学校給食ということに携わっている方には、放射能の影響、特に被曝に対して敏感な子どもたちをどうすれば少しでも守れるかということを、真剣に考えて欲しい。/小出裕章助教 第5回インタビュー Powered by ホワイトフード文字起こし

小出裕章助教第5回インタビュー

放射能測定を行って食品を販売している通販サイト「ホワイトフード」による小出さんへの5回目のインタビューがYouTubeで公開されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、文字起こしも行いました。
(同店のWebサイトにも文字起こしページが公開されています)

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◆ホワイトフード

こんにちは。

◆小出

こんにちは。

◆ホワイトフード

京都大学原子炉実験所、小出裕章助教にインタビューを致します。

◆小出

はい。

◆ホワイトフード

小出先生、よろしくお願い致します。

◆小出

よろしく

◆ホワイトフード

一つ目の質問、一番です。

Q.1
国の定めた基準値よりも低い数値ですが、放射能汚染として0.5~10ベクレル/kgを子ども向けの食事としては、どう解釈したらよろしいでしょうか?

◆小出

はい、皆さんご存知だと思いますが、国の今の基準は、1kgあたり100ベクレルというもので、それを下回っている限り、全てもう安全だと国は言っている、のですね。ですから、1kgあたり99ベクレルも、90ベクレルも、50ベクレルも、あるいは10ベクレルも、0.5ベクレルも全て一緒くたに安全だと国は言っています。

私は放射能というものは、どんな意味でも危険だと思って来ましたし、今でも確信しています。1kgあたり99ベクレルでも危険だし、90ベクレル、50ベクレル、あるいは10ベクレルでも危険だと思います。

福島の事故が起きる前は、日本の殆どの食べもの、お米も含めて、1kgあたり0.1ベクレル程度しか汚れていなかった、のです。ですから、100ベクレルを許すというものであれば、事故前の1000倍の汚染を許すということになってしまいますので、私はそれは正しくないと思います。99、90、50、10、幾つでもいいけれども、きっちりとして測定して、私達はそれに向き合うべきだと思います。

ホワイトフードは元々子ども向け赤ん坊向けにきれいな食べ物を回そうということで、この仕事を始めてくださった訳ですし、私自信も少なくても原子力を選んだことに責任がない、福島の事故を起こしたことに責任のない子どもたちには、できる限り汚染の少ないものを回すべきだと思ってきましたので、きちっと、まずは測定をするということが必要だと思います。

ホワイトフードはそのための仕事を引き受けてくださって、やってこられたわけで、0.5~10ベクレル、1kg当たりの食べ物はどうかと今質問を受けたわけで、もちろん1kgあたり100よりはましだと思います。でも、1kg10だとしても、事故前と比べると100倍の汚染を許すということになってしまいますので、できれば私は子ども、あるいは赤ん坊には、10ベクレルというようなものは回したくないと思います。どこまでならばいいのかと問われてしまうと、それはとても難しいことなのですけども、限りなく事故前のものに近い0.1であるとか、あるいはまあ0.5とか、そういうところに大人の責任として近づけるべきだと考えています。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。2つ目の質問です。

Q.2
学校給食が汚染されていた場合、学校給食関係者にどのように説得を試みたらよろしいでしょうか?

◆小出

それはとっても難しいことだと思います。ただ、今も聞いて頂いたように、私は、この事故に責任のない子どもたちを被曝から守るということをするのが大人の責任だと思ってきました。そして、学校給食というのは、子どもが食べるものなわけですから、私達大人が、一番に、真っ先に気をつけなければいけないという、そういうものだと思います。

そして、学校給食に携わっている方々がいらっしゃるわけですから、まずはそういう方々が自分の仕事として、子どもたちの被曝を少なくすることの大切さを分かって欲しいと思います。それを分かっていただこうと思っても、一方では国は、1kg当たり100ベクレル以下なら安全であるという宣伝をずっとひろげてきているわけですし、学校給食は自治体がやっていたりするわけで、なかなか国の方針を食い破って、子どもたちを守るということは難しいことだと私は思いますけれども、でも、せめて学校給食ということに携わっている方には、放射能の影響、特に被曝に対して敏感な子どもたちをどうすれば少しでも守れるかということを、真剣に考えて欲しいと思っています。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。

