12月29日 私から見ると今現在、戦争が続いているのです 小出裕章(そもそも総研)

12月29日(木)、テレビ朝日モーニングバード「そもそも総研」に小出裕章氏がVTR出演されました。録画情報をstakさま、しんちゃんさまより教えていただき、文字おこしをしんちゃん様よりご提供いただきました。

今回のテーマは、「そもそも今年のキーパーソン2人は日本の危機をどう捉えているのか?」で、出演者のもうお一人は古賀茂明氏です。

録画
http://www.dailymotion.com/video/xnbwuy_20111229

内容文字おこしは以下の通りです。(小出裕章氏の発言箇所周辺のみ)


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「反原発訴え続け40年 ”冷温停止”はもうできない」

玉川「原発のリスクについては小出助教にうかがっています。VTR
小出「私から見ると今現在、戦争が続いているのです。」

ナレーション:12月16日、政府による事実上の原発事故”収束宣言”が出されました。あたかも原子炉の状況がこれ以上悪くなることががないとでも言いたげな印象を与えました。しかし、原発の危険性を訴え続けてきた小出助教は、いまだ私達が安心できる状況にはないと警鐘を鳴らします。

玉川「原子力の専門家の方々の中では”冷温停止”というのは何を指す言葉なのですか?どういう状態をいうのですか?」
小出「原子炉圧力容器という圧力釜が健全で、中に水がたまると、穴が開いていないというそういう状態で、炉心がその水の中に浸かっている、そしてその水の温度が100℃を超えないというのが”冷温停止”という概念。」
玉川「ということは、圧力容器をもう破って、格納容器すら破っているという状況の中で、もう”冷温停止”っていう言葉自体が本当はおかしいわけですね。」
小出「そうです。そんな言葉を使うこと自身がもう著しくおかしいし、工学的に言うならば、常識をはるかに逸脱したことを言っているわけです。」
玉川「政府が言っている”冷温停止”を解釈するとですよ、何をもって”冷温停止”しているという言い方になっているわけですか?」
小出「少なくとも”冷温停止”という概念が適用できないということは確実なんですけども、政府や東京電力はもう仕方がないから”冷温停止相当”のというような、まあそういうような表現にしているわけですが、圧力容器もまあ100℃を超えていないで蒸気がどんどん噴き出してくるような状態ではないということをもって”冷温停止”と。」

ナレーション:小出助教は、1号機で落ちた燃料の高熱によってコンクリートが65㎝溶けている可能性があるという東京電力の見解も、科学的にはなんら証明されたものではないと言うのです。

小出「皆さん想像してほしいんですけれど、コンクリートの床があってですね、その上に2800℃を超えた瀬戸物の・・溶けた瀬戸物が落ちてくるわけです。その溶けた瀬戸物がコンクリートを溶かしながら今下にめり込んでいっていると言っててるわけですね。東京電力もそう言っている。その時に、水を例えば上からかけたとしても、瀬戸物の表面は冷やすことが出来るだろうけれども、コンクリートの中にめり込んでいっているその溶けている塊はもう冷やせないわけですよ。」
玉川「ということは、そのままもっとめり込んでいっていることが・・」
小出「多分めり込んでいっているんだろうと思っているのですね。それがもうすでに突き抜けているのかもしれないわけだし、誰もそれを確認することができないという状態。」

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「収束はしていない原発に潜むさらなる”危険性”」

ナレーション:さらに彼の心配は原子炉以外にも及んでいます
小出「今現在、4号機のプール等が崩壊するかもしれない。」

ナ:福島第一原発で過酷事故を起こした4つの原子炉。その中で原発2基分の使用済み核燃料を今も冷やし続けているのが4号機の燃料プールです。
玉川「4号機のプールの崩壊というのは、例えば新たな地震とかそういうふうなものでということですか?」
小出「はい。私が怖れているのは、”地震”ですし、多分東京電力もそれを怖れていて、4号機のプールが崩壊をしてしまうかもしれないということで、プールを支える柱とか壁とかの補強工事を、かなり長い時間をかけてやったと思います。プール自身が崩壊するようなことになれば、水はもちろん流れちゃうわけですし、燃料棒というものが空気中に剥き出しになりますので、そうなれば溶けてしまいます。」
玉川「使用済みだけど冷やさなきゃ、やっぱりそれでも溶けるんですね。溶けてしまえば・・」
小出「飛び出てきてしまいます。」
玉川「あーっ」
小出「4号機はかなりあの際どい状態に私はあると思いますし、そのプールを崩壊させないようなことはやらなければいけない。」

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「反原発訴え続け40年”学者としての責任”」

ナレーション:事故の第一義的な責任はもちろん東京電力にあります。しかしこの事故の背景には、何が何でも原子力政策を推し進めたかった政府と官僚の思惑があり、そしてその思惑を裏から支え続けた大学の研究者たちの存在がありました。

玉川「今回ほどいわゆるその学者の責任が問われたことはないんじゃないかと思うんですが、いわゆるまあ御用学者というような人たちの存在がずいぶんあのクローズアップされたと思うんですけれども、そういう人たちの存在をまあ対極にいらっしゃった立場としてはどういうふうに見ますか?」

小出「自分が何か間違いをすれば自分で責任を取るしかないと思いますし、原子力を推進してきた人たちだって、自分がこれまでやってきたことの意味というのをちゃんと自分で考えてそれなりの責任を明確にする、そして責任を取るということをやるべきだと私は思っているのですが、残念ながら誰一人としてやらない。チャップリンが(殺人狂時代という)映画を作った。えー、その中で「一人殺せば殺人者だけれども、100万殺せば英雄だ」という言葉を言わせているんですね。もし私が誰かに被ばくをさせる、法律を超えて被ばくをさせるようなことをすれば、私は犯罪者として国から処罰をされたはずだと思いますけれども、その国、あるいはまあ巨大産業である東京電力は、何百万人の人に今被ばくをさせているわけですね。それでも誰も責任を取らない。ぬけぬけとこのまま逃げおおせるというようなことは、私は許したくないと思います。」

ナレーション:廃炉まで少なくとも数十年。次の世代まで引き継がれるあまりに重いこの現実。最後に私はこの問いを投げかけた

玉川「ずっと今まで小出先生が主張してきたことが、事故という形で正しいということが立証されてしまったわけですよね。それについてはどうですか?」
小出「言葉に尽くせず無念ですね。もう最終的な敗北を私はさせられたと。」

スタジオ玉川「敗北したと。この敗北は小出先生だけじゃなくて日本人全体の敗北だと思いますけど。」
玉川まとめ「私が一番心配してるのは、そういう危機に対する関心がですね、この原発に関してもやっぱり落ちてきているんですよ。これが一番危機だと思います。」
===文字おこし以上です===

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