような事態に陥っているという事を
  もっと早く政府の口から、あるいは東電の口から発表してもらって、
  そのために今これだけの、ひとつじゃなくて、これがダメならこれ、
  それもダメならこっちまでを考えてやります、
  というふうに言ってもらいたい所なのですが、
  なかなかそこに行かないという所に本当にジレンマを感じてしまいます。
  先生なんかは専門家でいらっしゃるので、
  もっと恐らく本当に歯ぎしりする思いで悔しい思いをされているかと思いますが、
  また私達は先生に情報をいろいろ頂いて解説して頂く事で
  理解を深めて行きたいと思いますので、
  これからもよろしくお願い致します。
  (半涙声にこちらも涙が・・・)

小出氏:こちらこそ。

MC:ありがとうございました。

小出氏:ありがとうございました。

MC:という事で、今日は毎週金曜日8:30からお届けしている
  FM797 原発災害特別番組を、緊急特別番組として、
  お届け致しました。
  お話を伺いましたのは、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生でした。
  小出先生も今あちこちで原発関連の催しが行われている中で、
  情報提供、あるいは、どのように考えたらいいのかという辺りの
  解説をして頂いているようです。
  本当にありがとうございました。

  それでは今日入って来たニュースを確認して、
  この番組を終わりたいと思います。

  まず今日の動きなのですけれども、
  福島第一原子力発電所で、今日19日午前冷却機能復旧への
  大きな障害となっている2号機の高濃度汚染水の集中廃棄物処理施設への
  移送を開始しています。
  およそ1万トンを移送する予定だという事なのですけれども、
  出来るだけ早く浄化システムを設置し、
  処理した水を注水に使う循環システムの構築を目指している、
  という事で、これは先ほどの先生のお話の解説の中にも出てきていました。
  2号機の高濃度汚染水を復水器へ移す作業を行った結果、
  トレンチの縦坑の水位が一端低下したそうなんですが、
  その後再び上昇に転じており、残りの汚染水の移送が急がれていました。
  縦坑の水位は、19日午前7時、地表から80cmの所にあり、
  前日の同じ時刻の82cmよりも上昇をしているという事です。

  経済産業省原子力保安院によりますと、
  福島原発には、およそ7万トンの汚染水があるという事で、
  2号機タービン建屋などには1000mSv以上という高い放射線量を持った
  溜まり水があるという事なんですね。
  この水がおよそ2.5万トン滞留しているという事です。

  まだまだ予断を許さないような状況が続いています。
  今度はまた金曜日に、いろいろと福島原発に関連する情報を、
  お届けしてまいりたいと思います。

  今日の担当はNPO法人環境市民の下村委津子でした。
  それでは、今日はこの辺で、失礼致します。
ーーーーー


2011年4月8日 1号機の異常と東京放棄の可能性 小出裕章

2011年4月8日

2011年4月8日20:30から放送されたFM797京都三条ラジオカフェの録画です。小出裕章氏が福島第一原発の最新情勢と想定される事態について語っています。

「東日本大震災支援特別番組 福島原発事故による影響について 汚染水 海への流出は止まった? 原子炉の現状は?」
http://www.ustream.tv/recorded/13851905
出演 ゲスト:京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生 パーソナリティ;下村委津子(NPO環境市民) 2011年4月8日OA



小出裕章氏の発言の簡単な要約は以下の通りです。

・1号機の格納容器の放射線量が7日から8日にかけて2〜3倍に激増した。原子炉内の異常(温度上昇、圧力上昇)により噴きだしてきた可能性。窒素注入とは関係ない別の理由によるものかもしれない。

・格納容器には大量の水素だけでなく酸素も蓄積してきているようだ。東電はそのように考えているようだ。酸素がたまっているのは、従来考えられてきた放射線による水の分解だけによるのではなく、外部から酸素から入ってきているのではないかということを心配している。

・大量の放射性物質を外部に放出することを前提にして窒素注入をせざるを得ない状況になっている。

・手当ての方法はひとつだけで、水を入れるということ。水を入れ続けても1号機の温度が下がらないのは、再臨界が起きている可能性を示している。1号機で燃料棒が70%以上壊れているために、制御棒がうまく入らなくなり、核分裂反応がとまっていないかもしれない。

