3月6日【ペイフォワード環境情報教室】「国は、福島の事故をすべて忘れ去らせてしまおうという戦術で来ている」小出裕章先生 第20回(文字起こし)

8bitnewsインターネットラジオ【ペイフォワード環境情報教室】

2013年3月6日、8bitnewsインターネットラジオ【ペイフォワード環境情報教室】第20回目に小出裕章さんが出演されていましたので、このブログでも共有させていただきます。 以下、小出さん出演部分を文字起こししました。

▼出演者
聞き手:ロッキー沢田
ゲスト・小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼文字起こしは以下。

第20回目の今日は、京都大学原子炉実験所の小出裕章先生をお迎えして、福島原発事故から2年、核のゴミと原発安全審査について、ご意見をいただきました。

◆沢田
京都大学原子炉実験所の小出先生をお迎えしてます。
よろしくお願い致します。

◆小出
よろしくお願いします。

◆沢田
小出先生、あの今度迎えます3月11日で、えっと〜、福島第一原発の事故から2年を迎えることになります。

◆小出
はい。

◆沢田
で〜、その後、その間いろいろな動きがある中で、やっぱり原発の問題というところで一番言われているのが核のゴミと言われてるところでして、まあこちらが無毒化できないというこの技術の限界というものがありますが、まあこちらについてどう処分していくのか、所持していくのか、保管していくのか、というところが一番の本当に課題なんですけども、この頃フィンランドですね、最近出て来たニュースで、フィンランドのほうであの〜中間貯蔵なのか最終処理なのかという形で、一つの方向性が出たというお話がありますけども、あの全世界、日本の抱える問題もそうなんですけども、全世界で出る原発の核のゴミ、これ、どう扱っていけばよいか、またお話いただけますか?

◆小出
え〜、一言で言ってしまえば、誰もどうしていいか分からないというのが、昔もそうだっだし、現在もそう、その状態が続いているのです。
人間が原子炉を動かしたのは、米国という国がマンハッタン計画という原爆製造計画を立てて、その中で長崎原爆の材料にするためのプルトニウムを生み出したいという動機で、原子炉を始めて動かしました。
え〜、日本の皆さんは、原子炉というと、原子力発電、発電のための道具だと思われるかもしれませんが、もともと原子炉というのは、発電なんかに興味があったわけではなくて、原爆材料を生み出すための道具だったのです。
え〜、どうしても原爆を作りたいということで、それを動かしてしまいました。

そして、動かしてしまえば、核分裂生成物という放射性物質が出来てしまうということは物理学的に当たり前なことなわけで、え〜、その当時から、なんとかその生み出した放射性物質を消さなければ、たいへんなことになるということが分かっていたのです。

え〜、すぐにそのための研究も始まりましたけれども、既に70年経ってしまっています。
いずれなんとかなるだろう、いずれ科学の進歩によって、いい手段が見つかるだろうと、思い続けながら来たのですけれども、残念ながら未だに生み出した放射性物質を消すという力を人間は持っていないのです。

もうそうなれば仕方がないと、ほかに隔離をするしかないということで、その隔離の手段もさまざまに考えられてきました。
宇宙に捨ててしまおうという案もありましたけれども、捨てに行くためのロケットが失敗して落っこって来たときには取り返しがつかないことで、技術的にそれは出来ないということになっています。
そのほか、深い海の底に埋めてしまえばいいのではないかとか、南極に持って行って捨ててくればいいのではないかとか、さまざまな案がありましたけれども、え〜、どれもこれなら大丈夫と確信を持てるような案ではありませんでした。
そのため、今現在としては、仕方がないのでどこか地底に埋めようということになっているわけですし、日本でも地底に埋めるという案が、唯一の案として既に法律で決まってしまっているとそういう状態になっています。

しかし、日本というのは、世界一の地震国で、安定な地下なんていう場所はありませんので、どこに埋めてもたいへんなことになりそうだということで、私はずうっとそう主張して来ましたし、昨年の9月11日には、日本学術会議という学者の国会とも言うべき団体が、地下に埋め捨てにすることはやはり正しくないと、いう提言を出したりしているのです。

え〜、どこの国もやはりどうしていいか分からないという状態のままここまで来ているわけで、最近になってフィンランド、あるいはスウェーデンという国々が、なんとかやはり地底に埋めるしかないということで、その〜どこに埋めるかという場所の選定作業などを続けてきて、フィンランドはようやくにその埋め捨てにする場所を確定したというのが最近の動きなのです。
しかし、本当にそれをこれからですね、埋めようとするわけでしょうけども、本当に出来るかどうかということを考えると、私自身はまだまだ難しいだろうなというように思っています。

