2月16日 福島第一原子力発電所の敷地には限りがあり、汚染水を保管するということはいつの時点かで必ず破綻する/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

小出裕章ジャーナル

2013年2月16日に放送された「ラジオフォーラム第6回」番組での「小出裕章ジャーナル」の内容を文字起こし致しました。

【主なお話】
「東京電力が、福島第一原発で増え続ける高濃度汚染水について、海に放水すること検討しているというニュースについて」

【パーソナリティー】
石井彰(ジャーナリスト)

【ゲスト】
吉岡 忍(ノンフィクション作家)

【電話出演】
小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)

▼ラジオフォーラム
http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆石井
それでは、ここからのコーナーは、小出裕章さんにお話を伺っていきます。
小出さん、よろしくお願いします。

◆小出
はい、よろしくお願いします。

◆石井
あの、今日はノンフィクション作家の吉岡忍さんと一緒にお話を伺います。

◆小出
ありがとうございます。
楽しみにしていました。

◆石井
東京電力がですね、あの福島第一原発の高濃度、高く汚染されている汚染水をですね、処理をした大量の水を、海に放出することを検討し始めたと、いう大きなニュースがですね、え〜、最近ありましたけれども、まずこのことについて、小出さんはどのように考えてらっしゃいますか。

◆小出
え〜、実際問題としてはせざるを得ないと思います。
え〜、どんどん今あの〜敷地の中に、汚染した水が増えてきてしまっていまして、いつまでも持ちこたえられる道理がありませんので、いつの時点からなにがしかの方策をとって、海に捨てる以外にありません。

◆石井
あ〜〜〜ぁ、それはでもなかなかたいへんなことですよね。

◆小出
そうです。
まああの〜、漁民からみればとんでもないことだと思われるでしょうけれども、でももう、たいへんな事故が進行中なのであって、え〜、どうにもならないと私は思います。

◆石井
小出さんにまず一つお聞きしたいのは、まずその高濃度の汚染水を、そこから放射能を除去すること、ま、完全にとは言いませんが、ある程度でも除去することというのは、可能なんでございましょうか。

◆小出
可能です。
ただし、猛烈な汚染水ですので、え〜、作業をするために、え〜、多数の労働者がまた被ばくをするだろうと思います。
ただし、汚染水の中から、え〜、汚染水というのは水を放射能が汚しているわけですが、え〜、水の中から放射能を取り分けるということは、え〜、出来〜るのです、やる気になれば。

◆石井
やる気になれば出来るけれども、やるためにはたくさんの人たちが、あの被ばくをせざるを得ないと。

◆小出
そうです。

◆石井
ぅお〜、そういったたいへんなリスクがありながらも、もう現実にこれ以上は保管が出来ないという状況なんでしょうか。
それとも、どっか別の場所で保管をすることは可能なんでしょうか。

◆小出
え〜っと、私はですね、事故が起きた直後から、え、巨大タンカーを、え〜、福島の海に連れていってですね、え〜、タンカーの中に汚染水を移して、え〜、それを柏崎刈羽原子力発電所の、え〜、廃液処理装置に持っていって処理をするという案を提案していたのですが、え〜、今までもうほとんど2年近く経ちましたが、国も東京電力もそれをやろうとせずに、とにかく福島第一原子力発電所の敷地の中にタンクを作って、そこで受けるということをやってきたのです。
え〜、それをやる限りは、いずれにしても敷地は限りがありますので、いつの時点かで必ず破綻します。
んで、かなり満杯になっていますので、遠からず別のことを考えるしかなくなると思います。

◆吉岡
結局今、東京電力は海に流しましょうということを、まあ、可能性を探っているというところだと思うんですけれども、私、実は2、3日前まであのやっぱり宮城県の牡鹿半島のほうに行っていましてね、漁師さんたちといろんな話をしていました。
ぼちぼち漁業はあの発達、少しずつ復興してきてるんですが、とはいえ、福島から流れてくる水ですね。

◆小出
はい、そうです。

◆吉岡
これを一番心配してるんですよ。

◆小出
そうでしょうね。

◆吉岡
今、漁師さんたち、大きな声でそれ言えないんですよ。
なぜかというと、言うと宮城県もかという風に言われるからですよ。

◆小出
あぁ、なるほど。

◆吉岡
漁師さんたちも言えない、漁協も言えない、県も言えない、で、だから誰も反対しない、しかし、一番心配をしている彼らという、こういう構図があるんですよ、今は。

◆小出
そうですね、はい。

◆吉岡
どうすればいいんですか、これ。

◆小出
え〜へっ、私が言うのはたいへん申し訳ないけれども、え〜、どうしようもないのです。
もう人類が経験したことのないほど酷い事故というのが、え〜、今現在進行中なのです。
でぇ〜、相手は放射能なわけで、人間がどんな風に手を加えても消すことが出来ませんので、え〜、なんとか漏れを防ぐということは、唯一出来ることなわけですけれども、え〜っ、次々と水を入れ続けるしかない状況では、それがまた増えてきてしまう。
いつかやはりどこかに捨てるしかないというところに追い込まれてしまっているわけです。

◆石井
え〜、小出さん、あの、たくさん…

◆吉岡
もう一ついい?
僕ね、2、3日前に牡鹿半島行ったんですよ。
そしたら、女川原子力発電所がありますよね。
そしたら、今まで、もう僕、20回ぐらいあそこに行ってるんですが、始めて見ましたけれどもPRセンターが開いていました。

◆小出
あっはは、そうなのですか。

◆吉岡
で、案の定、あのすばらしい、我々のエネルギーがないこの時代にやっぱり原子力は必要ですというPRをやってましてですね。

◆小出
そうですか。

◆吉岡
いや、ちょっとびっくりしましたね。

◆小出
はい、そうですねぇ。
この〜後に及んで、まだなのかなぁという思いを私も禁じ得ないです。

◆吉岡
はい。

◆石井
あの〜、小出さん、ありがとうございました。
また、来週もよろしくお願いします。

◆小出
はい、こちらこそよろしくお願いします。

◆吉岡
ありがとうございました。

◆小出
はい、失礼します。

▼音声

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