5月9日 ストロンチウムの危険性 小出裕章 (MBS)

2011年5月9日(月)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、京大原子炉実験所助教小出裕章氏が出演されました。

番組案内

2011年5月 9日【月】
被災地・障害者は・・・
東日本大震災から2ヶ月になろうとしていますが、被災者は厳しい生活を余儀なくされています。その中で、障害者の方々はどのような避難生活ができているのでしょうか。あまり伝えられていない障害者の方々の避難所や自宅での生活を伝えます。先週、南相馬市に巡回訪問に入った「コミュニティワークこッから」の小針康子さんにスタジオに来てもらいます。
福島第一原発については京都大学の小出さんにお話しを伺います。


録音

録音、公開してくださっている方、どうもありがとうございます。

【福島原発】5/9/月★どこまで危険を我慢できるかと言う判断を

要約

・(福島第一原発1号機で建屋の二重扉を開け、それにより5億ベクレルの放射性物質を含む空気が大気に放出されたことについて、東電は環境への影響は少ないと言っているが?)放射能はどんな意味でも危険。だから5億ベクレルの放出も当然危険。ただ、これまでに放出された放射性物質の単位は、兆でも京でもなく、その何十倍、何百倍の何十京、何百京というもの。だから、今回の5億ベクレルだけを取り上げて危険だというような事態ではない。既にとてつもない量が出ている。今回も危険であることは確かだが、今回だけを問題とするようなことではない。

・(5億ベクレルはどういう量か?)私が働いているような原子炉実験所のようなところでは何十年たっても出せない量。すごい量だ。

・(保安院は環境への影響はないと言うが?)被曝に「安全」「大丈夫」「影響ない」はない。そういう表現をしてはいけない。

・(二重扉を開放する際に、事後ではなく事前に十分な通知をすべきでは?)今回は、既にものすごい量の放出があり、周辺住民も既に避難させられている。だから、今回の放出については事前に発表したところで意味がないような状態にすでに至ってしまっている。

・(本格冷却に向けて作業員の方が今後建物に入るが、最大毎時700ミリシーベルトが検出されている現場もあるが?)そこでは作業できない。すぐに被曝限度に達する環境のため、作業可能時間が一人10分くらいになり、仕事にならない。なんとか環境を変えるか、その現場をあきらめて別の方策を考えるしかない。

・(水棺はだめということか?)水棺とは別の話。水棺そのものは外部からの水の注入だから作業はできると思うが、冷却のシステムを構築することについては、東電の計画通りにはいかないかもしれない。

・(鉛のマットは効果的?)被曝には外部と内部がある。内部被曝は放射線防護服を着れば防げる。外部被曝は外側に放射性物質がある限りは防げない。鉛のスーツを着るといくらかは防げるが、実際には重くて作業にならないので事実上効果はない。外部被曝を防ごうと思うなら、鉛の壁を作ることくらい。マットを敷くのではだめだろう。壁でもちゃんとカットできるかどうか。

・(どこから放射線が出ているかどうか分からない状態?)きちんと調べればわかるが、調べるのも難しい被曝環境。

・(海や土壌から検出されたストロンチウムはどこから?)タービン建屋やトレンチや立坑に汚染水が沢山ある。それが亀裂などから漏れて地下から海に流れたと推測する。

・(ストロンチウムは半減期が長い。魚への影響は?)大変だ。50年代、60年代に沢山行われた核実験のとき、環境に最大の影響を与えたのがストロンチウム90。ストロンチウム90はかなり重要な被曝源。

・(原発周辺の土から1キロあたり570ベクレルのストロンチウムが検出されたが、どういう数字?)チェルノブイリ事故のときに日本政府は食品の輸入規制を行った。そのときはセシウム134とセシウム137の合計でキログラムあたり370ベクレルだった。ストロンチウムは内部被曝に限って言うと、10倍〜100倍の危険がある。魚、海藻、貝類には多く蓄積される。魚等の放射能は、海水中の濃度よりも必ず高い濃度になる。魚は外部被曝もするし、取り込んだ放射性物質から内部被曝もする。