・原子炉周辺で中性子が検出されているかどうかは分からない(東電が発表していない)。敷地の周辺で検出されている中性子は、原子炉で再臨界が起こっているかどうかの判断には使えない。

・いまは1号機から目を離せない状況。再臨界が起こっているとしたら、その状態でベント(排気)をすると高濃度の放射性物質が吹き出してくる。

・影響は風向き次第。現在すでに広島にも沖縄にも届いている。いま恐れている最悪の事態になったときは、福島はチェルノブイリと同じ規模の事故になる。チェルノブイリでは700kmのところまで放射線管理区域になった。

・一次情報(発表される数字)の意味を理解する必要がある。東京電力や政府は混乱を恐れているために「ただちに〜」「安全です」が先に出てしまい、適切な説明が二の次になる。

・「水棺冷却」という言葉は初めて聞いた。今すべきことは原子炉を冷却すること。そのためには水を入れること。ただし、再臨界が起きてしまうと崩壊熱を冷やすだけでは足りないため、難しい状況になる。それに失敗すると水蒸気爆発という最悪の事態になり、まだその可能性はある。そうなったときには日本全体で自分たちの生き方を考え直すことになる。

・爆発した際は、風向きによっては東京も放棄しなくてはいけない事態になる。発表されるデータを注意深く見ることが大切。

・臨界という状態は長くは続かない。臨界になるとその部分は膨張し、いったん臨界は止まる。温度が下がるとまた臨界になる。それを繰り返す。そのようなグツグツしている状態になっていると推測している。

また、以下はSleepingCatsにて公開されている、このインタビューの書き起こしです。転載させていただきます。どうもありがとうございます。

ゲスト:京都大学原子炉実験所 助教 小出裕章先生
パーソナリティ(以下「司会」):下村委津子(NPO環境市民)
2011年4月8日OA

司会:東日本大震災特別番組、
  この時間は福島原発の大事故による影響についてお届けして参ります。
  担当はNPO法人環境市民の下村委津子です。

  (午後)8時半からスタートしまして、この後、8時59分まで、
  福島原発の情報をお届けしてまいります。
  最初に今日の朝日新聞の夕刊に出ていた記事なんですけれども、
  東京電力は実は3月(4月の誤り)の8日に福島第一原発1号機から3号機までの
  地震直後の炉内データを持っていた、という事だったんですけれども、
  その炉内データを公表しなかったという事で、
  かなり遅れて公表したという事で、
  この事に関しても、これから、なぜすぐに発表しなかったのかという疑問も
  出てくるのではないかと思います。

司会:その福島原発の1号機なんですが、今朝からですね、
  昨日の地震(4月7日23:32発生の震度6強を観測した巨大な余震)以来
  という事になるかもしれませんけれども、
  さまざまな動きがありました。

  そこで今日も、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に
  電話とつなぎまして、お話しを伺います。

  小出先生、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

司会:よろしくお願いします。

小出氏:こちらこそ。

司会:福島原発の1号機なんですけれども、
  いろいろな動きがあったようなんですが、
  先生の所で解っている情報というのを教えて頂けるでしょうか。

小出氏:私が一番心配しているのは、
  格納容器の中の放射線量が急増しました、昨日から今日にかけて。
  激増と言っていい位に急激に増加しました。
  という事は、格納容器の中に大量の放射性物質が、
  また流れ込んできたという事を示しています。
  それが一体どういう事なのか、という事をきっちりと考えなければいけないと思います。

司会:激増したというのは、今までの量とは比べられない位に
  増えたという事なんですか。

小出氏:確か、2倍か3倍に増えたと。

司会:そうですか。

小出氏:はい。

司会:その事は今小出先生がおっしゃったように、
  何を意味する、というか、
  見えないなりに予測できる事はあるのでしょうか。

小出氏:はい。
  細かく見ると、原子炉の中の温度が上がっていますし、
  放射能の線量が増えたという格納容器の中の圧力も上がっています。
  圧力が上がったというのは、窒素を入れたという事もあるのかもしれませんが、
  放射線量が上がったという事、そして原子炉の中の温度が上がったという事は、
  原子炉の中で何らかの異常があって、
  放射性物質が格納容器の中に噴き出してきたのではないのか、
  というのが私の推測です。