Q.3
給食で0.5~10ベクレル/kgのセシウムが入っていると、どのようなリスクが、どんな確率で起こるのでしょうか。

◆小出

はい、まずこのベクレルというのは放射能の量ですね。

それを食べる、あるいは吸い込むという場合もあるし、周りが地面が汚れているという、そういう場合もあるわけですけれども、被曝量というものは、今度はシーベルトあるいはグレイという単位で測るということになっています。

そして、今日本の国では、1年間に1ミリシーベルト以上の被曝はさせないというのがこれまでの法律でした。ところが、福島の事故が起きてしまって、もうそんなことは守れないと、国のほうが自分で決めた法律を反故にしたのです。

今までは平常時だった。今は緊急時だから自分が決めた法律はもう守れない。1年間に20ミリシーベルトまでは諦めさせるという風に今法律を作ってしまったわけですね。私はそのこと自身がおかしなことだと思っています。

でも、1年間に1ミリシーベルトという被曝量も安全なわけではありません。どんな被曝も危険を伴ういうことが現在の学問の到達点なのであって、じゃあ1年間に1ミリシーベルトというのはどうやって決めたかと言えば、日本に住む人間としてこの程度となら受け入れるべきだろう、我慢すべきだろうということで社会的な基準として決められたのですね。

では、1ミリシーベルトの被曝をしてしまうとどうなるかというと、2500人に一人がいずれガンで死ぬという程度の危険性です。逆にいうと2499人は害を被らないからいいだろうという風に決められているわけですね。

ただし、先程もちょっと聞いて頂きましたけど、子どもというのは放射線に敏感です。0才の子どもであれば、平均的な人間に比べるれば、4倍から5倍危険です。平均的な人間が1ミリシーベルトで2500人に1人がやがてガンで死ぬということであれば、赤ん坊のときに1ミリシーベルトの被曝をしてしまうと、500人~600人に1人の子どもがいずれガンで死んでいくという運命を負わされるというわけです。

では、1kgあたり例えば10ベクレルという食べものを食べたときに、どれだけの被曝するかということを計算しなければいけないわけですね。これは今私達問題にしているのはセシウムという放射性物質を問題にしているのですが、ごくごく大雑把に言うと、1キロベクレル、1000ベクレルですね、1000ベクレル食べてしまうと約10マイクロシーベルト被曝をします。半分かもしれない、或いは倍かもしれませんけれども、約10マイクロシーベルトぐらいの被曝をするということです。

ですから、1kgあたりもし10ベクレルであるとすれば、1000ベクレル食べようと思えば100kg食べて、初めて1000ベクレルになる。それで10マイクロシーベルトという被曝量です。1ミリシーベルトの被曝量に比べれば100分の1というぐらいなんですね。でも、毎日毎日それを食べていくことになれば、365倍、今度はする訳ですから、それなりの被曝量になるだろうと思います。

でも、赤ん坊が例えば1日どれだけ食べるかといえば、1kgの食べものを食べるということは多分ないだろうと思うし、1kgあたり10ベクレルという汚染であれば、1kg仮にそれで食べたとしても、10マイクロシーベルトのまた100分の1ぐらいの被曝で済むという、1日あたりですね。1年とったとしてもまた数十マイクロシーベルトあるいはまた100マイクロシーベルトになる、その程度だと思います。

つまり、これまでに許されてきた1ミリシーベルトの10分の1、あるいは何十分の1かというところで、少なくても食べものに関しては抑えることができるだろうということになります。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。

Q.4
学校給食の関係者へのメッセージあれば?

◆小出

はい、先程聞いて頂いたとおりです。残念ながら福島の事故が起きてしまって、汚染も起きてしまっています。その中で今私たちができることと言えば、子どもたちの被曝をどうやって少なくするかということだけだと私は思っていますので、そのためには、まあ例えば環境そのものをきれいにする、学校の校庭をきれいにするとか、幼稚園の園庭をきれいにするとか、地域の公園を綺麗にするとか、各家庭の庭を綺麗にするとか、そういうことはもちろん必要ですし、食べものに注意するということも一方で重要なことだと私は思います。

ですから、子どもの場合には、まずは母乳ですね、母乳を綺麗にする。つまり母親のからだをきれいにすることをやらないといけないし、あるいは粉ミルクを使っている家庭であれば、粉ミルクの汚染の少ないものを使うことが必要ですし、今問われているのは学校給食ですけれども、成長期の子どもたちが学校に通って、そこで学校給食という形で食べものを食べているわけですから、そういうものはできる限りきれいにするということを学校給食の関係者の皆さんには心して欲しいと願います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。5番目の質問です。