・(このあたりもきちんと調べて情報を公開してもらわないといけない)これから大変なことになる。被曝に関して安全ということはない。被曝による危険をどこまで許容できるかという話。

全体書き起こし(転載)

5月9日MBSラジオ小出裕章氏「1号機二重扉解放による5億ベクレル放出、そして被爆等について」

メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長

※完全なテキスト化ではありません。
 毎度の言い訳、誤字脱字等ご了承下さい。
 ( )は補足等。

MC:いろいろまた、小出先生に伺いましょう。
  京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生です。
  こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:よろしくお願い致します。

平野氏:よろしくお願いします。

小出氏:よろしくお願いします。

MC:まず今の福島第一原発1号機の話で伺いたいのですが、
  建屋の二重扉を開けました。
  そこで、リスナーの方から早速質問が来ております。
  「小出先生、二重扉を開けた事によって、
  およそ5億Bqの放射性物質を含む大気に放出されたという事なのですが、
  東電は、周辺の環境への影響は少ないと言っております。
  これは、本当にそうですか」
  というご質問が来ております。
  いかがでしょう。

小出氏:(溜息)放射能はどんな意味でも危険です。
  ですから、5億Bqの放射性物質が外に放出されたという事は、
  もちろん危険です。
  ちゃんと考えて欲しいと思いますけれども、
  でも、これまでに放出された放射性物質の量というのは、
  億なんかではありません。
  兆でもないし、その上のまた京という単位でもない位・・・

MC:京都の京と書いて「ケイ」と読むのですよね。
  兆の上が京ですか。
  それでもないのですか。

小出氏:はい。
  37京とか67京とか言っている位放出されている訳で、
  その億から兆に行くのに、まず1000倍違う。
  兆からまた京に行くのに1000倍違う、
  更にそのまた何十倍、何百倍と言っている量が放出されている訳ですから、
  5億Bq放出されたという事だけを取り合えげて、
  とてつもなく大変なんだ、と思う事はたぶん違うと私は思います。

MC:私は億が付いたので、えらい事だ、と思ったのです。
  しかしながら、今までに放出されている放射性物質の量を考えたら、
  桁が10位、ゼロの数が違う、もっと出ているのですね。

小出氏:そうです。
  とてつもない量がもう既に出てしまっていますので、今回ももちろん問題なのです、
  問題なのですけれども、
  今回がとてつもなく問題なのだと捉えてはいけないと思います。

MC:もう既にもっともっと多い数字が出ている、
  それに比べたら億Bq位では僅かだと見られる位に、
  今までが多かったという事ですか。

小出氏:そうです。
  5億Bqも物凄い量なのですよ。

MC:5億Bqとはどの位のものなのですか。
  普通で言うと。

小出氏:私なんかの原子炉実験所という所で働いている人間からすれば、
  そんな放射能は何十年経っても放出出来ないという位の量です。

MC:もう億なんて事は、普段はあり得ないのですか。

小出氏:普段はあり得ません。
  でも今は、とてつもない非常事態が起きている訳です。

MC:億の千倍の兆のまだ千倍の京のその何十倍。

小出氏:あと何十倍、何百倍となっている訳です。

平野氏:先生、これは保安院が環境への影響はないと言っているのは、
  では全く違うますね。

小出氏:何度も私この番組で聞いて頂いたと思いますけれども、
  被曝という事に安全量はないのです。
  ですから、安全だとか、大丈夫とか、影響がないとか、
  そういう表現は使ってはいけないと私は思います。

MC:私は、もしも自分が原発の周辺に住んでいる人間であれば、
  今回の事も、二重扉を開ける時には事前に、
  今日は何時頃に二重扉を開けますよ、
  だから、周辺の環境が最悪こんな事になるかもしれないので、
  こういうふうに気を付けて下さい、
  というような事を聞きたいと思うのですよ。
  そんな必要はなかったのですか。