司会:原子炉の圧力が上がった、温度も上がっているという事なのですね。

小出氏:はい。

司会:先生がさっきおっしゃった窒素との関係と言うのは
  あまり考えられないのでしょうか。

小出氏:格納容器の中の圧力だけで言えば、関連があるかもしれませんが、
  原子炉の中の温度も上がっていますので、
  窒素とは関係ない現象が起きていると思います。

司会:もともと窒素を入れたのは、水素爆発を防ぐために入れた・・・

小出氏:そうです。

司会:それはある程度、良い方向に行った・・・

小出氏:そうではありません。
  もともと格納容器の中というのは、本来は窒素だけだったのです。
  それが、今度の事故によりまして、燃料の被覆管というものが壊れまして、
  大量の水素が出てきてしまったのです。

  もともと窒素だけの所に、水素が入って来てしまって、
  また放射能もどんどん充満してきてしまったという事で、
  一時期ベントという弁を開きまして、それを外に流さざるを得なくなったのです。
  流したために今度は原子炉建屋という所に流れ込んで、
  水素爆発を起こすという事になった訳です。

  一度それで弁を開いて流してしまったので、良いはずだったのですけれども、
  それでもそのままでは行かないで、
  格納容器の中にはまだ水素が残っている訳ですし、
  もうひとつ問題は、水素だけならまだいいのですが、
  酸素がどうも格納容器の中に蓄積してきているようなのです。

司会:もともとが窒素だけだったのに、
  どうして水素がっていうのは解っているんですか。

小出氏:はい。
  水素は、燃料棒の被覆管が水と反応して発生するという化学反応があるのです。
  大量の水素が出て来たという事は確実ですし、
  格納容器の中に水素があるのはもう当然なのですけれども、
  水素と窒素だけであれば爆発しないのです。
  酸素がない限りは爆発しないのですけれども、
  東京電力はどうやら酸素も含まれているというふうに考えたらしいのです。
  では一体その酸素はどこから来たのかというと、

  ひとつの理由は、水という物質、水素と酸素で出来ているのですが、
  水が放射線に当たると水素と酸素に分解するという性質を持っています。
  その酸素が格納容器の中に溜まって来ているという可能性がひとつです。
  でも、その量だけであれば、私はたいした事はないと思っているのです。
  それでも東京電力が酸素が増えてきて爆発するかもしれないと心配したというのは、
  格納容器のどこかに損傷があって、外部から酸素が入って来ているという、
  そういう事が起きているのかもしれないという事を私は心配しています。

  そうなってしまうと、やはり格納容器の中の酸素をなるべく窒素に置き換えるという
  作業をしなければいけませんし、
  そのために、東京電力としては、これしかないという事で
  窒素を入れる事に踏み切ったのだと思います。

  ただし、そうすると、格納容器というのはある体積を持った容器な訳で、
  そこに窒素を新たに入れるという事は、
  それまでに入っていたガスを出すという事になります。
  それまでに入っていたガスというのは、水素と、それから放射能です。
  ですから、窒素を入れながら水素と一部酸素、そして一部の放射能を、
  外に捨てるという作業に踏み切ったという事です。
  そうせざると得ない状況に、東京電力が追いこまれているという事なのです。

司会:それによって、放射性物質が大量に外に出ていっているという事・・・

小出氏:まだ外でどれだけ出たのかという事はよく解りません。
  格納容器の内圧がかなり上がって来ていますので、
  ある程度の閉じ込め機能は格納容器が保っているのだと思いますけれども、
  でも、窒素をどんどん入れて行けば格納容器の内圧が高まって行きますので、
  いずれは放出する事になると思います。

司会:放出させないともっと大変な事になるという先生のお話しだったんですよね。

小出氏:そうです。

司会:なるほど。
  しかしですね、今先生がおっしゃったように、放射線量が2倍から3倍に増えたりとか、
  或いは、圧力が高まっている、温度が高まっている、
  何とか収めないといけないという事になるんだと思いますが、
  手当の方法というのはあるのでしょうか。