Q.5
福島原発事故で漏れ続けている汚染水による海産物への影響リスクがあると思いますが、子どもの食卓を守る上でどのような対策を立てると良いでしょうか。

◆小出

わかりません。要するに海へ向かって今汚染水が漏れているのですね。

漏れてしまえば海は全部つながっているわけですから、今現在はたぶん福島第一原子力発電所の敷地の前面の海域の魚が汚れているはずだと思います。でも、それを北海道に持ってきて水揚げするば、北海道産の魚になってしまうということになりますので、どうすれば汚染の強弱を知ることができるのかというのはなかなか難しい。

でも、ホワイトフードという特殊な仕事担ってくださっているところが、しっかりと測定をして、どういう魚がどのくらい汚れているということをこれから測ってくださるなら私はいいと思います、ありがたいと思いますけど、なかなか手がまわらないと思いますし、海産物からの被曝をどうやって私達自身が制御できるかということを問われてしまうとなかなか難しいと思います。

やはり、本当であれば、この事故、この汚染を引き起こしたのは東京電力という巨大な会社が引き起こしているわけですから、東京電力こそがかつては自分の所有物だった放射能をどこにどれだけ汚染として拡げたかというのをきちっと調べて、人々に知らせるという責任がある筈だと私は思いますので、自分たちで測ろうとすることには限界があるということを知った上で、東京電力、あるいは国というところにきっちりとした測定をして、データを公開しろということを求めていくべきだと思います。

◆ホワイトフード

ありがとうございます。

Q.6
ホワイトフードでは現在ゲルマニウム半導体検出器のみを所有しているわけなのですけども、海産物を測る上でどのような形で対策を打つべきでしょうか?(ホワイトフードの質問)

◆小出

はい、現在、一番注意をしないといけない放射性物質はセシウムだと私は思っています。それはホワイトフードが今使ってくださっているゲルマニウム半導体検出機という検出機が一番いい検出機です。ですからこれからも続けて欲しいと願っています。

ただし、海産物に関する限り、セシウムだけではなくて、私はストロンチウム90という放射性物質に注意をしなければいけないと思っています。そしてそのストロンチウ90という放射性物質を測ろうとすると、大変な手間隙がかかるのです。放射線の測定器自身は、非常にプリミティブなGM管でも何でもいいのですけれども、その放射線を測るという段階に至るまでに、魚なら魚、野菜なら野菜の中からストロンチウムというその元素だけを取り分けなければならない。私達が化学分離、ばけがく分離と呼ぶような非常に面倒な操作をして、魚や野菜の中からストロンチウムだけを取り出す。そしてはじめて試料ができて、放射線の測定器ができるということになるのです。

その作業に、1つの試料をつくるのに1週間というような時間がかかっていまうというような作業です。そして、化学操作ができるというような専門的な力を持っている人でないと、それができませんので、まあ失礼だけれども、ホワイトフードがその測定を担うということはとても重荷になるでしょうし、実質的には多分できないだろうと思って頂いた方がいいと思います。

ですから、さっき聞いて頂いたように、セシウムにしても、東京電力の元々の所有物だったわけです。ストロンチウムもそうです。ですから、自分の所有物だったものがどこにどれだけ汚染を拡げたのかということを東京電力に測定させるということが本当は一番いいと思いますし、東京電力はもう倒産しているような会社ですので、それが無理だとすれば、国にやはり求めて、やらせるということだと思います。

ただしストロンチウムの現在の海の汚染は、セシウムの汚染に比べると、まだ少ないというデータが殆どです。中に貝のように貝殻を持っているような生きもの、あさりとかですね。そうするとあのストロンチウムは骨とか貝殻に貯まりますので、むしろセシウムよりも多くたまっている生きものもあるのですけれども、でも私達、貝殻をバリバリ食べるわけではありませんから、そういう意味で言えば、セシウムよりはまだストロンチウムの汚染は現在少ない、海の海産物で。ですから、まずはセシウムをしっかり測って、場合によっては同じぐらいストロンチムが入っているぞという風に考えながら向き合うということが今やるべきことだと思います。

◆ホワイトフード

アドバイスありがとうございます。それでは第5回インタビューありがとうございました。

◆小出

はい、ありがとうございました。

※同店の文字起こし文章をベースに、Youtube動画音声に合わせて若干の修正を加えました。

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