小出氏:本当はもちろん、そうやって言わなければいけないのですが、
  既に事実として、もう物凄い量の放射性物質が放出されてしまって、
  周辺の人達はもう避難をさせられてしまって、居ないのですね。
  ですから、今は5億Bqの放射性物質を放出するという事によって、
  直ちに避難をしなければいけないという人は、
  もう居なくなってしまっているという状況ですので、
  正確に私は言うべきだとは思うけれども、
  言った所でもうどうにもならない、というか、
  意味のない状態に至ってしまっているという事だと思います。

MC:そして、この原発内で作業をして下さっている方々の状況ですけれども、
  これから本格冷却に向けて作業員が
  入って行かれるという事になるのでしょうが、
  今日の数字で言いますと、この原子炉格納容器の入口の上部の
  作業台周辺では、最大700mSvが観測されているます。
  この数字で作業をして行くという事は大丈夫ですか。

小出氏:その現場では、たぶん出来ません。

MC:700mSvの現場ではできないですか。

小出氏:はい。

MC:この700mSvの所では作業をする可能性は低いのではないか、
  という話も出ているそうなのですが、
  ここでしては逆に行けない、という位・・・

小出氏:いけないというか、自主的に10分とか、
  その位しか仕事が出来ないような、すぐに被曝の限度に達してしまう位の
  高放射線環境ですので、要するに仕事にならないのです、それでは。
  ですから、何とかその環境を変える事をするか、
  あるいはその現場を諦めるかするしかないと思います。

MC:諦めて冷却作業は進むのですか。

小出氏:その方策をまた考え直すという事ですね。

MC:やはり水棺という方法を取るには、
  今のこの放射線量では進み難いという事でしょうか。

小出氏:水棺とはたぶん別だと思います。
  水棺は、ただ水を入れるという事で、
  もし格納容器が損傷なければ行えるはずですし、
  今やろうとしているのは、循環式の冷却回路を作ろうという、
  その試みをしているはずですけれども、
  東京電力が計画したような形では出来ないかもしれない、と。
  また別の可能性を探らなければいけなくなるだろうと思います。

MC:先ほどのニュース(コーナー)では、
  鉛のマットを敷くという、ひとつの方法が言われておりました。
  これは効果的ですか。

小出氏:被曝をする時には、外部被曝と内部被曝というのがあります。
  外部被曝というのは、外側に放射性物質があって被曝をするという事ですし、
  内部被曝というのは、放射性物質を体の中に吸い込んだりしてしまって、
  それから被曝をするという事なのですが、

  内部被曝を防ぐという事は、所謂放射線防護服を着る事で防止できるのです。
  ですから、酸素ボンベを担いで、宇宙服のような着物を着て、現場に行く、と。
  それで内部被曝は防げるのです。

  でも、外部被曝というのは、外側に放射性物質がある限りは
  防ぐ事が出来ないのです。
  鉛のスーツを着たりすると、いくらかは防ぐ事が出来るのですが、
  なまりのスーツなんで重くて、とても分厚いものは着られない訳ですから、
  基本的にはもう効果がないと思わなければいけません。
  ですから、外部被曝をもし避けようと思うなら、
  放射性物質があるその場所に鉛などを置くとか、貼り付けるとか、
  そういう事をしない限りはもう避けられないのです。

  ですから、鉛を敷くというのは良いと思いますけれども、
  敷くだけではなくて、敷くというのは床ですよね、
  そうではなくて、壁の方から飛んで来る放射線もある訳ですから、
  そういうものを本当に有効にカットする事ができるかどうかと思うと、
  とても難しいと私は思います。

MC:どこから、放射性物質(放射線ですね)が出ているかというのが
  今の所まだ解らないのですよね。

小出氏:きっちりと調べれば解りますけれども、
  調べる事自身が被曝をしながらでないと調べられませんので、
  なかなか大変だろうと思います。

平野氏:それと、海から昨日ストロンチウムが検出されたと、
  東電が発表したのですけれども、
  これはどこから流れて来た、放出されて来たものなのか、
  というふうに見たらいいのでしょうか。