小出氏:もちろん手当の方法はたったひとつだけで、
  水を入れるという事です。
  それは、もうずーっとやっていきた訳ですし、
  これからもやらなければ行けないのですが、
  残念ながら、2号機3号機に比べて、1号機は温度が下がらないのです。
  何か理由があるのだろうと思いますし、
  その理由が、ひょっとすると再臨界という現象が起きているのかもしれないと
  私は心配しています。
  
司会:1号機の温度がずっと下がらずに、高止まりの状況であるというのは、
  再臨界が起きているのかもしれない、と。

小出氏:はい。

司会:先生に以前お伺いした事があるんですが、再臨界というのは、
  どういう事だったでしょうか。

小出氏:臨界というのは、ウランが核分裂をするという事を示す言葉です。
  ですから、もともと原子力発電所というのは、ウランの核分裂をさせる訳ですから、
  運転中はずーっと臨界です。
  今度のように地震に襲われたりすると、
  ウランの核分裂反応をまず止めなければいけませんので、
  制御棒という棒を原子炉の中に入れて、
  ウランの核分裂反応を止める訳です。
  たぶん今回も制御棒の操作は曲がりなりにも行われて、
  ウランの核分裂反応は止まったんだろうと私は推測しています。

  ただウランの核分裂反応をずーっと続けながら電気を起こして来た訳ですから、
  原子炉の中には大量の核分裂生成物という放射能が溜まっていたのです。
  ですから、ウランの核分裂反応それ自体を止める事が出来たとしても、
  放射能それ自体が出す熱というのは止められないのです。
  それを、私たちは崩壊熱と呼ぶのですが、
  その崩壊熱がずーっと出続けるという状態になってしまう訳です。
  そのために原子炉というのは、どんな時でも水を掛けて冷やさなければいけないという、
  そういう機械なのです。

  ただし今回の事故の場合は、津波にも同時に襲われたために、
  水を送るためのポンプが全く動かないという状況に追い込まれてしまって、
  原子炉がどんどん温度が上がって行って壊れてしまったという、
  そういう状態になっているのですね。

  ですから、当初の問題は、核分裂生成物という放射能が出す熱を
  どうやって冷やすかという事で、
  もうポンプが回らないのであれば、
  とにかく外から水を入れて冷やそうという事をやってきた訳ですけれども、
  それをやっている間に原子炉がどんどん壊れて行ってしまった訳です。
  壊れて行ってしまうと、原子炉の内部の形が変わって行ってしまう訳ですね。

司会:原子炉の内部の形が変わる・・・

小出氏:はい。
  原子炉というのは、燃料棒という棒が多数立てて並べてあるという、
  そういう形だと思って下さい。
  1本1本の燃料棒は、直径1cmで長さが4mです。
  細長い物干し竿だと思って頂ければいいのですけれども、
  それが沢山林のように並べてある訳です。
  その燃料棒という棒の中にウランを瀬戸物に焼き固めたペレットというものが入っていて、
  それが核分裂をしていく訳ですけれども、
  何か事故があって核分裂反応を止めたいと思うと
  その原子炉の中に、制御棒という棒を入れる、
  中性子という素粒子を吸収しやすい物質なのですが、
  それを入れてしまうとウランが食べる中性子が無くなって、
  核分裂反応が停止するという仕組みなのです。

  事故が起きた時に、制御棒はたぶん入ったのだと、私は思うのですが、
  もともとは燃料棒が沢山並んでいる所に、
  ある場所に、制御棒というものが入って行って核分裂反応を止めるのですけれども、
  今回の場合には、燃料棒そのものがグズグズに壊れてしまっているのです。

  東京電力によれば、1号炉では70%が壊れていると言っている訳ですが、
  つまり、もう物干し竿の形がないのです。
  ですから、中に入っていた瀬戸物も、もうボロボロになってあちこちに崩れ落ちている、
  そういう状態なのです。

