6月1日 たぶん当時遮水壁を造っていれば、今のような困った事態には陥らないで済んだ/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年6月1日に放送された「ラジオフォーラム第21回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
「放射能のゴミについて」

【パーソナリティー】
湯浅誠(社会活動家)

【ゲスト】
石坂啓(漫画家)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオフォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆湯浅
今日も、電話がつながっています。
小出さん、よろしくお願いします。

◆小出
よろしくお願いします。

◆湯浅
えっと〜、基礎知識編ということで、今日は、放射能のゴミって何ですかっていうことでちょっとお伺いしたいんですけれども、まぁ放射能のゴミと一口で言ってもたぶんいろんな種類のものがあって、それがまあどっから出んのかっていうのまあそれぞれ部署みたいな、箇所みたいなのがあって、あの〜報道なんかでも高レベルだ、低レベルだ、なんかいろいろ言われているんですけど、そいがどんなものがあってどんな問題があるのかっていうのは改めて教えていただきたいと思うんですけど、まず、所謂その放射性廃棄物っていうのはどんなものなんですかね。

◆小出
はい、今、湯浅さんおっしゃってくださったように、多種多様なゴミが出てきます。
で、一番問題なのは、私たちが電気が欲しいとして、原子力発電所を動かしてしまうわけですが、そうするとウランを核分裂させる、そうなると核分裂生成物という放射性物質が大量に出てきてしまいます。
え〜、もともとウランが持っていた放射能の10億倍にも放射能が膨れ上がってしまう。

◆湯浅
10億倍。

◆小出
はい、ということになります。
で、それは基本的には、使用済み燃料というものの中に残ってくるのですが、原子力発電所も機械ですので、さまざまな形であちこちから漏れてくるわけで、それがすべて放射能のゴミとして日常的にも出てくるわけですし、最後には今聞いていただいた使用済みの燃料というものが、本当にどうしていいか分からない放射能のゴミとして残ってしまうというものです。

◆湯浅
う〜ん、固体もあれば液体もあるということなんだと思いますけど。

◆小出
そうです。

◆湯浅
ある意味では、今回のあの汚染水ってヤツも、放射能のゴミっていうことになるんだと思うんですけど、今日のゲストの石坂さんが、ちょっとそれについてぜひ小出さんにお伺いしたいってことなんで。

◆小出
はい。

◆石坂
あの私はですね、やっぱりあの福島で、え〜汚染水を、海に流すのもやむなしで、漁連の関係の方たちにもですね、了解を得ることにするということの内容だったんですけれども。

◆小出
はい。

◆石坂
もうこれはやはり致し方ないというか、ほかにもう選択がなかった状況なんでしょうか。

◆小出
え〜、難しいご質問です。
え〜、私は事故が起きた直後から、原子炉建屋の周辺に深い遮水壁を張り巡らせて、溶けてしまった原子炉と地下水などが接触しないようにしなければいけないとして発言を続けてきたのですが、東京電力も国もその手段を一切取らないまま、汚れてしまっている原子炉建屋と地下水がもう渾然一体となっているような状態となってしまっているのです。
え〜、ですからどんどん汚染水がふくれあがってきてしまって、おそらく今の状態で言えば近い、本当に近い将来に汚染水を海へ流す以外には無くなると私は思います。
こうなってしまうと、たぶんそれしか手の打ちようがないと思うのですが、それでも、出来ることであれば今からでも遮水壁というものを造って、汚染水を減らすべきだと思います。

◆湯浅
小出さん、あの〜〜〜私も覚えてんですが、あ〜、原発事故のあった年に、あのかなり早い時期でしたよね、4月とかもう。

◆小出
はい、5月からもう私は発言をしています。

◆湯浅
5月から。

◆小出
はいはい。

◆湯浅
おっしゃってましたね。

◆小出
はい。

◆湯浅
あれはちょっと地下のイメージっていうのが私しらみたいな素人にはイマイチあの〜イメージできないんですけど、その遮水壁っていうのはかなり分厚いコンクリートの板をダ〜ンダ〜ンとあの囲むように入れるべきだという話だったんですよね。

◆小出
はい、原子炉建屋の周囲を囲うように、地下にまあ10メートル、20メートルぐらいのコンクリートの壁を張り巡らせて、周辺の地下水と遮断するということを私は提案しました。

◆石坂
でも、それがあるだけでもやっぱりイメージ的、絵的なイメージなんですけど、ずいぶん違う気がしますよね。

◆小出
はい、たぶん当時それをやっていれば、今のような困った事態には陥らないで済んだと思います。

◆石坂
あの〜、私たちはいろいろ不安を口にしたりですね、不満を言ったりすること出来るんですけど、もう実際にそこで生活されている漁連の方たちなんていうと、本当にもう何でしょうか抵抗のしようがないというか、え〜悔しい思いをされていると思うんですけれど。

◆小出
はい、当然そうだろうと思います。
漁を自粛しなければいけないという状態に追い込まれて既に2年経ってしまっているわけで、漁民の方から漁を奪ってしまうということは、要するにもう人間として生きていられないというそういう状態になってしまっている筈ですので、たいへんなことだと思いますし、まあ、陸の方で言えば農民の人たちが土地そのものを奪われて、追い出されてしまっているという状況なわけですから、もっともっと皆さん、この現実というのを知ってほしいと思います。

◆湯浅
で、それで小出さん、さっき遮水壁、今からでもっとおっしゃったけど、今もう混ざっちゃってる状態で、それでもまあ入れることには要するにこれ以上新たに入れた水が漏れ出さないって意味で意味があるだろうってことですね。

◆小出
そうですね。
あの、今はもう毎日400トンぐらいずつ増えてきているのですけれども、それを少しでも減らして、持ちこたえられる期間を先に延ばす、そしてその間にまたなにがしかの打つ手を探すということぐらいは出来るだろうと思います。

◆湯浅
う〜ん、あの〜最後にもう1個聞いていいですかね。

◆小出
はい

◆湯浅
ま、最終処分が出来ない日本の核燃料サイクル、挫折してますけれども、そういう中でトイレのないマンションと言われ、トイレの無いマンションを輸出しようとしたら冗談じゃねえって普通まあそういう話になりますよねえ。

◆小出
そうですね。

◆湯浅
だから、住宅だったらそうなるんだけど、まあ原発だと受け入れましょうってかやってくださいって話になりかける国が現実にあるというのは、その国の〜あの政府としてみると、日本はそれでもやっぱりどうしてもトイレの無いマンションなんだけどやりたいっていうのはどっかでやっぱ核武装したいっていう気持ちがあるからだっていう話がありますよね。

◆小出
はい、私はそう思います。

◆湯浅
やっぱその〜他の日本から原発輸出を受け入れるって言ってる国も、あわよくばっていうそういういわば色気があるからトイレの無いマンションだけど受け入れましょうっていう話になんですかねえ。

◆小出
日本もそうだったわけですし、世界のどこの国もそうだと思います。

◆湯浅
う〜ん、なるほどね。

◆石坂
う〜ん、あの〜本当に日本中の人に手塚治虫の火の鳥を読んでいただきたいなと思いました。

◆小出
はい、私もそう思います。

◆湯浅
ありがとうございました。

◆小出
ありがとうございました、はい。

◆湯浅
以上、小出裕章ジャーナルでした。

▼音声

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