4月12日 本当に安定化に向かっているのか 小出裕章

2011年4月12日(火)21時から、MBSラジオ(毎日放送)のたね蒔きジャーナルに、小出裕章氏が出演されました。

2011年4月12日【火】
小出先生と鎌田先生に話を聞きます
「レベル7」になった福島原発。気になる点はきょうも京都大学の小出先生に質問します。そして、チェルノブイリ原発に足を運び現地への支援を続け、今回の震災でも南相馬市の病院などで活動した諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生に電話をつなぎ話を聞きます。

今日も、放送エリア外にいて聴けない人たちのために、録音をすぐにアップしてくださった方がいます。どうもありがとうございます。

以下は要約です(全体書き起こしは下にあります)。

・事故の国際評価尺度が最も深刻なレベル7に相当すると発表されたことについては、あまりにもバカバカしくてコメントする気にもならない。日本政府は最初はレベル4と言っていてその後レベル5と言っていたが、とんでもない。とっくの昔にレベル7と言わなくてはいけなかった。

・この評価の遅れにより国際的な信用は失墜し、住民避難も後手後手にまわった。

・チェルノブイリと比較すると放出された放射性物質はその1割と言われているが、1割に過ぎないとは言えない。大変な量。しかも福島は進行中でどうなるか分からない状態。

・最初から伝えている最悪シナリオのような大規模な溶融が起こってしまうと、圧力容器も格納容器も破壊され、チェルノブイリ並みに放出される可能性がある。更に悪いのは福島は1〜6号機があり、これらを合計するとチェルノブイリの3倍以上の核燃料がある。またそれと同量の燃料が使用済み燃料プールにある。

・テラベクレルという単位の量を最初の1日で放出していたと今言っているが、最初から知っていたはず。かなり早くから気づいていたはずで、分からなかったという可能性はあまりない。

・枝野官房長官は数十人が死んだチェルノブイリと福島は違うと言っているが、福島第一原発でも原因がよくわかっていないことで作業員の方が亡くなっている。チェルノブイリとは違うということを私も信じたいが、チェルノブイリの事故で数百万人が被曝したが、今現在日本でも何十万人もの人たちがチェルノブイリと同じような被曝を既にしている。

・計画的避難区域という言葉を政府は使っているが、どのように政府がすべきであるかは私には分からない。防災を厳密に適用しようとすれば、最悪の万が一を想定して避難区域を設定して全体を動かすべきと思うが、今回はとてつもないことになっており、避難するとなると住み慣れた土地を捨てていかないといけない。離れていく人たちの重さがどれだけなのかと思うと途方にくれてしまう。逃げると生活が崩壊してしまうので、私は、どうしたらいいのかと立ち止まってしまう。

・こんなことにならないことをずっと願ってきたが、もはや手遅れなので、いい方向を少しでも探したい。

・菅首相は状況は徐々に安定化に向かっていると言ったが、私もそう願う。でもそう断言できない。このたたかいは何ヶ月も続くし、それに持ちこたえられるかどうか分からない。その状況でそのように言うというのはどういう神経をしているのかと思う。

・原子炉内の中性子のデータ、格納容器内の放射線量のデータ、二号機のサプレッションチェンバーの破損状態など、見てみたいデータはたくさんある。

・外付けの冷却回路を付けるという案を新聞で見たが、そういういろいろな方策が現場で進んでいるはず。

以下、じゃっく・どんどんさんによる書き起こしです(http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/200.htmlおよびhttp://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/206.html)

小)小出さん 水)水野クリスタル晶子 アナウンサー 平) 平野さん毎日新聞大阪
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水)京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生です。小出先生こんばんわ。

小)こんばんわ。

水)今日もよろしくお願いします。  

平)よろしくお願いします。

小)こちらこそ、お願いします。

水)今日は、今回の原発事故が国際評価尺度において、最も深刻なレベルの7に相当するというふうに発表されたのですが、これについてはどういうご意見ですか?

小)あまりにもバカバカしいのでコメントもしたくありません。

水)はー、というのは当初からそう思っていらっしゃいました?

小)そうです。私はそういうふうに言ってきましたけれども、日本の政府の方は当初はレベル4だと言ったんですよね。

水)そうでした。4でした。

小)1週間たって5だとようやく言い出して、ずうっとこんにちまで来ていたんですけれども、トンデモナイことであって、事故が起きた翌日には水素爆発というようなことも起きて大量の放射能がもう出てきたわけだし、東京までが15日・16日には濃密な汚染を受けたわけで、もうとっくの昔にレベル7だといわなければならなかったと思います。

水)このレベルを小さく発表してきたことが、いろいろな政策あるいは作業に影響したというふうにごらんになりますか?