  そうるすと、形があって制御棒が入っているなら、
  ウランの核分裂反応を抑えられたけれども、
  もう形が全然変わってしまっている場合には、
  ウランの核分裂反応を止める事ができなくなる場合ができてくるのです。
  そうなってしまうと、また核分裂反応が始まって熱が出てくるし、
  核分裂生成物という放射能が新たにまたどんどんと生み出されて来てしまうという、
  そういう状態を心配してきた訳です。

司会:TVで専門家という先生が出てきて解説されてた時に、
  その先生は再臨界はないというふうな解説をされていて、
  何故かというと、今おっしゃった臨界するためには
  燃料棒が物凄く規則正しく並べられていて、
  規則正しくしっかり臨界出来るような状態にあるから臨界出来るのであって、
  それが万が一崩れてしまったら、条件が整わないので臨界しないのだ、
  という説明をされていた記憶があるのです。
  そういう事ではないのですね。

小出氏:ありません。
  臨界というのは、もちろん形が正しい時には臨界になるという事だから、
  原子炉が設計されているのですけれども、
  形が崩れてしまって、むしろウランの燃料のペレットというものが、
  一塊りになって集まるような状況になってしまうと、
  むしろ臨界になりやすくなります。

司会:そうだったのですか。
  先生がおっしゃったウランが食べる中性子なのですけれども、
  中性子自体が検出されているという事なのですか。

小出氏:中性子の検出というのがですね、
  本来は原子炉の中に中性子の検出器というのがあるはずなのですけれども、
  それ自身のデータは少なくとも今は公表されていませんし、
  ひょっとするともうその検出器が死んでいるかもしれないと思っています。

  それで、中性子が検出されたというのは、時々報道があったのですが、
  それは発電所の敷地の境界にある、
  例えば正門の近くにある外部の中性子モニターが
  時々何か普通とは違う中性子を検出したという事で、
  あまり指標にはならないと私は思っています。

司会:中ではないので。

小出氏:中で直接計るデータが実は欲しいのですけれども、
  残念ながらデータが公表されていないです。

司会:先生の推測によると、温度が下がらないのは、
  再臨界というのが起こっている可能性があるかもしれない事で、という事なのですね

小出氏:おっしゃる通りです。

司会:予測されているのは、やはり外に出ている何かいろいろな放射性物質とか、
  そういう事を鑑みて推測が可能になっているという事なのでしょうか。

小出氏:私は、数限られた情報の中で、それを合理的に説明するためには、
  どういう現象が起きていると考えなければいけないかという、
  そういう推測を今している訳です。

司会:そうすると全くもう1号機から目を離せないような状況という事ですよね。

小出氏:今はそうだと思います。

司会:そうですか。
  これは、更にベントと言いますか、もっと圧力を抜いて、
  爆発しないようにしていかなければならないという・・・

小出氏:はい、それは必ずやると思います。

司会:その時に、今先生がおっしゃっているように、
  再臨界が起こっていたとしたならば、更にもっと濃度が高いような
  放射性物質が出てくるという事はないのですか。

小出氏:もちろん出てくる訳です。
  格納容器の中の放射線量が2倍にも3倍にもなったという事は、
  それだけ格納容器内に放射能の濃度が高いガスが充満しているという事ですから、
  ベントをすれば高濃度の放射性物質が外に噴き出して来るという事になります。

司会:夕方の東京電力の記者発表を見ておりますと、
  なぜ放射線量がそんなに高くなったのかという事に対して、
  計器がおかしいのではないか、というような発言もあったようなのですが。

小出氏:(苦笑もらしつつ)そうなんですか。

司会:はい。
  過小評価ではなく、私達は、先生がおっしゃるように、
  もしそうであったならばという最悪のケースも想定した上で、
  何か対応してもらいたいというふうに願うばかりなのですけれども、
  どうも過小評価に陥っているとすると、
  またこの先の対応が不安でならないのです。

小出氏:私も過小評価であって欲しいと思います。
  東京電力の計器が壊れていて、
  実際にはそんな事は起きていないという事を私は願います。
  でも、そうではなかったとしたらば、やはり問題だろうと思いますので。

