私が心配しているのは、作業ではなくて、4号機の使用済燃料プール自体が大きな地震かなんかで崩れ落ちてしまうこと/小出裕章助教 第7回インタビュー Powered by ホワイトフード文字起こし

小出裕章助教第7回インタビュー

放射能測定を行って食品を販売している通販サイト「ホワイトフード」による小出さんへの7回目のインタビューがVimeoで公開されていましたので、このブログでも共有させていただきます。また、文字起こしも行いました。
(同店のWebサイトにも文字起こしページが公開されています)

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◆ホワイトフード

京都大学原子炉実験所の小出裕章助教に、今月11月から始まる福島第一原子力発電所4号機の使用済み核燃料貯蔵プールからの燃料棒1533本の取り出しについてお伺い致します。小出先生よろしくお願い致します。

◆ホワイトフード
Q.1
燃料棒を落としてしまった場合は、どのようなリスクがあるのでしょうか。また、どれくらいの被害が想定されるでしょうか?

◆小出

はい、燃料棒というもの中には、ウランが核分裂してできた核分裂生成物という放射性物質が溜まっています。直径1cm長さ4メートルぐらいの細い干し竿のようなものを想像していただきたいのですが、その中にウランが入っていたし、核分裂してできた放射性物質がその細い物干し竿のようなものの中に入っているわけです。

それを今回移動させようとするわけで、移動の作業の中でそれを落としてしまったり、それをどこかにぶつけてしまって、細い物干し竿にひびが入ったり、あるいはが折れたりしてしまうと、そこからまた放射性物質が吹き出してきてしまうことになります。

ただし、私自身はそれが仮に起きたとしても、大量の放射性物質が吹き出してくることにはならないと思っていて、作業員の方々の被爆というものは深刻ですけれども、敷地の外の所謂普通の方々のところまで被害が及ぶことはないだろうと思います。

◆ホワイトフード
Q.2
仮に再臨界すると放射性ヨウ素は出てくるのでしょうか?

◆小出

再臨界はたぶん起こりません。絶対に起きないという風に断言は出来ませんけれども、極めて可能性が低いと思いますし、起きないとむしろ断言してもいいぐらいのことです。

◆ホワイトフード
Q.3
子どもの家庭としては、どのような対策を取るべきでしょうか?

◆小出

先ほど聞いていただいたように、今回の作業によって、大量の放射性物質が周辺のみなさんに危害を加えるということは私はないと思っています。ですから、お子さんを持っている方々も、今回の作業自身を心配する必要はないと私は思います。

私が心配しているのは、作業ではなくて、4号機の使用済燃料プール自体が大きな地震かなんかで崩れ落ちてしまう。そうなると大量の放射性物質がまた吹き出してきてしまいますので、周辺の方々も様々な対策を取らなければいけなくなる。そうでない限りは、特に注意をして頂く必要はない。

◆ホワイトフード
Q.4
燃料プール自体が倒壊することをご心配されているのでしょうか?

◆小出

そうです。それだけだけです。私が心配しているのは。周辺の方に危害が加わるという意味では、それ以外には何の心配もない。

◆ホワイトフード

ちなみに、燃料プールが倒壊した場合はどれぐらいの被害を想定しておけば良いでしょうか?

◆小出

はい、使用済燃料プールの底には、大量の使用済燃料が今現在も眠っていまして、その中には広島原爆に換算すると約1万4000発分のセシウム137という放射性物質があると私は思います。これまで福島第一原子力発電所事故で大気中に吹き出してきたセシウム137は広島原発の168発分だと日本政府は言っています。

4号機の使用済み燃料プールには1万4000発分あるわけですから、これまでに噴き出してきたセシウム137の数十倍あるいは百倍というものが、今のところはまだ外に出て来てこない状態でるのです。もしそれが全量吹き出してきてしまうようなことになれば、また大変な被害になるだろうと思っています。

◆ホワイトフード

その場合は空間線量も食事以外に気をつけることが必要でしょうか?

◆小出

はい、もちろんそうですが、倒壊した場合にですね、燃料が冷却出来なくなるわけですけれども、燃料が溶けると中にあった放射性物質が吹き出してくるだろうと私は思います。

ただし、燃料が溶けるまでに、かなり時間の猶予があると思います。数日あるいは10日ぐらい溶けるまで時間がかかると思いますので、4号機の使用済燃料プールが崩れ落ちてしまったということは、恐らくいかなる情報統制をしてもバレると思いますし、それが分かってから皆さんそれぞれに何かを対策を考える時間の余裕があると思います。

◆ホワイトフード

その場合は、空間線量がじわっと周りから高くなるものでしょうか?

◆小出

空間線量をあげる要因というのは、放射性物質から放射線が飛び出して来てるわけで、プールが崩壊して、水から使用済み燃料プールがむき出しになりますと、そこからまず放射線が出てくる。ですから、作業員の人たちあるいは敷地の中にいる人達が大量の被爆をしてしまうとことになるだろうと思います。
空間線量がですから急激に増加するわけですね。しかし、敷地の外までその放射線が飛び出してくるということは少ない。

敷地の外で言うのであれば、使用済み燃料が溶けてしまって、中から放射性物質が吹き出してきて、それが風に乗ってあちこちに流れるわけですが、それが流れてきた場所の空間線量が上がるということになりますし、土地も汚れるし食べ物も汚れるとそういうことになっていきます。

◆ホワイトフード

心配するのはセシウムであり、放射性ヨウ素は心配いらないでしょうか。このケースでは?

◆小出

再臨界ということはたぶん私は起こらないと思いますし、放射性ヨウ素は寿命が短いですので、すでにもうありませんので、再臨界が起きない限りはヨウ素は問題にならない。

今やはり注意をするのは、セシウムとストロンチウム、あるいはトリチウムと言っているような寿命が長い放射性物質だけだと思います。

※同店の文字起こし文章をベースに、Vimeo動画音声に合わせて若干の修正を加えました。

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