小)もちろんです。もう世界的な信用が失墜している訳ですし、住民の避難というものも、当初は一番はじめは万一を考えて3キロと彼らは言ったんですね。そしたらしばらくしたら万一を考えて10キロまで避難をさせますと言った。そしたらしばらくしたら万一を考えて20キロまで避難をさせると。どんどん、後手後手にまわっていくということになったんですね。

水)ただですね、このチェルノブイリと並ぶレベル7ではありますが、チェルノブイリにくらべますと放射性物質が放出された量は1割に過ぎないという話なんですが。 

小)はい、あのうたぶんチェルノブイリの出した放射能の1割ぐらいだろうと私は思いますが、1割に過ぎないといってはいけません。もうそれだけでも大変な事なのであって、今まだ福島では事故が進行中なのです。福島がチェルノブイリを超えてしまわないように願ってますけど、それが私の願い通りにおさまるかどうかも未だにわからないという状態にあるのです。

水)ふーん。つまり今のところ放射性物質の放出量は1割ですが、もしかするとチェルノブイリ並みに放出される危険性が今あるということでしょうか。

小)はい、もう私ははじめから私の最悪シナリオというのを皆さんにお伝えしてきましたけれども、まだ、今のところは原子炉が大規模には溶融していないと思います。でも冷却に失敗して大規模に溶融するようなことが起きると、溶融物が下に落下していくという、つまりメルトダウンをするというそういう事態が起こるかもしれないというのを私は今でも疑っています。そうなった場合には、
原子炉圧力容器も原子炉格納容器も破壊されると思いますので、チェルノブイリと同じような規模の事故になるはずです。そしてさらに困った事には福島の場合には今1号機2号機3号機といった運転中の原子炉が3つあったわけですし、さらには使用済みの燃料プールには大量の燃料もあることですしチェルノブイリを超えるような放射能放出もあり得ると私は思います。

水)今のところ放出されていないけれども、そういうおそれがある、今あの福島第一原発にある核燃料の量はじゃチェルノブイリよりも多いと?

小)はるかに多いです。 

水)はるかに多いですか? 

小)1号機から4号機までの原子炉の出力を会わせると約300万キロワットになるのですが、チェルノブイリ原子力発電所の出力はピッタリ100万キロワットでしたので、そのすでにそれだけ考えても3倍です。

水)3倍以上の核燃料以上の核燃料があるとみなければいけないわけですね。
 
小)はいそうです。その上に使用済み燃料プールにほぼ匹敵するだけがあるので、大変な量が今あるわけです。

平)先生、あのう安全委員会が昨日ですね、発生当初から数時間、1時間当たり最大1万テラベクテルの放射性物質を放出したということを昨日ようやく言ったんですけど、1万テラベクテルという単位がなかなか理解できにくいんです。

水)テラって

平)猛烈な単位を想像するんですけど、これはどうみたらいいんでしょう?

小)テラっていうのは、10の12乗ということです。5万ベクレルを超えるような放出を超えるとレベル7だといのが国際事故評価尺度です。ですから1日目にもうそれにごく近いものを放出してしまったと言っているのですね。

水)1日でじゃあ、レベル7に近い状態っていうのはわかってたんですね。

小)そいうです。

水)それをレベル4と言ったというのは、えー。

平)これは、逆算してそういう判断したっていうのは、逆算っていうのは何を逆算するんですか?

小)周辺のモニタリングポストのデータであるとか、あるいは、今かなり周辺の土地の汚染の評価も進んできたわけで、きっとそういうものを逆算するというのは出来ると思います。えーそして、原子炉格納容器の中の放射線のレベルというものもはかっているわけで、どれだけのものが炉心から格納容器に中にでてきたかということも当初から知っていたと思います。特にモニタリングポストのデータなんかはもちろん当初から知っていたはずですし、かなり早くから彼らは気がついていたと私は思います。

水)はー、わからなかったという可能性はあまりないですか?

小)たぶんないと思います。

水)そうい意味も含めて国際的な信用を失墜しているというお考えだろうと思いますが、チェルノブイリ原発の事故の災害がどういうものであったかというのを少し調べてみましたら、原発職員、消防員の方達が31人亡くなっていらっしゃるのですね。で、いま枝野官房長官はこういった直接的な健康被害は出していないというのがチェルノブイリとの大きな違いだとおっしゃっているのですが、小出先生はどういうふうにごらんになりますか?

小)私はマスコミの報道しか知り得ませんし、政府の発表、東電の発表しか知り得ませんので死亡者がでたとういうのは、放射線の被曝で死亡者が出たというのはきいてません。ただ4号機の建屋の中で2人の方がなくなっていたという報道はありましたし、その人たちの死因というのがほんとうに津波だったのか、被曝だったのかという事に関しては私はよくわかりません。

水)それからですね、チェルノブイリでは数百万人の方が被爆したという情報もあるようなのですが、あのうチェルノブイリとは違うんだという思いをですね私なんかは信じたいわけですね。

小)私も信じたい。

水)そりゃそうですよね。小出先生は当初から一番ご自分自信身の見方が間違っているということを信じたいとおっしゃっていたのですから、そうだと思うんですが、ただチェルノブイリのような形で多くの人が被曝をするというおそれは、感じた上で政策を打つべきですか?