司会:これは、環境中とおっしゃいますか、
  大気中に高濃度の放射性物質がまた更に排出されるという事になりますと、
  また周りはかなり気を付けていかなければなりませんよね。

小出氏:そうですね。

司会:今日辺り、雨が関西でも降ったりしていたのですが、
  関西地域への影響というは、今現在どのようにお考えになられていますか。

小出氏:それはもう風向きだけですし、
  沖縄まで放射能が届いているという事は観測されていすし、
  広島にも届いているという事は解っています。
  ですから、もちろん関西にも届いているのです。
  ただ、今現在は関西は福島から見れば離れているという事で、
  皆さんはまだ安心しているという事なのでしょうけれども、
  本当に私が恐れている様な最悪の事態になる時には、
  私は、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所というのと
  同じような規模の事故になると思っているのですが、
  そうすると、チェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、
  発電所から700kmの彼方まで放射線の管理区域にしなければいけない
  汚染地域が生じました。
  たぶん関西もそれに呑みこまれる事になると思います。
  ただ、それは風向きによりますので、
  風向きが悪くならない事を祈るしかないと思います。

司会:そうですね。
  先生に、日本は何故シミュレーションを発表しないのだろうというお話を聞いたその後、
  今現在はもう気象庁の方が拡散予測というのを出すようになりましたよね。
  これは、台湾の方でも出されるようになっていますし、
  これもある程度私達は見つつ、行動する際には、
  参考にしなければならないという事になるのですかね。

小出氏:そうですね。
  ちゃんとしたデータをやはり出す方は出すし、
  受け取る方もちゃんと受け取らなければいけない、
  という、そういう事態だと思います。

司会:そうですね。
  数字だけ見ていても私達は数字の持っている意味という所までは
  なかなか深く理解しずらい、と。
  ただ、先生のような専門家がおられて、その数字の持っている意味であるとか、
  その現象がどういう事を指しているのかというのを、
  きちんと解説して下さると非常に解りやすくなりますし、
  私達が次に取らなければならない行動であるとか、
  次に考えなければならないという所が見えてくるのですが、
  東京電力であるとか、政府であるとかは、
  残念ながらそういった情報提供の仕方ではないのですよね。

小出氏:私から見てもそうだと思います。
  要するに彼らは混乱を何よりも恐れるのです。
  パニックにならないようにしようと、彼らはまず思う訳で、
  そう思ってしまうと、まず彼らの口から出るのは、
  「安全です」「安心して下さい」「ただちに影響はありません」という、
  そういう言葉が出てきてしまうという。
  説明はその次だ、という事になってしまうのです。

司会:海への低レベル汚染水の排水の話でも、
  低レベルというのは実は私達が文字から受ける印象の低レベルではなくて・・・

小出氏:どんでもないものです。

司会:先生が、普段捨てられているような、処理されているような水の100万倍と
  おっしゃいましたね。

小出氏:100倍、1000倍というレベルです。

司会:100倍、1000倍のレベルである、と、
  しかもそれが凄い量である、という事だったのですよね。
  それを考えますと、如何に私達が情報をどういうふうに理解していくのか
  というのが非常に重要な事なのだな、というふうに重い知らされました。

  それと、先生、もうひとつ、今日のニュースで解らない言葉が出てきました。
  東京新聞なのですけれども、
  福島第一原発に水棺(すいかん)冷却を検討という言葉が出てきているんですね。

小出氏:何ですか?

司会:水の、棺桶の棺という字を書いて、それで冷却をするというような
  新聞記事が出てきているんですよ。

小出氏:そんな言葉、初めて聞きました。

司会:ああ、そうですか。
  いろんな手当をされているのは解るのですが、
  こういうふうに次から次に情報が出てくると同時に、
  全く解らない事が増えて行くというので、
  更に不安も増していくのではないかいうふうな心配をしているのですが、
  私達はこれから情報を得る時に、先生がもし注意して下さるとすれば、
  何に一番注意をして情報を得るという事が重要になってくると思われるでしょうか。