◆沢田
そうですか。
自民党政権に変わりまして、基本的になんか原発の再稼働とまあそういう形で動いて来ているという話がある中で、再稼働の要件として安全であればと安全審査が行われるかと思いますが、これもまた日本の原発という立地自体がですね、もともと活断層、玄海を除いてっていう形になりますけれども、あの活断層の上、もしくはすぐ近くにあの〜立地しているというところが歴然たる事実かと思うんですけれども、また今度それをもってまだ安全だと言い切る可能性が今後も出てくるかと思いますが、これについては先生はどのような見解をお持ちでしょうか。

◆小出
皆さん、もうご承知だと思いますけれども、思いますし、先ほど私、聞いていただいたように、日本という国は世界一の地震国なんですね。
え〜、この地球という星は、プレートというものが動いているというのが最近の定説なんですけれども、プレートのちょうどぶつかり合うという場所に日本というこの国がありまして、安定している場所というのは、残念ながらこの日本という国にはないのです。
そんな国に原子力発電所を50機を越えて作ってしまったというそのこと自身がたいへん異常な、世界から見ればたいへん異常なことなわけですし、未だにそれを反省しないでまだまだ原子力をやるというようなことをまあ考えている人がいるのですね、日本には。
私から見れば、本当に呆れた話だと思います。

◆沢田
そうですね。
また、いろんなですね、各種あの委員会、政府のします懇談会から委員会からですね、脱原発派と呼ばれる方々が、メンバーから外されてくるというような流れがある中で、311以降ですね、市民の活動も増えておりますし、まあいろんな方が活動を始められてます。
ですが、2年、今度経過するにあたりですね、なかなか結果が出ない、あの〜皆さん見張っていく中で憤りがあるかと思いますが、長年活動、反原発として活動されてきた小出先生から見て、ずいぶんこの前の311以降変化はあるかと思うんですけれども、どう見られていますか。

◆小出
はい、私自身はかれこれ40年原子力を止めさせたいと思って活動してきましたけれども、私の力などは、国家の力、あるいは巨大産業が集まった力、マスコミもみんなグルになった力の前からすれば、まったく無力と言っていいほどのもので、原子力を止めることが出来ないまま、福島の事故も起きてしまいました。
え〜、自分の人生がいったい何だったのかなと思わないでもありませんし、今現在、苦難のどん底に突き落とされた人々がたくさんいるということを思うと、本当に無念の一言です。

で〜、事故が起きてしまってから、まあそれなりに多くの人たちが、原子力の問題に気が付いて、私の話なども聞いてくださるようになったわけですけれども、私から見ると、私のことなんかもう聞いてくれなくてもいいので、とにかく事故が無ければよかったなと思い続けてきました。
私を呼んでくださる集会に行って、たくさんの人がその会場に来てくださって、いたわけですけれども、私はまったくうれしいとは思わないで、今日まで来ました。

え〜、しかし、つい最近ちょっと私の中で、思うことが変わってきたこともあります。
というのは、事故から2年経って、国のほうはもう福島の事故を忘れさせようとする、そういう戦術に出て来ているわけで、マスコミも含めて、福島のことを報道しない、未だにたくさんの人が苦難のどん底にいるということについても報道しない、すべて忘れ去らせてしまおうという戦術で来ているわけですが、でも、忘れない、決して忘れないという人たちが、日本中にあちこちにやはり残ってくださっていて、私の話を聞きに来てくださったりするわけですから、最近はああありがたいなあと、こういう人たちがまだ居てくれるのであれば、私もその人たちと一緒になって原子力を止めるためにまだ働けるかもしれないと思うようになっています。

◆沢田
そうですか。
ありがとうございます。

◆小出
はい。

◆沢田
けっこうですね、たね蒔きジャーナルもそうでしたし、あの〜愛川欽也さんの番組もっというようなお話の中で、なかなかですね、あの、スポンサーがある番組ですとなかなかこう継続するのが難しいと、いうようなところで、長い闘いになって来ていますけども、こちらのペイフォワード環境情報教室ではですね、スポンサーもまったくありませんし、あの先生のボランディアでやっていただいておりますので、これからもずうっと継続してですね、長い闘いを勝ち抜いていきたいと、一緒に勝ち抜いていきたいと思っておりますので、ぜひ小出先生にはですね、私たちの心の支えとしてご登場していただきたいと思っておりますので、ぜひともよろしくお願い致します。

◆小出
はい、こちらこそよろしくお願いします。

◆沢田
はい、どうもありがとうございました。

◆小出
ありがとうございました。

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