小)もちろんです。もうすでに避難が遅れた人達はですね、相当な被曝をしている訳ですし、今現在も汚染地帯に残っている人たちもいるわけでどんどん被曝が蓄積していってるわけですね。チェルノブイリで今水野さん何百万人かが被爆したと言っているのは、今現在福島で◯(?聞き取れない)してるような被曝をしているような人達のことを指している。

水)◯◯(聞き取れない)いうイメージがよくわからないのですが、もうすでにこの日本で被曝、

小)もう何十万の人達がチェルノブイリと同じような被曝をしている。

平)そうすると「計画的避難区域」という言葉が非常にまあ欺瞞性に満ちているというか、もっともっと強い言葉で実効性のある避難を住民にすべきですよね。

小)おっしゃる通りと思います。

平)そのへんをやれないというのは、ぼくらどうしても政治の判断力の欠如というか自分たちの責任を問われないようするための言い訳作り思うんですけど、どうなんですかね。

平)これどうすればいいんでしょうね?そういう声をあげるのはですね、先生みたいに真摯に学者のことばとして語っていただけたとして、政治が動かなければ難しくてそいう意味ではわれわれ苛立ちが募るのですが、先生からみて何をすべきなのか、動かすためにですね。

小)申し訳ありません。私にはわかりません。

平)わからないですか。

水)例えば南相馬市というところはですね、一部がこうした一ヶ月以内に避難して下さいと言う地域になっているわけですけれども、行政区域のところに避難すべきところとしないでいいところってまだら模様になっているわけですね。こういうことだとなかなか行政全体で政策を打ちにくいと思うんですが。 小)できないと思います。

水)たとえば、まあシロート考えですが、一番万が一を考えた想定で全体を動かすというようなことを考えなきゃいけないというようなことはどうでしょう?

小)はい、防災ということを厳密に適応するならその通りだと思います。ただし、今回とてつもないことになっていますので、そうやって避難をさせるという時にその住み慣れてきた土地、長い歴史を刻んで来た土地を捨てなければならないんですね。その時の離れていく人たちの背負わなければならない重さというものが、どれだけなのかと思うと私はそこで途方にくれてしまうのです。逃がさなければならない思うけれども、逃がそうとすれば生活が崩壊してしまうだろうと思いますので、ほんとうにどうしたらいいんだろうかなと私は今立ち止まってしまっています。

水)難しい、ほんとうに難しい決定かと思いますが。

小)はい、こんなことにならないでくれることをずっと願ってきたのですが、もはや手遅れですのでなんとか少しでもいい方向というのを探らなければいけないと思います。

水)あのう、今日も菅さんはですね、「徐々に原発事故は安定化に向かっている」とおっしゃってました。(小出さん、苦笑?)これはどう受け取ったらいいですか?

小)もちろんそう願います。みんなそう願ってるとおもいます。しかし、もっと悪くなる(●小出さん、悪くならない、のいい間違えか?)ということを私自身が自信を持って断言できないのです。きっとどなたもそう思っていると思います。現場のひとも含めてですね。なんとかここまで苦闘を続けて事態が破局に至る事を防いでくれてるわけですし、ありがたいことだと思いますが、でも、この闘いというものは何ヶ月もまだまだ続くのです。それを闘いを持ちこたえられるかどうかというだけでも不安なわけで、「事態がいい方向に向かってる」なんてということを今の状態でいうなんてことは、一体どういう神経してるのかなと私は思います。

水)今日も強い地震が何度もありました。そうした中でほんとうに事態が今どうなっているのか、原子炉の中がどうなっているのか、それを確認するために小出先生がこのデータを知りたい、しかしなかなか出てこないんだという何か目安ろいうのはありますでしょうか?

小)知りたいデータはたくさんあります。原子炉内の中性子のデータだとかですね、4月の8日には格納容器内の放射線量が3倍ほどに跳ね上がったのです。それ以降そのデータはなくなってしましました。

水)なくなったって、どういう意味ですか?

小)測定器が壊れたって言う意味なんでしょうけど、数値がでなくなってしまいました。そんなデータも私は知りたいと思いますし、たとえば2号機のサプレッション・チェンバーのところで破損が起きたと言われてるわけですけれど、一体その破損がどのくらいなのかというのを調べるためのデータというのはなにがしか集めているはずだと思うのですが、そのデータも出てきていない。

水)小出先生が昨日もおしゃっいました外付けで水を循環させていくシステムを使えないだろうかというアイデアも前に進んでいる様子はないですか?

小)えーと、いやあります。私は今、新聞の夕刊をみましたけれども、外付けの冷却回路をつけるというのが一つの案として出てました。

水)そういう意味では、具体的に進みつつあるとみていいですね。

小)はい、私が考えつくようなことですから当然、福島の現場の人達は考えついていていろいろな方策を今考えてくれていると思います。

水)そういったことが具体的に進んでいってほしいと思います。今日は、どうもありがとうございました。

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