小出氏:水棺冷却というのは、私は何だか知りませんけれども、
  とにかく今やらなければいけない事は確実に解っているというか、
  ただひとつだけなのです。
  原子炉をとにかく冷却するという事、その事だけです。
  そのためには水を入れなければいけないという事なのですね。
  今は外部からとにかく水を入れるという作業を続けてきている訳で、
  外部から水を入れれば、入れた分だけの水は外に出さなければいけないという事で
  今発電所の中に大量の汚染水がどんどん溢れて来て、
  その処理に追われるという事になっている訳です。
  そのために、今下村さんがおっしゃったように、
  低レベルとか言いながら、物凄い放射能の濃度のものを海に捨てながら、
  もっともっと酷い汚染水をタンクに入れようという作業をしている訳です。
  一番の根本は、原子炉に水を入れて冷やすという事なのです。

  ただし、再臨界という事がもし起きてしまうと、
  いわゆる放射能が出す熱、崩壊熱だけを冷やそうという事では足りなくなりますので、
  入れる水の量を増やさなければいけないとか、
  いろいろな難しい事が出てくる訳です。

  それに失敗しますと、たぶん前に聞いて頂いたと思うのですが、
  水蒸気爆発という最悪の事態に至る可能性がまだ残っていると思います。
  そうなった時には、今より桁違いの放射能が外部に放出されてきます。
  それが、私が一番恐れている事ですけれども、
  そうなった時には、たぶん日本全体、関西も含めてですね、
  自分達の生きて行き方を考えなければいけない時代になると思いますので、
  今後も東京電力、或いは政府が発表するデータというのを、
  注意深く見ていって頂いて、
  そうなった時には、もう隠す事は出来ません、
  また爆発の映像がはっきりと見えるはずですから、
  近傍の人は、やはり逃げて頂かなければいけないし、
  風向きによっては、東京も放棄しなければいけないという、
  そういう事態になるので、情報だけは常に注意をして頂いて、
  情報を流す皆さんをきっちりと正確な情報を流すよう心がけて欲しいと思います。

司会:今の1号機の状態で、もし熱がもっと上がって来るような事になると、
  先生がおっしゃったように、水をもっと増やして冷やして行かないといけないのですよね。

小出氏:そうです。

司会:その、水を増やして冷やすという事は、今でも精一杯やっているのではないかと
  思うのですが、可能な事なのですか。

小出氏:水の量は、もっと増やす事も出来ると思います。
  ただ水の量を一辺に急に増やしたりすると、
  もう既に原子炉の中の圧力容器という圧力釜の温度が200℃を超えていますので、
  水を入れると急激に今度は蒸気が発生してきます。
  そうすると今度は、格納容器という容器の内圧が高くなってしまって
  また放射能が漏れてしまうという可能性に繋がりますので、
  水を入れる量というのは、大変注意深く調整しなければいけないのです。
  それが難しいがために、東京電力は苦闘していると思いますし、
  なかなか温度が上手く冷えないし、
  今日起きたような何か特別な放射線量の上昇、
  つまり放射性物質が格納容器の中に溢れてくるというような事態も
  また起きているのだろうなと思います。

司会:なので、もう闇雲に水を掛ければいいという訳ではないのですね。
  先生がおっしゃった再臨界しているかも、という事になって来ると、
  し続けていると考えられる訳ですか?
  温度が例えば上がっているとか、放射線量が上がっているとかという・・・

小出氏:臨界という現象は、たぶん長い時間にわたっては続かないと
  私は思っているのです。
  臨界という状態になると、その場所で大量の熱が出ますので、
  その場所は膨張します。
  ある部分が膨張するという事は、今度は臨界を抑えるという効果に繋がって、
  臨界が起きると、また臨界が止まる、
  それで温度が下がって来るとまた臨になる、と。

司会:繰り返しになると・・・

小出氏:というように、ぶすぶすぶすぶすという燃えるという状況が続いているのだと
  私は推測しています。

司会:解りました。
  どうもありがとうございました。
  またよろしくお願い致します。

小出氏:こちらこそ、よろしく。
  はい、失礼致します。

司会:京都大学原子炉実験所の小出先生にお話しを伺いました。
  福島原発の第1号機の状況について伺いました。
  では、今日はこの辺で失礼します。