小出氏:要するにタービン建屋・トレンチ・立て坑という所に
  汚染水がもう溢れかえっているのですね。
  一時ピットという所から滝のように流れている所を漸くにして止めた訳ですけれども、
  それは目に見えている所を止めただけであって、
  トレンチも立て坑もそこら中で割れていると、私はずっと主張して来ましたし、
  そういう所から地面に浸み込んだものは、
  もう避けようがなく海に流れ出て来たと思います。
  その汚染が今回検出されたのであろう、というのが私の推測です。

平野氏:ストロンチウムが土壌から出た時に、
  あまり他の放射性物質と区別する必要がない、
  みたいなトーンでお聞きしたのですけれども、
  やはりストロンチウムというのは、半減期が長いですよね。

小出氏:そうです。

MC:26年でしたっけ。

小出氏:28年です。

平野氏:そういう意味では、我々にとっては、
  非常に怖い放射性物質だというイメージがあるのですけれども、
  これが海に流れたという事は、魚への(?聞き取れず)を考えてしまうのですが、
  この辺は危険性というのはどうなのですか。

小出氏:大変です。
  1950年から60年代にかけて、大気圏内の核実験が膨大に行われたのですが、
  それで放出された放射性物質のうち、
  人間に最大の被曝を与えたのは、ストロンチウム90だと思われています。
  ですから、今福島の原子力発電所からも、いろいろな放射性物質が流れている訳ですが、
  ストロンチウム90というのは、かなり重要な被曝源になるだろうと思います。

MC:これ、1kg当たり570Bqが検出されたそうですが、
  これはどういう数字でしょう。

小出氏:例えば、チェルノブイリの原子力発電所で事故が起きた時に、
  日本の国は輸入食品の規制というのを行いました。
  その規制は、セシウム134とセシウム137の合計で、
  1kg当たり370Bqという規制値でした。

  今おっしゃったのはkg当たり570Bq。
  ストロンチウムというのは、セシウム134あるいは137に比べると、
  内部被曝という事に限って言うなら、たぶん10倍100倍の危険があると思います。
  ですからそういうものが、今は土とおっしゃったのですかね。

平野氏:海から。

MC:原発の周辺の海で採取した土や海水からですね。

小出氏:土や海水ですか。
  海水でそれだけだったら、たぶん魚はもっとずっと多いと思いますし、
  大変な被曝になると思います。
  ですから、これから十分に魚あるいは海藻、貝類の
  調査をしなければいけなくなると思います。

MC:原発周辺の魚や海藻にはもっと多いとおっしゃいましたけれども、
  海水より多くなるのですか。

小出氏:必ず多くなります。
  海水中の濃度よりは生物体の濃度は、必ず多くなります。

MC:そういうものなのですか。
  溜めこむのですか。

小出氏:はい、濃縮するという事になります。

MC:魚がある意味内部被曝しているという意味ですか。

小出氏:もちろん、そうです。
  魚は海水から外部被曝もする訳ですし、
  その海水から放射性物質を体に取り込んで濃縮して行きますので、
  魚自身も内部被曝をする訳です。

MC:この辺りも追跡して、いろいろな情報を公開してもらわないと
  いけないですね。

小出氏:そうです。
  これから大変な事になると思います。

MC:本当に安全性を私達が確信するためには、
  それこそ情報がもっともっと出て来ないといけないな、と改めて思います。

小出氏:ただ、安全性というのは、もちろんないのです。
  ですから、どんな意味でも危険だという事をまずはご理解頂いて、
  どこまで危険を我慢出来るかという、
  そういう判断をして頂かなくてはいけないと思います。

MC:今日もどうもありがとうございました。

小出氏:はい。

平野氏:どうもありがとうございました。

MC:京都大学原子炉実験所助教小出裕章先生に伺いました。

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